10/07/02
2度目のルーマニア
山田宏平さんの方向オンチは有名な話だが、
かく言う私も相当なものである。
はじめて行ったところを、前に来たことがあると
勘違いすることが、その多くの敗因である。
ルーマニア、しかも一年前に行ったっきりでは、
まず迷うに違いないと思っていたのだが、
不思議と何がどこにあるかよく覚えていた。
怒涛の公演を終え、
つかの間の休息を一人で歩いていた時、
金髪のきれいな女性が近寄ってきて、
「昨日の公演を見た。とてもよかった。高い緊張感と力強い声だった。」というようなことを言っていた。
英語が心もとないので、あくまでも推測にすぎないが、そんな事を言っていたようだった。
少なくとも、多少なりともほめられているようだった。
間違っても「あんな最低な芝居初めてみた。日本に帰りやがれ。」とは言っていないようだ。
なぜかとてもうれしかった。涙が出そうだった。
前回も感じたのだが、
作品がどう受け止められたのか、すぐにはよくわからないところがあり、
終わってすぐは、いったいどうだったのだろう?と不安が募る。
日本だと、拍手の感じでだいたいわかるのだけれど・・・。
結局、ルーマニアでは三回声をかけられた。
「前回はメイクも髪型も加工してたからわからなかったんじゃない?、それに比べると今回は比較的ばれやすいんじゃない?」と言ったのは演出の安田。
なるほどね。
ハンガリーでも2度ほど声をかけられた。
そのうち一回は大きなショッピングモールでチョコレートの試食をしているときだったので、とっても恥ずかしかった。
何故?今?公演で行っているときの旅の恥はかき捨てられない。むむ・・・。
ハンガリーの劇場で「検察官」という芝居を見たときのこと。
妙齢の女性がこちらをちらちら見ている。
この人も私たちの芝居を見たひとか?
終わると近づいてきた。やっぱりな。
「言葉がわからないのにお芝居わかるの?この作品知ってるの?」
そう、勘違い。いや、お恥ずかしい。
日本にいてもよく道を聞かれたり、知らない人に話しかけられたりする。
ふむ、結局私は全世界的に声をかけやすい人なだけなのだな。
倉品淳子