11/03/23

The Dead Father

『2010年度の研修生修了会』

東日本大震災の影響で、延期になっていた「2010年度の研修生修了会」が密やかに行なわれました。
劇団員の炊き出し隊が「多国籍居酒屋」風な料理でもてなしてくださいました。 ちょっと様子を紹介いたします。
 安田さんから、卒業証書らしきものが配られましたが、研修生は「ウゲー」とか「あぁ〜」など奇声を発していました。(さて何が書いてあったのでしょう)
研修生の鯉渕君が造った「スピリタル」というお酒に(彼は趣味で酒を造っているのですが)漬けてあるさくらんぼを食べて「カーッ」。アルコール度数96度。
安田さんは渡辺陽一と化し、戦場カメラマンのようにシャッターを切っていると見せかけて・・・ 場内を荒らします!!!
斉木さんは今年大流行の花粉にやられて、美男の顔はどこへやら・・・。
私は、運動会のお母さんのように写真をとりまくっておりました。ファインダー越しに「皆さん〜お疲れ様でした」パシャ。


研修生プログラムでは、自分の殻を破ることが求められます。
様々な角度から、様々な手段で破ろうと試みるのだけど、そう簡単には破れない。
一年を通して、「あ、簡単には破れないんだ」って事がわかっただけでも収穫です。
成長していく彼らを見ながら、その四苦八苦している姿に同調する。一緒に悩む、考える、落ち込む、固まる、逃げたくなる。本来なら的確な答えを導いてあげるべきなのだが、伝えることができるのは自分が経験してきた事。
それも初めて言葉にして伝えるため、表現が拙い。
ダメだししている自分の言葉が、そのまま自分に返ってくる。
あいたた・・・。 
よく、相方の斉木さんが仰っていたのは、
「苦手なことを率先してやれ、得意なことはほっといても自然と努力するんだから」
「良いところを多いに伸ばしてあげたい」と考えていた私の考えは、少し甘かったのかもしれません。

山の手事情社の研修生を一年終えた頃になると、皆どこかしら垢抜けます。
自分と向き合ってきたご褒美なのでしょうか。
大変なことですが「続けるのも才能」という言葉があります。
やっとスタートラインに立ったのです。
演劇をやるかどうかは別として、このまま手綱を緩めずにまっしぐら。
「私は私道」を切り開いていってください。
垢抜け続けて、究極のかっこよさを目指しましょう。

最後、お世話になった劇団員の皆様、関係者の皆様、本当に有難うございました。

11/03/21

The Dead Father

『最後のことば』

俳優にとって一番必要なものは何ですか?
2010年度「俳優になるための年間ワークショップ」の受講者を募集するために
《山の手メソッド》一日無料体験を開催したときに
ワークショップの受講者のみなさんに投げかけた質問です。
魅力、柔軟性、面白いことを常に考えている、センス
などなど
さまざまな答えが返ってきました。
そして、なぜワークショップを受けようと思ったのか?
あるひとりの受講者はこう言いました。
「ここ(山の手事情社)でなら戦える武器が身につけれると思ったから」

武器はここでは売ってないよ
自動販売機でジュースを買おうと思って、ボタンを押して、その商品が出てこなかったらクレームだろうが、
カタログを見て欲しいものを選んで、ボタンを押して、その商品を購入するなんて、
世界中の養成所でやっていることだし、
そんなものならつまらないなと
漠然と感じたことを思い出す。

はじめは、演技とは何か?俳優とは何か?
というコンセプトにしようと思い、
修了公演に『1億3千万人のための俳優教室』という仮題をつけましたが、
さまざまな紆余曲折を経て、
『The Dead Father』というタイトルになりました。
そして修了公演を通じてぼくが伝えたことは、
他人にとってはどうでもいいような悩みを
本人にしかわからない深刻さで受け止めていることがあるはずで、
それを教えて欲しい。
掘り出して欲しい。
まっすぐに見つめて欲しいということでした。
ほんとうにちっぽけでどうでもいいことだけど、
それは俳優にとっての創造の源泉だと思ったから。

君たちはこれから、こことは違う場所で戦う日々が始まるんだと思います。
それでいいと思うし、
俳優になるためのほんの少しの手助けはしましたが、
こうなればいいという、ぼくの思惑などは飛び越えて、
自分の思う道を歩めばいいと思う。
君たちのなかにはきっと、俳優として戦える武器が眠っていて、
それはきっと自分で見つけなくてはいけない。


自動販売機でジュースを買おうと思ったら手紙が届いた。
そんな思わぬ便り
思わぬ成長を期待しています。

斉木和洋

11/03/16

The Dead Father

『一年を通して』

一年間はやはり長いようで短いです。
修了公演も無事終わりました。
協力していただいた方々、有難う御座いました。
思い返せば、去年、劇団の凱旋公演の手伝いや、チラシ用の写真撮影、極寒の納会等いろいろな事がありましたが、どれもこれも気が付けばもう去年の出来事です。
「この一年間で成長したのか?」と聞かれたら、「確実にどこかしら成長しました!」
≪ショートストリーズ≫を創作することは、考えることの幅と物事を見る視野を前より広げてくれました。
一辺倒の考えだけでなく、「こう考えてみたら?」など、アプローチの仕方が増えました。
「苦手」だった≪フリーエチュード≫も得意になったというわけではありませんが、少なくとも「苦手」ではなくなりました。
稽古の中でなら、周りに止められるまでは暴れていいこともわかり、大胆なこともするようになりました。
体力や筋力は変わったかどうか良くわかりませんが(もともとと得意なところなので)、会う人皆から痩せたといわれます。
研修生としての一年は、専門学校にいた頃よりも充実したものでした。
それしかやらないからそうなのですが、より演技の勉強はできたと思います。
やはり学校と違って厳しいところもありました。
当たり前ですが・・・。
ここで学んだことを生かすも殺すも自分次第だと思うので、教わった事を自分なりに解釈してより成長していきたいと思います。

鯉渕翼

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