11/05/16

傾城反魂香/ルーマニア

ふつふつ

毎日『傾城反魂香』の汗だく稽古に追われています、
山口笑美です。
稽古が終ると歩けません。

この芝居はタイトルに「傾城」とつくだけあって、
廓や遊女達が登場します。

まだキャストが決まる前に遊女の事を調べていたら、
「20代半ばで病気や火事などで亡くなった身寄りのない遊女達は、三ノ輪にある淨閑寺の穴に投げ込むように葬られた。」
ということを知り、
なんと切ない!これは行かねば!
と「投げ込み寺」と呼ばれているその淨閑寺に行ってみました。

お寺の墓地の真ん中に‘新吉原総霊塔’があり、
なんと脇から中が見ることができました。
中には沢山の骨壺が納められていて名前が書かれたものもありました。

遊女達の悲しい生涯を目の当たりにしたような感じがし、
ズドーンと胸にくるものがありました。
「しっかり演じてきます!」
と手を合わせてお寺を後にしました。

その後、キャストが決まって、遊女みやを演じることになり、
沢山の遊女達から「ちゃんと演じてよ!」と言われている気がして
「頑張ります!恥じないようしっかり演じます」
と再び心に誓いました。

しっかし姉さん方、遊女役って難しいっす・・・。

今回演じる事になったみやという役は、親の為に廓に身を売り遊女となり、
絵師の元信と出会い恋に落ち、死んで幽霊となります。

みやは、遊女として悲しみや苦しみなどの感情を抑え、
相当自分を押し殺した日々を過ごしたのでしょう。
抑えていたものが自分でも気付かないうちに巨大化していて、
そんな時にたまたま元信という人に出会ってしまったばっかりに、
みやのなかでそれが爆発して自分でも想像できないパワーになり、
肉体を超えてしまったのだろうなと思います。

幽霊になるってすごいパワーだと思います。
マグマがふつふつしている状態なんですね。

今の私の肉体や精神はみやのそんな状態にはまだまだほど遠いです。

自分を押し殺すどころか昨晩は誘惑に負け夜中にパフェを食べてしまった!!

なんと弱っちい自分・・・
私の中のマグマをためこまねば!!

遊女の姉さん方、見ていてくだしゃんせ。

山口笑美

11/05/13

傾城反魂香/ルーマニア

電車のなかの声の主

某電車内。
イヤホンが音漏れしたかのような低い響きが車内に響く。

「おおあえあいい、あえあえあえあおあ…」

あれ?
今時滑舌を音楽替わりに聴いて、
音漏れしているなんて珍しい状況…。
音のでる方に視線を送る。

「この竹垣に竹たてかけたのは…」

チラと見えるあれは、山の手事情社で配られる滑舌表!
誰だ!? 劇団のワークショップ生?
同じ向きに座っているため顔が確認できない。

しかもテープレコーダーではなく、ブツブツ呟いている。
声が本人の予想を超えて車内に響きわたっていたのだ。
低い声からして、男!?
あれ、今年のワークショップ生に毛の長い男いたかしら?
車内の人々も何事かと、声のする方に視線をおくる。
よく受験生が必死に参考書を開き、
勉強している姿は見かけるが、こんな光景は初めてだ。

正直うるさいので、送られている視線は冷たい。
しかし私は微妙な立場だけに笑いが止まらない。

世の中が試験科目に滑舌表や戯曲を加えたら、
さぞかし車内はうるさくなるだろう。

そして、あんな視線を受けなくてすむのだろうか…。
結局終着するまで、そのサウンドにさらされる事になった。
正体は新劇団員の佐織。

「あ、麻里絵さんっ!」
「お前だったのか…!!」

ルーマニア公演に向けて稽古が進む中、
出演しないメンバーはスタッフ作業など別の仕事に関わる。
自分の稽古時間がなくなるわけで、寸暇を惜しんで稽古していたらしい。
周りの目を気にせず(一般的には迷惑という)打ち込んでる姿はちょっと、羨ましかった。
人は、知らぬ間につまらないもので自分を縛ってしまうから。

私と言えば、思うようにならない身体に辟易する毎日。
何年やってきたんだと自分に呆れ、
しかし、理想は高く少しでも近づけるように現実に目をむけます。

稽古場は今日も汗だくな人達で湿気満載です。

植田麻里絵

11/05/12

傾城反魂香/ルーマニア

マングローブ

稽古場でマングローブと言われ。
マングローブ?
何のことやらと
家に帰り、ググってみる。

・・・。

オカマかい。

今回、10名の出演者なのだが、
途中の《ルパム》と呼ばれる山の手事情社のダンスシーン。
踊り手が男子5名、女子3名の計8名。
元々、男の振りと女の振りにわかれた構成になっているこの《ルパム》、
男女比を半々にしたほうがいいのではという話し合い。
ふんふんと聞いていたが、
女振りに回される。
いつもは女性が演じている雅楽之助を今回、男性が演じます。
つまり、俺。
《ルパム》もそのまま斉木が引き継ぎ、振り写し。
腰をぐわんぐわん動かしたり、
ぐいんぐいん寝転がったり、
ぐいぐい腰を突き上げたり。

そして、冒頭の発言に巻き戻る。

サイキック・マングローブ。

雅楽之助は元々、男なんだ。
男だからこそ出来る雅楽之助像をつくろうじゃないか。

待ってろよ。
ルーマニア。

斉木和洋