10/06/13

オイディプス王

異国にて

渡航中、僕が初めての参加という事もあり、男優の先輩には特にお世話になりました。
そんな想い出を少し。

斉木さんは、ベッドが苦手だという事で、シーツを床に敷いて寝てました。
川村さんは、夜、花火に誘ってくれましたが、その時にはもう終わりかけてました。
山本さんは、ペーチの公演に響くからと、シビウで時計台に登るのを一旦拒否しました。
岩淵さんとは、「こういう所に来ると女の子と歩きたくなるね」と言い合いながら、誰もいないので、シビウで一回、ペーチで二回、二人で手を繋ぎました。
浦さんは、ペーチで大聖堂を見上げて皆が感嘆の声をあげている傍らで、足元に落ちてるインシュロックを見付けて、渡航中一番テンションが上がってました。

そんな感じで、諸先輩方のおかげで渡航ライフを満喫できたわけですが、演劇人としても、フラッと夜一人で飛び込みで芝居を見に行ったりして、非常に充実した時間を過ごしました。

そんな異国、異文化の中で感じたのは、「やっぱり」という事でした。
実際、言語・風習・表現法等、違いはあります。 でも、演劇人としてこだわるべき所、大事にしなければならないモノはやっぱり同じだな、と。
それは今まで自分が立って来た30近い数の舞台でも、今回の山の手での初舞台でも、海外の公演でも国内の公演でも、やるべき事に違いはない、と。
出来ているかいないかの違いだけで。

そしてまた思ったのは、やっぱり日本のお客さんに楽しんでもらいたい、という事でした。
確かに向こうの演劇熱は熱かった。
でも芯の部分を捉えていれば、世界とか日本とか関係なくお客さんを興奮させられるはず、と強く思ったのです。
そんな思いを抱きながら、9月公演に向けて早くも動き出します。
やらなければ。

文秉泰

10/06/12

オイディプス王

即席クルー

シビウ演劇祭は国際演劇祭。なんと演出家の記者会見があるのだ!本番翌日、今回撮影班でもある私は、即席クルーとして安田さんに同行させてもらった。

街の大広間の地下、ワイン貯蔵庫のような地下空間に記者会見場はあった。既に関係者は集まっており、ルーマニアテレビのクルーも撮影準備をしている。まるで新作映画の発表のようだ。

会見が始まると、記者は四畳半や発声方法、どうして女性がオイディプスを演じるのかなど次々と質問する。当たり前なんだけど、飛び交う言葉はルーマニア語と英語。安田さんが通訳し易く説明するので、いつもより分かりやすい。


「大きな感情を入れ込むには、普通の声や体じゃ無理」
「日本は地面に神様がいて・・・・」

ふんふん。

「山の手事情社の名前の由来は、山の手線が・・・・」

ん!?山手線?その話聞いたことないぞ?

ルーマニアテレビのインタビューも間に入り、休む間もなく午後はシンポジウム会場へ。今度は一般の方向けに山の手のあれやこれやを話す安田さん。私は暗い室内の為、一眼レフの絞りを合わせようと必死にもがいていた。少々疲れていたので、英語のトークの内容はほとんど耳に入らない。しばらくカメラと格闘していると、何やら皆の視線を感じる。

「謡を聞かせてくれってさ!」と安田さん。

ええっ!?あれを、今ここで!?完全にカメラ小僧に化していたのに、そんな急に表舞台に出ろってか!?流石山の手、いつ何時も戦闘体制でなければならぬのだなっ!よし、ここは一つ!!!

左を向くと、先輩浦さんは暗闇に紛れて見えなかったが、後輩永里子は半分椅子から立ち上がろうとしている。私はどぎまぎしながらも、こっそりスカートのホックを外し万全の体制をとった!!が、次の瞬間、安田さんが言った。

「いいやいいや、俺がやるわ!」

………。

私はホックを外したまま、静かに、速やか腰をおろした。

三井穂高

10/06/05

オイディプス王

ペーチ、本番翌日とツアー最終日

ツアーすべての公演が終わり、俳優は疲れが残りつつ、観光と観劇で飛び回っています。
ルーマニアもそうでしたが、ハンガリー料理も、クセがなく、お酒もおいしゅうございます。

ペーチでも、ハンガリー国内演劇祭ということで、様々な演劇が見られます。
チケットはすべて売り切れだ、というのですから、この国も演劇好きな国民であることは間違いありません。
無理を言って、いくつかチケットを分けていただき、少し観劇できることになりました。
ハンガリー語は分かりませんが、シビウ国際演劇祭とはまた違う演劇がありました。
どちらかといえば、昔ながらの演劇といった印象です。

夜は観劇&ディナーですが、昼間は思い思いの時間を過ごしました。
女性陣は、必死に買い物。日本ではこんなに浪費家でないはずなのに、つい財布の紐が緩みます。
男性人は、そろって温泉へ。ガイドブックによればペーチ市は温泉が有名とか。
それを見越して、日本を旅立つときから、海パンを用意してきた男優陣。中学生の修学旅行のように、男子だけで楽しそうに相談し、温泉へ向かうバスへと向かって行きました。

それぞれが堪能し、ツアー最後の夜が更けていきます。

明日は、日本へ戻るべく、空港へ。

現地稽古場日誌は、ここまでとなりますが、
帰国後、それぞれの感想を掲載予定です。
お楽しみに。


小笠原くみこ

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