09/06/29

タイタス/ルーマニア

日本人にしかできないことって、、、

ルーマニアに行き改めて日本人であることをヒシヒシと感じました。

日本のカンパニーとして世界に何をみせていけるのか。
私は日本の俳優として日本人として何をみせることが
できるのか。

舞台も楽屋の掃除されてませんけど。
衣裳や小道具が汚れるんですけど〜。
魂は人間だけに宿るんじゃないんだぞと必死に掃除。
こんなに掃除するのは日本人くらいなのかしら?
終演後衣裳を自分でたたんで片付けていたら、
楽屋つきのおばさんにビックリされ、
「うちの俳優は脱いだら衣裳ぽいぽいよ〜
感心するわ〜」的なことを言われたり。
それはおいといて。

向こうの俳優は男優も女優もすぐ裸になりますが
(舞台で)、私達はそう簡単には脱ぎませんし、
人に簡単に触れたり、キスしたりもしませんよ。

じゃあ脱ぐよりもインパクトがあってエネルギーや
エロスを感じさせることはできているのか。
じゃあキスするまでにキス以上のことを想像させる
ことはできているのかetc・・・。

四畳半が見せたいものはそこで、日本人だからこそ
できる表現なんだと改めて感じました。

ルーマニアのパワフルな女優や、やりたいほうだい
脱ぎたい放題の舞台を見てめちゃくちゃうらやましいと
おもいつつ私達の気質との違いを凄く感じました。
日本人としてもっと繊細な表現が出来るはずだと
思いましたし、四畳半の作品の可能性も感じました。

シビウ国際演劇際での公演をやった後、
フェスティバルを紹介する新聞に記事が載りました。
話によると公演前のカンパニーの記事が載るのは
よくあることですが、公演後、ましては他国の
カンパニーの記事が載ることはかなり珍しいこと
だそうです。
そしてそれまでフェスティバルで上演したカンパニーの
うち山の手は3位に選ばれていたそうです。

それを聞いたときは、いや〜〜嬉しかった。

だって日本での稽古の際、ラドゥ・スタンカ劇場での
公演が決定し大変名誉なことで大喜びしていいはず
なのに、演出の安田は白目をむき
「ますますヤバイな・・・」というようなことをポツリ。
その瞬間俳優達のプレッシャーは頂点になり、
ルーマニア公演に対して恐怖が訪れました。
これでこけたら山の手はつぶれる・・・・。
私自信も俳優としての自信を失い
続けられなくなるだろうな・・・。

そんな恐怖を持ちつつ、もがいてもがいて
わけが分からなくなりながらも、とにかく良い舞台を
創りたい一心で皆命削って闘ってました。
本番は他のメンバーの日記にもあるように観客は
しっかり見ていたしこちら側もしっかり見せていたし
「演劇」が成立していたと思います。
行く前のことを思い出すと本当に嬉しい瞬間でした。

でもっ冷静に考えると3位て中途半端〜

次回は1位になるよう、もっと面白い作品を
創っていきたい!!
日本人だから物珍しいから観客がくるのではなく、
単純に「面白いし見たい」と思わせたい。
そして日本人にしかできないことを見せたい。

面白い演劇は言葉の壁なんてホント関係ない
ですから、世界中の人が山の手事情社の作品を
見に日本に訪れるようなカンパニーになって行くように
これからも訓練していかなければ!!
もっといけますよ!山の手は!!私も!!!

