10/06/17

オイディプス王

謎解き

ルーマニア、ハンガリーと、遠く離れた東欧の地で公演を終えた山の手事情社。

今回キャストではなくスタッフとしてツアーに参加し、
その芝居を客席から見ていた私が、きっとこの言葉を一番言い易いはず。

山の手事情は、特異なカンパニーだ。
それは世界でも、そして勿論日本でも。

うん、そんなことは、わかっていたさ。

研修生で入った頃からわかっていたことさ。

それゆえに、悩んだこともあったさ。

リアリズムのカンパニーが眩しく見えたことだってあったさ。

なーんでこんな変なことするんだろうって

なーんでこんなに言葉も体も辛くなきゃいけないんだろうって

芸術って、ムズカシイ。ヨクワカラン。

なんてね。


だけど小栗よ、小栗達よ!!
お前は見失ってはいなかったか
『異質』という言葉が指し示す本当の意味を
その言葉に含まれる厳しさを
その裏側にある輝きを!!
『異質』の本当の意味、その答えは○○だ!!

はい、皆さんこの質問に答えて下さい。
答えられなかったらスフィンクスに食べられちゃいマース。
ぺろりんちょっ。って。食べられちゃいマース。
食べられたくない方は、謎を解きに凱旋公演を観に来て下さい。

私の感じたモノを共感して頂けたら、それはとても幸せなことです。

小栗 永里子

10/06/15

オイディプス王

満身創痍

行ってまいりました。ルーマニアとハンガリー。どの国でも上々の評価を得られたと思っています。このように海外で試せるのも日頃日本のお客様の応援があるからだと感謝、感謝です。

今回の作品「オイディプス王」は怪我の多い過酷な作品であることは過去の稽古場日誌でもご承知だと思いますが、今公演も満身創痍でした。首が全く回らなくなった者(約二名)、腰の骨にヒビの入ったもの、指を骨折した者と出演者の半分くらいが重傷だったわけです。
それでも各俳優きっちり本番はこなしているところが凄い!俳優魂を感じます。

私もちょっとした怪我をしてしまいまして、5月27日、出国するその日から「サコツマン」と呼ばれるようになりました。
成田空港で川村(先輩ですが、思い返すだけでイライラするので呼び捨てにします。)、岩淵、文がにやけ顔で「サコツマン大丈夫?」と言ってきます。
声も出すのもやっとだし、吐き気がするし、その状態で20時間も渡航しなくてはならない私にとってはまったく冗談では受け止められない。動かない手でぶっ飛ばしたくなるくらいでした。
なんとな〜く聞き流していると、川村のばか、岩淵のあほったれ、文のくそらが、私のギブスを見て「サコツマンが変身ベルトつけてる〜」とでかい声で笑っている。その横から女優人のクスクス笑い。
「てめーらみんな死んじゃえ!!! 死ななきゃ俺が死んでやる!!」って感じでした。
まぁ〜こうなったのも自分の不注意ではあるのですが、なんとも情けない、恥ずかしい話です。稽古、本番ではアドレナリンが出ているせいなのか、まったく痛みはないのでいつもどおりにこなし(たつもりですが)、4回ものカーテンコールをすることが出来ました。

その次の日は顔面蒼白で廃人のようになっていましたが‥。


浦 弘毅

10/06/15

オイディプス王

ファッキングヤーシュ生ビール

グヤーシュそれはハンガリー名物のスープ。
日本で言うところの要するに味噌汁か。
山の手事情社のハンガリー公演も終り、ハンガリーのお芝居を見終わった夜。
ハンガリーに来たら、グヤーシュは食べたいとガイド本片手にやる気まんまんな文秉泰と腹が減った肉が食いたいビールが飲みたいとこれまたやる気まんまんな
小笠原くみこ。
去年、公演で行ったルーマニアの首都ブカレストで食した史上最悪なカルボナーラに引き続き、ハンガリーのペーチでお昼ごはんに食した史上最悪な中華で腹がいっぱいな俺。
もう何も食べたくないが、ビールだけは飲みたいと、斉木も加わり3人連れ立ってちょっと気になってたお店に入ってみました。

しかし、まったく英語が通じない。
くみこさんがイントネーションがやたらとついた英語を駆使し
「はあんがりああん、どぅらあふとびあー、とぅー」
おばはん、まったくわかっていない。
別テーブルで様子を見ていたパリンカ(ハンガリー名物の蒸留酒)ですっかり出来上がったハンガリー軍団の男子のひとりが助け舟。
ここぞとばかりに
くみこ「はんがあありあん、どぅらああふとびああー、とぅー、はあああんがああありあんどぅららあふと、どぅららああふとびあーるとぅー」
文「ぐやーしゅー、ぐやーしゅ、ぐやーしゅ」

・・・もういいよ。十分通じているから。

調子に乗ったハンガリー男子がひとり増え
ハンガリー男子「ふぁああきぃんぐっどていすとびあー、ふぁっきんぐっどていすとびあー」

それでもやめないふたりは
くみこ「はんがあありあん、どぅらああふとびああー」
文「ぐやーしゅー!ぐやーしゅ!!ぐやーしゅ!!!」
くみこ「あいうおんとぅーみーと、みーと!」

もうどうでもいいや。
斉木「ふぁっきんぐっどていすとびあーぷりーず、ふぁっきんぐうううっどていすすと」

いつのまにか、なんだか知らないが。髭もじゃのおっさんがこれに加わり
ハンガリーのおっさん「かたな」
ジェスチャーで刀を抜くおっさん。

文「わきざし?」
ハンガリーのおっさん「おーおーわーきざーし!」
ハンガリーのおっさんに文の日本語が届き、おっさんさらに調子こきます。
ジャッキー・チェンの映画で見た蟷螂拳のようなカンフーをご満悦で披露するおっさん。

そこまでしてグヤーシュ食べたいか。
そこまで生ビールにこだわるか。
そこまでカンフーを披露したいかおっさん、そしてそれはどうみたってカンフーでジャパン産ではない。
気づくと他のテーブルも完全にくすくす笑い。

そして出てきたのは瓶ビール。
ドラフトビール通じてねぇ。

しかし、山の手事情社の「オイディプス王」はハンガリーの観客の心に届いたと思います。
満員御礼で貴重な体験をさせていただきました。

斉木和洋

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