08/05/01

摂州合邦辻

『摂州合邦辻』といえば

後家の玉手が継子の俊徳丸に恋をして毒を飲ませ……
というのが筋書きである。
主役は二十歳そこそこの乙女、玉手!
この小娘が、お家のためと称し浮気したり毒飲ませたり、
やりたい放題やった挙げ句腹切られて死ぬって話。

一方、
これを基にしたとされる寺山修司の『身毒丸』は、
身毒丸(俊徳丸)のほうに焦点を当てている。
継母に恋する青年の愛…

先日見た蜷川演出の『身毒丸』では、
この世のものとは思えないほどの、
妖艶なオーラを放つ白石加代子扮する撫子(玉手)に、
ナイスバディー(ヌード姿も披露!!)の
藤原竜也扮する身毒丸が、海老のように絡みまくっていた。


そしてそして、
山の手事情社の『摂州合邦辻』はというと‥‥‥、

オヤジとおかん

がヒューチャーされている。
玉手に幻影を抱く父親、
不埒な娘を持った母の苦しみ。
安田さんは、親目線で描いているのだ(と思う)!

それとですね、なぜか犬、出てきます。割と何匹も。
どうやらベースにあるのはサザエさんちのイメージらしいのですが、
サザエさんとこは、猫です、安田さん!

山の手事情社版 『摂州合邦辻』、目が離せませんっ。

三井穂高


08/04/30

摂州合邦辻

女たち、再び

『摂州合邦辻』の再演、
相模原市グリーンホール相模大野!
なんと私の実家(町田市)の隣り町、
かつてバレエの稽古で親しんだ、
思い出のホールなのであります。

運命を感じて勝手に鼻息が荒くなる今日この頃です。

先日、初演のDVDを見直しました。
出演していたにも関わらず曖昧になりかけていた記憶が再び蘇りました。

めくるめく・・・
自主稽古の嵐。

私の役は「女5」でした。
たくさんいる「女」の人たちと
台詞やら、顔の動かし方やら、
爪の切り方やら、股の開き方やら、
パン粉のつけ方やら、
まるで女子硬式テニスクラブ張りに猛特訓した日々。

私たちに課せられたのは、
とにかくパッションです。

すごく、エロティックに、爪を切る。

なんだかくだらない。
しかし私たちは必死でした。
動きの手本を見せてくれた斉木さん(男性)の方が、
自分よりはるかに色っぽくて落胆したのを思い出しました。
ああ、怒涛のように蘇ってきました。
ああ、また勝手に鼻息が荒く・・・。


5月に初めていらっしゃるお客様、
大丈夫です。
私たちがやるのは「演劇」です。
日常を越えた日常を体感する面白み、
今回の作品にそんな魅力を感じていただけたら。

相模原、町田の皆さん、
ご来場お待ちしております!

越谷真美

08/04/28

摂州合邦辻

ここ開けて

「おかーさん、ここを開けてください。」

母は玄関の戸を開けるかどうか悩みます。
でも母は扉を開けます。


娘の部屋の掃除をする母。
娘の机が気になります。

「それは開けないでください、おかーさん。」

でも母は開けてしまいます。
世の母の通る道なのかもしれません。


「それは開けてはいけないものです、おとーさん。」

でも父は開けまくります。
娘のワンピースのチャック。
そんな父はあまりいないと思いますが、
ちょっとだけ妄想している父は、
ちょっとだけいるかもしれません。


「まぁ、はしたない。そんなに開けて。」

最近の母もそういうことを言うのかは知りませんが、
若い娘たちがそろいもそろって股を開けます。
どうして股を開けるのかは、劇場で確認してください。
(どうしてか知っている方は、しぃー、です。)


なんだか、こう、
色々なものが開いていく、開いていく感じがする芝居のような気がしないでもない。

結構複雑な気持ちで作品に関わっていた昨年の秋。
今回の再演にあたり、ちょっとずつ色々変わるらしいです。

蓋を開けたらちょっとどころではない気がするので、
今から割と気が気でないです。こわやこわや。

ただ、「開く」(あく、ひらく)という響きはなんだか素敵です。
開けないほうが幸せかもしれないものもあるとも思うのですけれど。

さてさて、これを読んでしまったあなた。
まずは劇場の扉を開けてみてください。
劇場への扉は開け放題(上演中を除く)ですから。


櫻井千恵

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