08/11/21

道成寺/えずこホール

「ポニョと清姫」

先日、映画「崖の上のポニョ」を見ました。
そこに描かれていたのは「会いたい」という
とてもシンプルで凄まじく強い「思い」でした。
好きな男の子に会いたいというただ一心で
ひたすら突き進んでいくポニョ。
周りに、世界に大迷惑をかけているにも関わらず
その姿は感動的で爽快感さえありました。

さて今回の「道成寺」。同じく男をひたすら
追い続ける女の話でございます。
そこにはポニョと違い恨みや嫉妬等の負の感情も
満載ですが、でもやはり私はある種の爽快感を
感じてしまうのです。思いの遂げ方としては
間違っていると思いますし、友達なら説教して
止めるところですが、ここまでの強い「思い」に
羨ましいと思ってしまう気持ちがあるのも否めず。
そんな一念を貫き通す爽快感が道成寺が日本人に
愛され続ける理由の一つなのかもしれません。

宮崎駿監督が映画でしか、そしてアニメでしか
できない手法でポニョの思いを描いたように
山の手事情社も演劇でしか、舞台でしか、
そして山の手事情社でしかできないやり方で
女の一念を描きます。これは劇場に足を運んで
いただかないと味わえません。
絶対に絶対に体験していただきたい!

えずこホールにて心よりお待ちしております。

太田真理子

08/11/18

道成寺/えずこホール

『劇都から電車で30分』

大学時代を宮城県で過ごした野々下です。
一般的にあまり知られていませんが、
宮城県は演劇が盛んです。
中でも仙台市は「劇都」と呼ばれるくらい
演劇の盛んな都市です。
そんな演劇の盛んな土壌に影響を受け、
大学入学早々劇団に入り、
退団して新たに劇団を作り、
その劇団を退団して山の手事情社に入団しました。
そしてあっという間に10年が過ぎて
今に至ります。
・・・本当に早いもんです。

会社員の友人達が当然やっていることを
していなかったりして
「何やってたんだよ?」
「芝居かなあ・・・」
というやり取りがよくあります。
そしてそれだけやってきた芝居を、また宮城県で
出来るということに武者震いしてしまいます。
武者震いだけじゃなく、
動揺し、緊張し、感動し、高揚してしまいます。

今回上演する作品は、山の手事情社の代表作です。
そして、表現されるのは裏切られた女の情念。
上演する場所は、仙台から電車で約30分の
柴田郡大河原町です。

蛇に変身した女は、人間の手の上に足を乗せて
宙を歩き、うろこのような模様の美しいドレスを
着た清姫は、男の体を乗り越えながら移動します。
山の手事情社俳優陣のアクロバティックかつ
美しい身体表現を是非劇場でご覧ください。

野々下孝

08/11/16

道成寺/えずこホール

スペシャルな『道成寺』

『道成寺』
タイトルを目にすれば、日本の古典や昔話、
歌舞伎や能を連想させる、和風の印象です。
しかし山の手事情社の『道成寺』
ちょっと違います。
まず着物は着ません。衣装は華やかな洋装です。
お寺のお坊さんは出てきますが、
カツラはかぶりません。
「俺って何者? どうしてここにいるんだろう?」
とまるで思春期のように悩み、
その答えは今の私たちと同じように
見つけられずにいます。
女はひとりの男を熱心に愛しますが、
男はその愛を受け入れることができません。
その二人のやりとりは
古語でやらせていただく場合もありますが、
男女のすれ違いは、いつの時代も
身にせまるものがあります。
思い余った女の狂気は、女を蛇へと変えてしまい
ますが、着ぐるみもトリックもCGも宙乗りも
使いません。
さらにそこに原作から想起して作った
山の手事情社オリジナルシーンを加え、
平安時代から語り継がれてきた道成寺伝説を
山の手事情社が解体&あらたに編みなおし、
来月、宮城県のえずこホールで
上演させていただきます!
ぜひ、21世紀のスペシャルな『道成寺』
見にいらしてください。

久保村牧子