10/08/24

凱旋2本立て公演

今日は作業日

今日は公式にはお休み、非公式には作業日である。

主に女優は衣装を作り、男優は大道具を作る。
「淳子さんはいいです。休んでください」と優しい言葉をかけてくれたのは麻里絵。
今回の衣装を担当している。
でも私、できれば自分の衣装は自分で縫いたい性分なので、呼ばれてないのに作業場へ行く。

しかもまるで小姑のように、口やかましい私は、あきらかにみんなに疎ましがられている。
へん!しるもんか!

スカートのフリル部分の素材に悩みまくった私は「イカが、イカが」とつぶやきながら右往左往。(フリルの形がイカそっくりだったため。)自分でいうのもなんだが、うざいこと極まりない。

明らかにみんな自分の作業を優先したいはずなのに、
先輩の言うことを無視できないため、くだらないつぶやきに返事をしてくれる。

いい子たちだ。

ミシンも私が並ぶとすぐあけてくれる。
あれがないこれがないと騒ぐとすぐ見つけてくれる。

一日の終わりに少し反省。やっぱり任せておいたほうがよかったか?

夜、谷口がドーナツとおいなりさんを差し入れに持ってきてくれる。
すごくおいしい。すごくうれしい。

そう、本当はこういう役どころを担うのが先輩のはず・・・。
まあ、しょうがないか?

倉品淳子

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10/08/23

凱旋2本立て公演

運命

人生3度目の入院をした。
39度以上の熱と水を飲むのもつらいほどののどの腫れ。
精密検査を行う。
インフルエンザは陰性。
血液検査もしたが何も異常なし。
病名は熱中症。多分。
しかし担当医は
「うーん、ストレスや疲れがたまっているところに、抵抗力が下がったとかでー、風邪をこじらしたとかかなー」
みごとな程あいまいな返答だった。

それにしても人生3度の入院のうち2回はオイディプス王のベタ稽古中とは。

ふふふ、「運命」をまたしても体現してしまった。

オイディプス王は身体的に激しいお芝居だ。
僕は、なぜか
この公演の稽古中に
怪我や病気で入院している。
でもそれは、僕の不注意ではなく
共演者に起こるであろう不幸(怪我&病気)を
僕が一手に引き受けているからである。
なぜなら僕は「運命」という役だから。

絶対そうである…。そうなのじゃー。

なのに、入院中、誰も見舞いにこない。
そんなもんだ。

ショウガナイ。
僕は「運命」という役だから
ショウガナイことだと受け止める。

「運命」という役作りをプライベートでもしちゃうところ
なんと模範的な役者でしょうね僕は。
えらいえらい。

そんな「運命」の姿をたっぷり味わえる
「オイディプス王」
ぜひ浅草へ体験しにいらして下さい。

岩淵吉能

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10/08/23

凱旋2本立て公演

ハイリスク・ノーリターン

山田宏平です。
最近は海外公演要員と化していまして、
東京での山の手作品に出るのは何年ぶりでしょうか。
「タイタス・アンドロニカス」のローマ皇帝サターナイナス役で出演します。
久々東京でのバカ殿です。劇場でお会いできますよう。

さてさて。タイタス稽古もぐんぐん進んでいます。
進むに連れて山の頂も見えてきます。息が苦しくなってきます。産みの苦しみってやつです。

稽古場に行くと苦悩の表情の見本市。
ベテラン沈思黙考。中堅は疲労困憊もしくは現実逃避。若手は奴隷か市場に売られていく牛のよう。

演劇とか芸術なんて、そんな顔してやるもんじゃないです。
ましてや抽象芸術なんて。お手本がないんですから。

最近音大のミュージカルコースで演技講師をしたり、ビジネスや教育分野のひととワークショップをすることの増えた僕からみると、
これだけ非効率的で言語化不可能で汎用性も低いことに全力を注いでいる人間たちの姿は、馬鹿馬鹿しくも清清しい。
名付けられないものを全力で探し、死にものぐるいで描こうと凄まじいエネルギーを注ぐ。
山の手の稽古場って素敵、と思います。

一方で思う。稽古場にはもっと驚きが必要だと。
早くから来て一緒に練習することもいいけれど、それがルーティーン化してないか。
同じ筋肉と同じ思考回路と同じアンテナしか使ってないなら、
何百回やっても同じだよ、と。
もっと名付けられないものを一回一回産み出していこう、と。

稽古佳境になると、苦悩の表情とともにだんだん遊び心が減ってくるのです。
それがもどかしい。

ということで台本稽古前の基礎稽古では、驚き求めてバシバシ仕掛けます。
若手を驚かせ、中堅を唸らせ、ベテランの目を覚まさせるくらいのヤツをぶちかまそうと、
発声稽古(山の手の発声は、四畳半のポーズをとりながら過去公演の台詞を群唱します)で気合十分に攻めまくります。
周りの連中、気合が足りねえぜ。お前らがリミットを越えないなら、俺がリミットを越えてやる、お前らの時を止めてやる! 
と気合を入れてヤマ場の台詞を口にしたら、

稽古場の台詞がピタっと止まりました。

気合入れ過ぎて、全く違うところの台詞を言った様子。
一瞬の沈黙ののち安田さんの爆笑。ついで仲間たちの笑い声。
稽古場に驚きはもたらさず、笑いをもたらしたというお話でした。
過度な意気込みはハイリスク・ノーリターン。冷静に冷静に。

山田宏平

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