09/07/05

タイタス/ルーマニア

るうまにあ

随分長い間演劇をやってきましたが
今回のツアー程、準備時間の無い公演は
ございやせんでした。

乗り打ち乗り打ち乗り打ち。

朝劇場に入って仕込んで夜公演。
最近の山の手事情社の公演準備では
考えられません。

でもできちゃいました。
言葉が通じない異国の土地で。

いつもの凝りに凝った照明も
とってもシンプル。
あまりにもシンプルだった為、
四畳半という演技が際立った気もします。

ところで、ホテルでさんざんテレビを
見ましたが、驚く程面白い番組が
ありませんでした。
日本では毎日見られるバラエティ番組なんて
ありゃしない。
そうなんですね・・・そうなんですよ。

テレビ番組が盛んではない。
でも演劇は日本の何倍も盛んです。

日本はテレビで満足できるから
演劇はいらないんじゃないか!?
と思ってしまいました。

シビウ演劇祭も、日本の演劇祭とは
全く違います。
日本では劇場から出ると、演劇祭の雰囲気は
消えてしまいますが、
シビウ演劇祭は、外でも演劇演劇。
街がその雰囲気を受け入れていました。
なんとも羨ましい状況でした。

私達が持ち込んだ
『タイタス・アンドロニカス』
は、各方面から絶賛を浴びましたが、
本当のところはわかりません。
ただ、私達自身に変化が起こった事は
確実です。

どんな変化なのかは
今後の山の手事情社の公演で
お見せできると思います。

関係ありませんが、ルーマニアの食事は
お美味しゅうございました。
ビールも大変お美味しゅうございました。

また行きたいですね。

*写真は上からシビウの楽屋
ブルチャの楽屋(足りなくて増設)
ブカレストの楽屋です。


水寄真弓

09/07/04

タイタス/ルーマニア

エレベーター・ガール

ルーマニア3都市ツアー。約2週間の旅。
1週間を過ぎたあたりから、白いご飯と納豆と味噌汁が恋しくてたまらなかった小笠原くみこです。
ああ、やはり日本人だわ、私。

私が一番驚いた出来事は、ブカレストで出会った
エレベーター・ガール。
正確にはガールではなく、おばちゃんですが。

そのエレベーター・おばちゃんは、劇場隣の建物の中にあるエレベーターにいました。
6人くらい乗れば満員と感じるほどの広さの
エレベーター。
その中でおばちゃんは、操作盤の前の椅子に座り、
足元には大きなバックを置き、一心不乱に刺繍を
しています。扉が開くと、一言も発せず言われた
ままにボタンを押します。そしてエレベーターの
規定人数以上の人が乗ろうとするときだけ、
「乗れないよ!」みたいな言葉をルーマニア語で
言い放ち、刺繍に戻るのです。
ちなみに、そのおばちゃんの体格は「ふっくら」というより「でっぷり」というほうが近いでしょうか。

あんた、ボタン押すだけかいっ?!
刺繍していいのかよっ!
あんた乗ってなかったら、あと2人か3人乗れるじゃん!
必要なのかい!? あんたは?!
このエレベーターにィィ!!!!
(リピート3回)

あきらかにエレベーター・ガールとしての時間より、
刺繍している時間のほうが長い。
それでは仕事と言えないのでは?!
(給料をもらっているのかは定かではありません)

でも、そこにおばちゃんは存在している。
必要とか必要じゃないとか、
そういう概念などないかのよう。
日本だったら、特にこのご時世、
必要じゃない仕事、機能的じゃないものは、
どんどんカット。

この差が、きっと演劇大国ルーマニアと、
日本の差なのかも。
この「差」について、しばらく考えます。


小笠原くみこ

09/07/03

タイタス/ルーマニア

怒涛

何だったんでしょうか。
ツアー中の天気の変化と同じくらい、
恐ろしく刺激的な毎日でした。

舞台の外でも、本番のない日でも、
何かと出会い、刺激を受け、
まるでずーと本番だったような
体力的にも精神的にも怒涛の16日間でした。

ルーマニアは芸術が身近にある国でした。
エレベーターの片隅に刺繍をするお婆さんが
座っている国でした。

もう少し具体的に振り返ろうと思ったのですが、
なかなか書ききれません。

劇団員はもちろん、タイタスを見てくれたお客様の
反応、ラドゥ・スタンカ劇場の女優オフェリア・ポピー、
アリエル劇場のメンバーたち、ブカレストで見た舞台、
シビウやブカレストの街角やバーで出会った人たち・・・
たくさんの「人」に刺激をもらいました。

帰ってきて自分のなかに確かに変化がありました。
今後の活動に還元していけたらと思います。


越谷真美

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