11/06/06

傾城反魂香/ルーマニア

トゥルダ・劇場入り

今日はトゥルダの仕込み。
二時間かかるバミリを昨日の下見のうちに終わらせ、基本的に時間にセカセカしないルーマニアの現地スタッフの方が、私達より先に劇場入りしている。

良好良好!!

照明は、朝から卓を設置したりプロジェクターを設置したり。
舞台はシビウからバラシて持ってきたパネルの接続に入り2個しかないインパクトを奪い合い振り回わす。
舞台監督の本さんは、指差しルーマニア語をパンツのポケットに常備しルーマニア語を振り回す。
「ダーダーダー!!」(ダーはイエス)
「ムルツメスク!!」(ありがとう)
「バトン、チョッツト、アァップ!!」(英語風)

さてさて、ルーマニアでは照明スタッフとして活動している私。バミリがない分早く吊りこみに入れる。よし、巻いていこう!!
ルーマニアの現地スタッフの方は基本的に、渋目のおじさん。
「おじさん、おじさん、これ、ココに吊りたい。」
言葉が通じないのをいい事に、呼び名は基本おじさん。そしてタメ語。
ツアー用の仕込みなので灯体の数は少なめ。日本なら一時間で終わるような量。
通訳の志賀さんの力を借りて現地の方と打ち合わせ。
「パーライト5灯ありますか。」
『1灯ならあるよ。』
「ココとココとココに灯体吊りたいんですけど。」
『うーん、ケーブルが足りないから買ってくるよ。』
け、ケーブルを買ってくる!?
そこから怒涛の吊り込みが始まった。おじさんがグルグル巻きのコードを買ってくるや否や、距離を測ってバツバツと切り始め、おもむろにプラグ(差込口)をつけ始める。
・・・・・・
とりあえず見よう見真似で参加。
『違う違う、こうするんだよ。』(って言ってたんだと思う。)
あー、なるほど。
そのまま数々のコードを作り続ける。
これ・・・終わるのか!?
と思いながらもさらにコードを作り続ける。
舞台に入るおじさんについて行くと、おじさんが灯体についているコードを引きちぎる。もう何がしたいのか分からなくなって来たぞ。って思っていたらおじさんも分からなくなってしまい、照明の菅橋さんさんと私はフリーズ。
・・・・・・
ノンノン!!
気合を入れ直し再び動く。
すると、他の現地スタッフの方が手伝いに!!
『ガター』
「ん??」
『ガター』
「終わった!?」
『ガター』
「ムルツメスクムルツメスク!!」
『ガター』
「菅橋さん終わりました!!」

12時に終わる予定だった吊り込みが終わったのは15時。
その後は照明スタッフの菅橋さんが22時までにちゃんと明かり作りを終わらせ何とか終了。

ケーブルを作ると聞いたときは目が飛びでましたが、ケーブルがないから無理というのではなく、買って来るという頭になる現地スタッフの方の臨機応変さに、懐の広さを感じた一日でした。

小栗永里子

11/06/06

傾城反魂香/ルーマニア

トゥルダへ

6月5日、2都市目のトゥルダに移動。
日本では考えられない大自然を縦断、北へ約200Km。

ルーマニアの人って、話すときにちゃんと目を見て話すんです。
車の運転中も。
そう、車の運転中。
まっすぐな道だからかなぁ、と思いきや、山越えのくねくねした道でも。しかも、今回の運転手さん、真後ろ向いて話すという高度な技をやってくれる。
全員で「運転手さん、前、前」
とっさに出るのはやっぱり日本語。すごい勢いで言ったので、さすがの運転手さんも分かった様子。この時は。
いつ事故が起こってもおかしくないルーマニアの交通事情。最後まで誰もケガしませんように。

福冨はつみ

11/06/05

傾城反魂香/ルーマニア

観劇の鬼

ラドゥ・スタンカ劇場での本番を終え、シビウ滞在最後の1日。
朝食の席で演劇祭のプログラムとにらめっこをし、今日の観劇予定を立てる。
タイトルだけを見ても内容が分からないので、面白い作品にめぐり合えるかどうかはある意味賭けだ。
午前中はワークショップや記者会見が主なので、街全体が見渡せる時計塔に登ったり、市場まで足を伸ばしたり、ランチタイムにルーマニア料理に舌鼓を打ったりして過ごす。
言葉の壁もなんのその、旅の恥は搔き捨て!とばかりに、一人で買い物も出来るし、オープンカフェにも入れる。

今日の演目で見に行こうと決めた作品は次の3つ。
イランの「レクイエム・オブ・ヒロシマ」
クロアチアの「ティナ,ユー・アー・ラブリー」
ラドゥ・スタンカ劇場の「オフ・ザ・カーニバル」

とにかく1本でも面白い作品に巡り合いたい!といろんな劇場を飛び回る。
イラン(山の手事情社に入団を希望!)とクロアチアの作品は残念ながら面白くない。
面白くはないが、言葉が分からなくても内容がなんとなく理解できるところは演劇の力だと実感。
ラドゥ・スタンカ劇場の代表作「ファウスト」と同じ演出家の作品ということもあり、「オフ・ザ・カーニバル」に期待がかかる。

開演30分前に劇場にたどり着き、当日券を探すが、すでに入り口が黒山の人だかりで入手不可能。
警備の警察官が睨みを利かせ、スーッと入ることなど到底出来そうにない。
チケットを持っている人がスイスイと劇場に入っていき、さらにじりじりと焦る。
たぶんチケット係りのボスだろうと思われる女性(山本モナそっくり)にお金を見せて「チケット!チケット!」と叫ぶが無視される。警備員に関係者パスをかざすがやっぱり無視される。
開演時間を10分程過ぎ、ようやくチケットを持っていない人がどーっとなだれ込む。
「いれろーっ!!」
しかし私たちが入る直前で空しく扉が閉まる。
こうなったら、と警備員に色目を使ったが通用せず、楽屋口から入ろうとして怒られ、地元のルーマニア女性に不幸を訴えたが(しかも片言の英語)結局入れない。
去年はこんなに厳重警備じゃなかったのにな・・・。
後から聞いたところどうやら客席に政治家が観劇に来ていたため、厳重警備だったらしい。
仕方ないのでビール飲んで諦めよう。
しかし・・・これだけ観たい観たいと言ってくれたら演じるほうは本望ですよね。

12月の山の手事情社の本公演もアサヒアートスクエア前に黒山の人だかりが出来て、「入れろ!」という暴動が起こるように頑張らねば!

安部みはる

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