12/09/11

トロイラスとクレシダ

Try×3

皆さん初めまして、新劇団員の田中信介です。

公演に向けて2度目のベタ稽古が始まり早1週間。

テキスト部分のキャストも決まりシーン稽古も本格的になってまいりました。

一本の戯曲を使った舞台に立つのがほぼ初めての私は短い台詞ひとつにも悪戦苦闘。

「そんなの素人の読み方だよね。」
…持ってきた考えの甘さを指摘される。

「え、そんなイメージだったの? そうは聞こえなかったけどね。」
…自分のイメージを台詞に上手くのせられない。

ちくしょう、自分ってこんなに何も出来なかったのか。

わかってはいるつもりだったが本当に大変な作業の連続だ。自分ではなんとなく「解釈」というものをもっていたつもりでも、いざ聞かれると上手く説明出来ない。
自分の言葉で説明できないものを、芝居で表現なんてできないということを改めて肌で感じた。
ましてやこれから≪四畳半≫で身体を動かしていくのに、今の漠然とした「解釈」では身体は全く動かないだろう。

今は稽古なんだから例え間違えたっていい、なんの根拠もない自信なんか捨てて、自分の考え全てを疑ってかかるつもりでいかなければ、なんでもない芝居になってしまうぞ。

そんな結果になるのは絶対に嫌だ!

「トロイラスとクレシダ」という舞台に確固とした存在で立ち、池袋に私がいた爪痕を必ずのこして見せます。

12/09/08

トロイラスとクレシダ

湧く沸く

山の手事情社の作品にはいくつかの演劇的な要素が複雑に絡み合っている。

まずは戯曲。今回は『トロイラスとクレシダ』である。作者は皆さんご存知大先輩シェイクスピア。

続いてエチュードやグループワークでつくったシーン。あるテーマの元、言葉や身体を駆使して作品世界を凝縮してあらわすもの。

そしてルパム。簡単に言うとダンス。日本人である自分達に合った踊りは何なのか?という疑問点から創ったダンスシーン。
他にも色々ありますが現在はこの3要素が主要になっています。

そして本日ルパム稽古が開始しました!
先日のルパム発表を経て、厳選されたルパムを皆で稽古していきます。
「この動きはこういう意味です」「この動きはこういう感情です」と提案者の説明を受けて黙々と踊る劇団員。汗が滴り落ちる。吐息が漏れる。熱気でガラスが曇る。最後に自分の両肩を見ると真っ赤な痣ができていました。(何故かは本番のお楽しみ)

ルパム稽古をしながらふと思う。「皆何の疑問も持たずにこの振りを受け入れている」「終わりがない」「同じ事を繰り返して俺達は軍隊か」
軍隊…? そうか! これこそ長年戦争を続けているトロイ軍とギリシア軍の心情なんだ! (強引)
きっと戦いを止めたかったろう、逃げたかったろう。でも名誉や集団の意思がそれを許さなかったろう。
戦いの結末は勝利か敗北のみ。たとえ勝利しても新たな戦いがすぐ始まるだろう。
こりゃたまらんな、キツイわ。

でももしかしたら気持ち良いかもしれない。生死の狭間に立ち、生きる実感を得てワクワクしているかもしれない。

今はこの芝居がどう転がるかにワクワクしているぞ、俺。

このワクワクを更に凝縮して10月池袋でお待ちしています。


川村岳

12/09/03

トロイラスとクレシダ

「名誉 」とは「いらぬこだわり」?

現代の自分達にとって「名誉」って何?
立派に世に名を残す事?
素晴らしい業績を上げること?
なんでしょう。

ブラピの出ている映画『トロイ』では、ギリシャ方のアキリーズが「名誉」にこだわる。
戦って歴史に名を残す事がそんなに価値ある事なのか?

この作品でキーワードでもある「名誉」
結局この事を追い求めることでトロイ側は破滅に向かって行く。
「名誉」といえばかっこ良いが、「いらぬこだわり」とも感じる。

トロイ側の会議で散々ヘクターが正論を述べた後、結局「名誉」が大事だから“俺たちやっぱり戦うんだ”って場面があるのだが、めちゃくちゃ矛盾を感じる。いらいらする。
名誉の為でなく、結果名誉になればいいのに…バカだなあ。

戦争が7年も続き、兵力も気力も落ちている中、続投を決めるのだ。
もはや兵士もなんの為に戦っているかさえわからなくなっているのだろうに。
やめてあげたらいいのに…。

ヘクターの奥さんや、予言をする妹の言葉も一向に耳に入らない。
建前は正論をかましていても、結局私欲に突き動かされているのがじわじわわかる。

良くも悪くも私達が社会生活を送る中で普段押し隠している様々な欲望。
隠された部分、若しくは隠しててほしかった部分が、淡々と描かれている。

だからいらいらするのかもしれない。

森下スタジオに入り、早速台詞稽古。
会議の長々しい台詞と格闘。
日常生活の中で理論的に話していない為、苦戦。
しかし何か見え隠れはしている。

よかった、よかった! めでたし、めでたし!
といかない所にこの作品の魅力が詰まっているんだな、と改めて思う。
そしてその淡々といらいらさせる正体を描けたら面白芝居になる!
その感覚を掴むべく『トロイラスとクレシダ』の世界に飛び込むのみだ。

植田麻里絵


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