09/05/14

タイタス/ルーマニア

ふー。さて、そろそろ飯にするか…。

玄関に入ると、ペイントしたての衣裳がずらりと
並んであります。
張り紙には殴り書きで「ペンキぬりたて!」の文字。
きっと近くに良いペンがなかったのでしょう。青の蛍光ペンで書いてあります。
階段を上り、ミーティングルーム兼ロッカールームに
いくと、ハリボテの冷蔵庫が中央に鎮座しています。
周りには木屑の山。
文隊長が、「お、すげーな」と研修生をうまく持ち上げ
ながら作業しています。
足の踏み場もないロッカールームをくぐり抜けこっそり
夕飯をピックアップ。
2階スタジオをそろりのぞくと、なぜか河村隆一の曲、
彼のクリアでのびのある歌声とは裏腹に床一面衣裳とペンキでごった返しています。
衣裳担当竹内さんは体中ペンキまみれです。
奥の方からはいつもテンションの高い恵の声「きゃー、
ミシンの針また折れたー」
トイレ前の廊下で体育座りで夕飯を済ませ、下に行くと、おろしたての稽古着に塗料がついたと大騒ぎの
笑美さん。「さっき洗ったのにまたついたー」
事務室では、くみこ、福冨、氏家嬢がパソコンと
にらめっこ。キーボードをたたく音が鳴り止みません。
1階スタジオでは汗だくの安田さんと汗だくの役者達。
ものすごいにおいです。
くみこが飛び込んで来て安田さんにご相談。
「その話はまた後にして、このシーンやっちゃうから」とちょっとぴりぴり。

稽古場全体が『タイタス・アンドロニカス』一色。
作業現場ってなんか好きです。


岩淵吉能

09/05/13

タイタス/ルーマニア

野球と四畳半

野球は筋書きの無いドラマなんて嘘だね。
9回裏1-0、最後のバッター、カウントは2-3、
ランナー3塁。
可能性は限定されてる。
ヒットを打つ、3塁ランナーが生還する。
ホームランを打つ。
ピッチャー暴投で3塁ランナーが帰ってくる。
三振する。
フライを打ち上げ、野手に取られてゲームセット。
ゴロを打って、1塁でアウト。2塁でアウト。3塁でアウト。ホームでアウト。
限られた選択肢を観客は固唾を飲んで見守る。
ボールが爆発して、キャッチャーが爆死したり、
ピッチャーが奇声を上げてバッターに飛び掛ってきたりしないし、マウンドでピッチャーが急にマグロの解体をしはじめたりも、もちろんしない。

四畳半も、もちろん限られた選択肢の中で見ている人の期待をいい意味で裏切っていかなくちゃいけない
のだけど。
やっちゃうんだよなあ、マグロの解体的な事を。
でも、面白いかも、ダルビッシュがマウンドで奇声を
発しながら、マグロの解体を始めたら。
演劇にはスポーツにはない裏切り、解釈の自由さが
あると思う。
だから演劇は面白い。
当然、こうだろうという常識とか固定観念とか、根本を
疑う視線が現代演劇の骨法でしょ。


斉木和洋

09/05/12

タイタス/ルーマニア

祝・メイン会場で公演!

ルーマニアのシビウ国際演劇祭に参加。
しかも上演する場所がメイン会場のラドゥ・スタンカ劇場に変更になったことで、否が応でも緊張感が高まって
きている野々下です。

今回、日本人の僕らの芝居がルーマニアや世界中から集まってきているお客様にどう映るのか?
一番の関心であり不安はそこです。

そして『タイタス・アンドロニカス』を何故、
今上演するのか?
初演、再演を経てその意味をもう一度考え直さなければなりません。

ただ、不思議なものでどれだけ一人で台本を読んだり資料を調べたりしても考えつかなかったことが、
稽古場で演出や共演者と話しているとするすると湧いて出てきます。
ホントに稽古場は面白い。
第二次世界大戦やテロなど様々な時代の世界情勢について話しているうちにシェイクスピアの台詞から
北朝鮮やアメリカなど現代の世情が読み取れたり、
戦後の貧しい日本で馬車馬のように頑張って働いて
いくうちに、いつの間にか家族との溝ができてしまった
団塊の世代の父親のことなどが観て取れて
しまうのです。

言葉の数や、シーンの多さという意味ではなく、
読み取れてしまう情報という意味で、芝居には多くの
情報が詰まっているんですねえ。

そしていい芝居は人間の想像力を引き出してしまう。
見る人の主観でまったく違う物語ができて
しまうんです。
それはきっと世界共通でしょう。

ということで、この『タイタス・アンドロニカス』が様々な
国のお客様の想像力を引き出す芝居になるよう、
これからもバリバリ稽古したいと思います。


野々下 孝

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