11/01/27

The Dead Father

『修了公演にまつわる話〜研修生編』

今まで参加していた舞台と、研修生修了公演での最大の違いは自分達の頑張り云々ではなく、作品の完成度を面と向かって突きつけられたこと。

「これじゃぁ2000円とれないよ。」
楽日のマチネ(お昼の回)で演出担当から言われた
一言。
ズドーンとココロに響いた。
(そんなこと、今言うんかい?!きっついわー。)
って、思った。

2000円。芝居のチケットとしては恐らく平均より下であろう。
『2000円』の『価値』が『無い』芝居。
だけど、自分達は『2000円』の『チケット代』を『頂いて』いる。
自分達の芝居の対価。
自分の今やっている芝居が『本当は』幾らの価値があるかなんて、恐くて考えたくない。
でも、本番に入ってからそのコトにちゃんと向き合うコトの出来る役者って、どれくらいいるのだろうと今でも思う。
だから、
(あぁ、プロって、そういうことか。)
って、頭に自然に浮かんだ。
どれだけ頑張ったつもりでも
つまらないという現実は変えられない。
一年間やってきた集大成。
それがチケット代金以下の『価値』に終わったら
あまりにも、悔しすぎる。
何とかしなきゃ。焦りと、苛立ちが湧き起った。

だけど、
その気持ちを、どう演技に反映させればよいか全くわからない。
だから結局、出来るコトをやるしかなかった。
それが今の自分の実力。
不甲斐なかった。
ところがどっこい、
観に来てくれたお客様が結構な確率で
「面白かった!!」って言ってくれて
人によっては何故か泣いてくれている人もいて
あ、ちょっと安心って思って早々に調子に乗った自分がいて
打ち上げでは、それはそれは楽しく飲んでいる自分がいた。
(バカだなぁ。)
って思うけど、それもこれも必死さと視野の狭さ故。
とにかく、頭からつま先まで、修了公演に染まりきっていて、一喜一憂していた。
あの日々に戻りたいとは決して思わないけれど
本当にそのコトしか考えずに過ごせた、そしてそんな奴らに囲まれていた。

という意味で、
研修生修了公演はホント楽しかったです。

小栗永里子

11/01/25

The Dead Father

『自分と旅がしたいか』

ぽちっとアドレスをクリックしたら、
ばばんと跳んでビビりました。
「研修生レポート」から「劇団の稽古場日誌」へ。
本番の舞台に片足出しちゃったような気分です!
研修生の水田菜津美です。

「修了公演・本番」へワンクリックでひとっ飛び。
なんてことは出来なくて、
そこに至るまでの旅路を現在進行中。
私の中で『The Dead Father』の全体的なイメージは
「砂漠の旅(行進)」。
私の中では「歩くの苦しい=砂漠」のようです。
インディージョーンズとハムナプトラで育ってきたせいでしょう。

旅と言えば、つい最近見た映画『NINE』に出てきた一言。
「もし自分がもう一人いたら、自分と旅がしてみたい」
ダメダメな主人公に「わかるわかる〜」と共感しまくってたが、
ごめん。それだけは、ごめんだわ。
そこだけは、共感できないわ。
もう一人の自分と旅をするなんて。
静かーで、暗い二人の姿が真っ先に思い描けてしまう!
と思っていたのだが。
数日たってふと「意外と面白いんじゃん?」と思えてしまった。
誰かと会話する『自分』を観察するとか。
如何にも観光地!なイベントに『自分』を参加させて、
気まずそ〜な感じを外からみるとか。
修学旅行の夜のノリで、
『自分』を直接質問ぜめにするとか。
正視に耐えない場面にも出会ってしまいそうだが、
他人な『自分』はいいオモチャになりそうだ(ニヤッ)って、
稽古場でやっていることは、まさに『自分をオモチャにして遊ぶ』ことなのだけど。
ときどき、楽しさより痛みや恥ずかしさや恐怖が先立って、
遊べないことも多いけれど…
知るか!!
舞台上のオモチャは自分だけなんだ!!
あ、あと5人の仲間も。

人と自分をオモチャにしながら、
バカバカしく、真剣に、不真面目に
歩いていきたい2011年です。

水田菜津美

11/01/24

The Dead Father

『修了公演にまつわる話〜研修生編』

「修了公演の題名は、『カレーライス』にするから。」
担当エチューダーの小笠原さんにそう言われたとき、
思わず私は仲間と顔を見合わせました。
研修生全員が口に出すことは出来ないけれどダサ
いと思ってしまったことを、小笠原さんは敏感に感じ
とったようです。『カレーライス』なんて、超庶民的じゃ
ないですか。私達が一年間苦しんで足掻いてきた
ものの最終結果が、何だか所帯染みてくる気がして…。
な、なんで『カレーライス』なんですか。

「カレーライスってどこの家でも絶対作るけど各家庭で
味が違って個性があるじゃん。野菜も素材のままだと
シンプルな味だけど、煮込めば旨くなるじゃん。
いってみれば○○はジャガイモで、△△は人参な訳よ。
ちょっと泥臭いけど、まさにあなた達にぴったりじゃない。」

成る程・・・まだ理論で反論できない私たちは、所詮
泥臭い奴らなんだと認識したところからスタートした
修了公演。今でも強烈な思い出として残っていますが、
その中のベスト3を発表します。


3位
オープニングの寸劇で私を襲う場面の稽古中、相手に
「お前じゃ襲う気がしない」
と言われ、ぶち切れたこと。

2位
イメージシーンのアイデア出しのとき、顔面に生肉を
貼り付けるというレディー・ガガ顔負けなことをやった
のに、内容がなかったためあっさり却下されたこと。

1位
劇団員になって数年経った頃、もう一人のエチューダー
である斉木さんに
「どうして、物真似が本番になるにつれてあんなにつまんなくなってっちゃったの!?(笑)」
と言われへこんだこと。

とまあ、どれも笑い話ですが当時は必死でした。
心の底では、これはあくまで研修生としての公演なのであって、一年間の結果発表の場という認識で挑んだものです。すごく面白かったけど、早く次のステージに進みたかった。確か当時はもう少し規模が小さく、研修生発表会とよばれていました。その『発表会』という名がすごく嫌でした。
でも、先ずは『カレーライス』。これをしっかりやらなければ、その先はありません。

そうです、今回も、先ずは『The Dead Father』!!

三井穂高

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