10/03/18
裁縫の時間
皆で舞台美術をちくちくと縫っています。
一日約4時間集中して行います。
最初は、文化祭みたいね! などと、
きゃっきゃきゃっきゃしていましたが、
現在は皆土気色をしています。
縫い物に向いていない人間が混じっているからです。
私です。
私が完全に作業ペースを乱しています。
ザ・不器用。
想定されるミスを総て起こす自信があります。
誰かと話している間は大丈夫ですが、会話が途切れた瞬間、日々の稽古のダメ出しがフラッシュバックし、
突然叫びたい衝動にかられます。
実際叫びます。
縫い目を見る目が乾いてきます。
厚い生地の為に指先が痛くなります。
一定の姿勢で居続ける為腰が痛くなります。
一日一回は研修生女子の口から
「これで嫁にいける」という妄言と
「いけないよ!」というツッコミがセットになって出ます。
一日一回私の口から
「修正テープのような、ロールを転がすだけで縫える
アイテムが発売されればいいのに…」
という長いため息が出ます。
デジャヴュのような風景の総ては
自動的に再生されます。
フラフラと非日常のような日常を脱するべく、
休憩を取っていると、目に入ったのは、
完成が近い衣装。
裁縫の女神・みはるさん指揮の下、
裁縫の出来る精鋭部隊によって
膨大な時間を掛けて、作られた衣装達です。
努力と才能が一針一針に込められています。
これを私が作れるようになるにはどのくらいかかるか、暗算してみたら250年と出ました。
…弱音全開ですみませんでした、
みはるさん私頑張ります。
そうしてまた現実に戻り不器用な指先と闘うのでした。
村田明香
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劇団員の「自分が研修生だった頃」を掲載中!
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