09/07/02

タイタス/ルーマニア

演劇と生きる人たち

これは、ロシアで公演した時も感じたことなんですが、
多分ルーマニアの人たちにとって演劇は
「なくてはならないもの」
なんですよね。
正直言って今の日本人にとって演劇は
「あってもなくてもいいもの」
です。
もちろん、なくてはならないと思っている日本人も
たくさんいますが!
大多数の人が、
「ちょっと変わった趣味の人たちが演劇を見る」
とか
「いつかテレビに出るための登竜門」
だと思っていると思います。

ルーマニアでは劇場ごとに劇団があり、
そこでレパートリーや新作を上演します。
シビウのラドゥスタンカ劇場(私たちの公演した劇場)は
とても人気のある劇場なのですが、
そこに唯一日本人の俳優さんが所属していて、
「こっちでは、テレビや映画の俳優の仕事と
舞台の俳優の仕事は全く別のものと認識されている」
とおっしゃっていました。

そして、今回のツアーでルーマニアのたくさんの
演劇を愛するオーディエンスに出会い、
そこで暮らすたくさんの俳優さんに出会い、
2週間ほどでしたがルーマニアという場所に身を
置いて、今、日本で演劇を続けていくことの難しさを
感じるとともにやり続ける必然性を大いに感じました。

日本の文化はテレビやビデオ、マンガなど
室内に偏っていく傾向にあり、それは、
日本人の生活の仕方を象徴していると思います。
文化として否定するわけではありません、
ただ、偏っているのがおかしいと思うのです。
そして、その弊害も確かにあると思います。

日本人よ
「外へ出よ!人と会おう!」
です。
(ちょっと寺山のパクリっぽいですが)
みんなを家から引きずり出せるような魅力的な演劇に
私はなりたい。
(ちょっと宮賢のパクリっぽい感じの終わり方で。)


倉品淳子

09/07/01

タイタス/ルーマニア

ルーマニア時間

コーディネーターの志賀さんがおしゃいました。

「ルーマニア時間だから、あんまりイライラしないで
いきましょう」

日本でその言葉を聞いた時は、正直良く
わからなかったのですが現地に行ってみて納得。
皆さんとてもマイペース。
ひとつとても気になったことは、ルーマニアで人が
走ってるのを全く見なかったコトです。
毎日家からバス停、バス停から駅、更には電車の
乗り継ぎまで走っている自分としては、なんだかとても
大きな差を感じずにはいられません。

確かにイライラもしましたし、仕込みはホントに
大変でした。
日本なら2時間で終わる作業に4時間かかりましたし。
だけど、なんだかみんな良い人で、憎めないんです。

そしてみんな自分の意思というか、言い分というものを持っているように見えるので、堂々と見えるんです。
日々セカセカし、すぐにあわててオドオドしてしまう
自分にとって、それは少し羨ましいコトでした。

ルーマニア時間、ちょっと真似してみるのも
悪くないかも知れません☆


小栗永里子

09/06/30

タイタス/ルーマニア

シビウの客席にて

Buna ziuă! 
(ブナ ズィウア ルーマニア語でこんにちは)
山の手事情社2年目となりました、谷口葉子です!
今回はツアーメンバーではなかったので、一観客として『タイタス・アンドロニカス』を、そして
シビウ国際演劇祭を堪能させていただきました!

初めてのヨーロッパ。
初めての海外での演劇祭。
なにもかもが初めてづくしの旅。

素敵な出会いがたくさんありました。
シビウの劇場で活動されている日本の
バレエダンサーの方々とお知り合いになれたり、
(海外では、各劇場と契約を結んで活動するスタイルがメジャーの様です。)
シビウのユースホステルで知り合った方がタイタスを
観に来てくださったり、
またまたブカレストのホテルで知り合った方が興味を
持ってくれて「観に行きます。」と言ってくださったり。

シビウの劇場も素敵でした。
日本の劇場とはちょっと違う雰囲気につつまれていて、お客さんも含めて会場全体が、
「目の前の芝居をおもいっきり楽しんでやろう。」
という空気になっている気がしました。
受動的ではなく、能動的な感じなのです。
私の勝手な印象ですが、日本の劇場では、
観客はあくまでお客さんなのですが、
シビウの劇場では、観客も積極的に参加者となろうと
している気がしたのです。
スポーツで言うとサッカーのサポーターの人達が試合を応援しているような雰囲気です。
きっと、舞台の楽しみ方が日常生活や身体に馴染んでいるんだろうな。
でも、日本の劇場にも似た感覚はあるはずです。
たとえば歌舞伎でお客さんが役者に向かって屋号を
叫ぶのは、それに近いのではないでしょうか。
舞台、役者、そして観客。
この三つが揃って初めて芝居は完成するんだ、
ということを改めて感じた旅でした。

劇場の外、シビウの街にも、似た空気が流れていた
気がします。
ちゃんと自分達が日常の主役だと知っている。

ヨーロッパの文化都市に指定されているシビウ。
とっても素敵な街です。

皆さんも機会があればぜひ訪れてみてください!
来年のシビウ演劇祭とかいかがですか!?


谷口葉子

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