08/11/10
ヘンな郡虎彦
「郡虎彦・こおりとらひこ」
という作家をご存知でしょうか?
34年しか生きていない上に、後半はほぼ日本に
いないので、なんとなく影がうすい。
学校でも習った覚えがない。
実は私、道成寺をやるまで、
聞いたことがなかったです。
しかし三島由紀夫に多大な影響を与えたとか、
イェイツ(アイルランドのノーベル文学賞作家)が
能を知るきっかけをつくったとか、
イイ仕事をしている。
しかも自作を自身で英訳して、ロンドンで公演する
という、今の日本人がなかなかできないことを、
大正時代にやっちゃっている。
この人が相当に困ったチャンだったようで。
実家から相当額の仕送りをしてもらっていたのに
有り金は使いきらないと気が済まず、
常に友にお金の無心をしていたとか、
せっかく書きあがった同人誌の2号めを、
汽車の窓から落としてしまうとか、
食べすぎから胃拡張になったりとか、
仲間からも「また郡がやりやがった!」
と言われるような存在だったようだ。
高級な黒のコートにはフケが山盛りだったとか、
いつもかぶってた山高帽は、
友人が手で触るのを嫌がるほど汚かったとか、
その上、身長が5尺(150センチくらい?)
しかなかったとか、
もうここまでくると、同時代に生まれていなくて
良かったとさえ思ってしまう。
こんな奇人が道成寺を描いたのが
「清姫」という戯曲です。
山の手道成寺の中でも「清姫」は
相当ヘンだと思うのですが、
作者の度を越したヘンさを知ってしまうと、
「こんなもんで郡さんはOK出してくれるかな?」
と不安になってしまう。
もっとヘンにしないといけない気がする。
もっともっと! ヘンな演劇に!!!
がんばる方向が違う???
大久保美智子