08/07/18
オーケストラみたいに
山本でーす。
毎日それはそれはくだらないショートシーン作りや
アイデア出しが行われてます。
一応ロミジュリの物語から拾ったテーマをもとに作っていますが、そもそも役者というのは勝手に飛躍していくのが性なので、出来上がるものは一見するとわけがわからない意表をついたものばかりです。
新作の芝居の全体像は一向に見えない中、材料ばかりが出揃っていきます。
映像に記録してたら、もう4〜5時間くらいフィルムをまわしている状態です。
いっそのこと全部お客さんに見せちゃえよ!
という気にもなってきますが、実際にはこれから膨大な量の材料がカットされていき、たくさんの「演技の水子」が生まれていきます。
ところで役者と演出の関係は作家やライターと編集者の関係に似ています。
作家が思いつくまま書いたくだらない文章や短編が、
編集者の抜群の編纂作業によってまとめられると
それぞれのもとの文章をはるかに越えた効果的で面白い内容のものになることがあるように、
演出の編纂作業によっては、もともと提出されたどうってことのないシーンが全然違う見え方になったり意味の深いものに生まれ変わったりします。
というかそうなってくれればいいのですが・・。
俳優と演出が理想的に分業していけると、僕らは僕ら以上のものとして観客の前に立つことができます。
僕らの「ナマ」をそのまま舞台に上げたほうがいいとなると意味がないですね。
今の混沌とした断片がどんな風に命を吹き込まれるのか、
ほとんど不安ばかりですが、少しだけ楽しみでもあります。
なんとかお客さんが目を見張る芝居にしたいと思います。
素敵な文章や写真が満載のかっこいい雑誌や写真集、歴史に残る絵巻物のように。
そのためにも、あまり余計なことは考えずにやるだけのことをやるだけです。
結局、役者が向かう敵は頭で勝手に作り出したものじゃなく、いま目の前にあるものだけですから。
山本芳郎