12/09/24

トロイラスとクレシダ

このエージャックスって大将はね…

『トロイラスとクレシダ』の稽古は目下、ルパム作りもありますが、主に読み稽古と女性はショートシーン作りの日々です。

ところで、『トロイラスとクレシダ』にも登場している古代ギリシャの将軍「エージャックス」をみなさんご存知でしょうか。おもに「大アイアス」と訳されている事が多いこの方を。
実力はあのアキレスの次。父親がヘラクレスと知り合いで、赤ん坊の頃ヘラクレスにその身に纏うライオンの皮でくるんでもらったことがあるため、首とわき腹以外は無敵。性格は極めてプライドが高く怒ると非常に怖いが、持ってる大盾で味方を守りながら戦ったり、戦闘中死亡した味方の遺体を担いで陣地に持ち帰るなど情にもあつい。

エージャックスに限ったことではありませんが、今回の舞台の登場人物達は皆こういった設定が欲張りな伝説超人達です。一体どう演じればいいのだろうか。当たり前ですが言動はとてもとても私現代の我々とはかけ離れている。台詞をそのまま声にすれば何とも実のない人物の完成である。皆どうしたものかと悩んでいる。
そんな時私が利用するのは事務所二階の狭い部屋。なぜなら一人閉じこもり台詞や行動に集中すると超人達は超人達ながらがなぜそんな言葉をはくのか何を思っているのか少しずつ自分に近づけることができる気がするからです。

この引きこもり戦法で最終的に何ができるのかまだわからないのですが、ここから出たとききっと面白い舞台をお見せします。

鯉渕翼

12/09/19

トロイラスとクレシダ

間違っているかもしれないけど

朝晩は大分過ごしやすくなりましたが、まだまだ暑い日が続いていますね。お元気ですか?
山口笑美です(^-^*)/

10月公演久々の新作です!!
そしてクセあり作品
『トロイラスとクレシダ』

まだまだ雲をつかむような状態ですが、僅かなキーワードからネタ出し作業に必死の日々です。

先日は演出の安田から
「作ってほしいショートシーンのイメージを伝えるから」
ということだったのでどんなイメージ来るかワクワクしていたら、
「トロイ側の女とギリシア側の女のシーンを作ってほしい。犬でもあってもカラスであっても良いね。明日見るから」
とのこと。

なんじゃそりゃー
それってなんでも良いってことじゃないかよーそういうのが一番難しいんだよー

と咽まで出かかりましたがぐっと押さえ、
脳みそフル回転させ、チームでイメージを出し合う。

不思議とイメージシーンが次々出てきました。

砂を亡くなった人の灰にみたて過去を語る女性達

犬のように乱暴に靴を口で拾い上げる女性達

大量に玉葱を切って、見ている人を涙目にさせながらハンバーグを作る女性達

カラスのようにゴミを分別する女性達

などなど
どのネタが本番にのるかまだ分からないので全ては言えませんが、

演出側のまだ形になっていない感覚と俳優達の感覚が近づいている感じがしてきました。

もしかして今やっていることは全て間違っているかもしれないけれど
そんなことはあまり考えず
今の感覚を信じて突っ走ろうと思います!

『トロイラスとクレシダ』新しい山の手ワールドが出来上がりそうな予感。
ちょっとワクワクしてきました!!

山口笑美


12/09/17

トロイラスとクレシダ

玉堤一丁目の夕日

『トロイラスとクレシダ』稽古に励んでいます。
二階にある第2スタジオで、チームのメンバーと《ルパム》(山の手事情社のオリジナルダンスシーン)作り。
トロイ戦争が物語の舞台となっているので、《ルパム》も「戦い」をテーマに製作。

「よし、戦いのルパムだから、とりあえず相撲を取ろう」
と誰かが言えば、メンバー入り乱れて相撲大会。 男優女優関係無く。 全員30代。 真っ昼間から。 外は33℃。 大の大人が取りも取ったり。 負けず嫌いだから腕に噛みついたり。
一通り終わると、
「ハァ。よし、見えてきたな。ハアハァ。ゼエゼェ。」
本当か?
でも悩んでる時間はありません。 その動きを元に様々な加工をして、『ルパム』の形にしていきます。
行き詰まったら、原点に戻りまた相撲。 これ大事。
そんなアラサー相撲大会から出来た《ルパム》がどう仕上がっているかは、劇場でのお楽しみ。

時間が経って、
「ハァ。少し休憩ハァ、しようゼェ。」
と空気の入れ換えで窓を開けると、昼間から始めた稽古がいつの間にか夕方に。
多摩川の彼方に落ちていく夕日がキレイです。
心も身体もリフレッシュしたい、こんな時は炭酸です。
サイダーを飲み、夕日を眺めているとお祖母ちゃん家の縁側を思い出します。 完全に昭和感。
「豆腐屋のラッパでも聞こえてきそうだな。」
と思っていると、
『パアッパア?プゥ?』
と、調子ハズレなラッパの音。
「あれ、これは…ラッパは外で鳴っているんじゃない、1スタで鳴っているんだ!!」
そう、一階にある第1スタジオで行われている台本の読み合わせ稽古、その途中にある出陣シーンで鳴るラッパの音を、演出助手の小笠原くみこが「口で」出しているのでした。
『パアッパア?プゥ?』
「お、また出陣だ。」
『プゥ?プゥ?パアッ!』
「お、これは…? あ、ラッパの音にダメ出しが入ったんだ!」
そう、口ラッパの音にも演出が入ります。

沈む夕日に別れを告げ、僕達もまた相撲大会、いや、《ルパム》製作に戻ります。
こうして(?)劇団員総動員で創られる『トロイラスとクレシダ』見たこともないシェイクスピア劇が出来上がりそうな予感です。

文秉泰