深夜。恵比寿駅ホームのベンチ。
隣に座っていた女性が携帯電話で話している。
突然会話が耳に入ってくる。
「発明家と芸術家の結婚は、ないよね〜」
「あたしだったら、それはダメだな」
発明家と芸術家の結婚は、
現実には存在するであろうが、
そう思う人もいるということだ。
何がいい結婚で、なにが悪い結婚なのか?
その答えは、
おそらく、今度の舞台に潜んでいると思う。
いや、違う。
答えは潜んでいない。
潜んでいるのは、
たくさんある中の、ひとつの答えにすぎない。
いや、違う。
一つの答えだけではないものが潜んでいると思う。
いや、違う。
そもそも「答え」なんていうものは、
潜んでいないかもしれない。
深夜の恵比寿駅で聞いた会話で、
様々なことを想像する。
こういう楽しさを私に与えていいるのは、
まもなく皆様にご覧いただける作品に違いない。
『YAMANOTE ROMEO and JULIET』。
まもなくはじまります。
あなたの生活の小さなこと、
現在進行形の恋愛、
昔の淡い思い出、苦い思い出などなど、
様々なことを回転させて、
思いをはせていただきたい。
西巣鴨でお待ちしております。
小笠原くみこ
「そこしかない」
ロミオとジュリエットが恋に堕ちた瞬間、
ロミオがティボルトを殺した瞬間、
それは、そこしかない一瞬。
その瞬間そこにいたから、
相手がロミオ、ジュリエットだったから、
だから彼らは恋をした。
その一瞬は誰が見ても劇的だけれど、
考えてみれば生きている時なんて
そんな一瞬一瞬の塊。
芝居を創るとは、
その一瞬を作り出していくことだと感じた。
その瞬間に立ち会いに、ぜひいらしてください。
研修生 坂口幸枝