とルーマニア公演からなかなか演劇熱(?)が冷めず、発熱し頭痛に苦しめられている山口笑美でした。


山口笑美

09/06/28

タイタス/ルーマニア

ルーマニアで感じる日本

■四季
シビウでは冬。ブルチャでは春。ブカレストでは夏。
一年かけて感じる四季を、二週間で一気に感じました。
本当はそんなに寒くないらしいのですが・・・
やっぱりどこも異常気象なのでしょうか。
■土地
これはとても個人的な感想なのですが、
観光地シビウは大阪、ブルチャは地元香川、
ブカレストは東京、という感じでした。
あくまで個人的な感想です。
■ことば
日本に興味を持っている人にたくさん出会いました。
ルーマニアのテレビでは日本のアニメが
放映されていました。
(らしいです。私の泊まっていた部屋では
どのチャンネルをみてもやっていなかったのですが・・・)
日本語が話せる人もたくさんいました。

あぁ、日本でいうと○○だな、となにかと日本に
置き換えたがるうじけです。
思ったよりなんでも置き換えることができてしまい、
日本では見ないなぁと思うことは少なかったです。
それでも、「これは日本にはない!!」と思ったこと。

■犬
野良犬が多い、というのは観光ブックを読んで
知っていたのですが。
犬がでかい。
普通に大型犬がごろごろといました。
野良です、野良。
でもおとなしい。
飼い犬のほうがワンワン騒いでて、立派な番犬としての役割を果たしていました。
■裸
観る芝居観る芝居、脱いでましたっ!!
それだけ自信がある、役者である、
ということなのですが。
5本観て4本裸・・・。
これは日本ではないと思います。

ほかにもいろいろと、いろんなことを思ったのですが、
まとまりきらないので・・・。


氏家綾乃

09/06/27

タイタス/ルーマニア

三時間真っ裸!

帰国してから10日も経つのに、全然時差ボケが
治りません。
あれほどルーマニアでは飛び回っていたのに!
まるで抜け殻です。
三都市6公演、しかも二都市は初日に劇場仕込みを
してその日のうちに本番という過酷なスケジュールを
無我夢中でこなし、尚且つ6本の芝居を観て、
ルーマニア人と酒を飲み、ちゃっかり観光や買い物も
するという、非常に盛り沢山のツアーでした。

その中でも印象に残っているのは、シビウ演劇祭の
イタリアからの参加作品『メディア』の観劇です。
夜十時から約三時間にも及ぶ作品で、終わるのは
夜中一時を過ぎると言われ、悩んだ末観劇。
そのオープニングで私の心は鷲づかみにされました。
結婚行進曲とともに舞台にスポットライトが当たると、
そこには真っ裸の男女の姿が。
曲に合わせて前に出てくるのですが、なんと女性は
男性のイチモツを握っているのです。
二人とも幸せそうにはにかみながら歩く姿を見て、
私はこの作品を最後まで見ようと決めました。

基本的に役者はみな裸で、ベッドを組み立てたり
じゃれあったりストーリーはなんとなくあるような
ないような感じでしたが、とにかく長い。
休憩の度にお客は帰り、最後まで残ったのは
五分の一もいなかった気がします。
私も、途中何度も睡魔に襲われました。
しかし、一幕の終わりで(恐らく)夫の心変わりを知った
メディアがスカートワンピースのような衣装を纏って
(恐らく)ショックと悲しみと怒りを抱えながら
ただひたすらに回っているシーンを観て、
やはり最後まで観ようと決めました。
猛烈な悲しみが、そこにはありました。

やはり期待は裏切られませんでした。
終焉に差し掛かったころ、メディアが白い
ウエディングドレスを着て舞台中央に垂れ下がる
白い布を手繰りながら、まるで天国へ昇るように
登っていくシーンは目に焼きついて離れません。
背中のチャックは開いたまま、特別に髪を結うでもなく
ただ羽織っているだけなのに、まばゆく輝くメディア。
あれだけ裸で三時間動き回っていたのに、体操選手の
ようにすいすいとのぼってしまう女優さんの体力と
気力はすさまじいもので、私はその圧倒的な存在感に
打ちのめされました。
そうだ、こうあるべきなんだ!

その夜、興奮してあまり眠れませんでした。
果たして自分はどうだ。。。。。。?
あとは心に止めておきます。


三井穂高

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