13/06/02

道成寺/モルドヴァ・ルーマニア

ひさこ

ずい分長いこと「久子」という役をやらせていただいてます。
ふつうの道成寺にはない役で、郡虎彦さんの書いた「道成寺」にしか出てきません。
“薄幸の美女” みたいに描かれていますが、意地悪に言えば雰囲気重視の描き込みの薄い役で、宮沢りえさんあたりがおやりになれば難なく成立するのでしょうが、なにぶん私なので、難しいなぁ〜と常々思っていました。

とはいえ、10年以上繰り返し上演しているので、食傷気味だわ…と罰当たりなことを考えながら、2年前の上演DVDを観ていると…
いつもなら、自分の演技は嫌で嫌で観ていられないのですが、なぜか登場の姿は我ながら「いい!」と感じ。
それなのに、その後が繋がっていかない。こうありたいという感じは掴んでいるのに、そこに迫っていかない。後半は「おおくぼみちこ」がガンバっている状態。嗚呼、久子は何処へいったの…?(涙)

今、初演以上に深い闇の中におります。勘でやっていたことを、ひとつひとつ洗い直し、繋がるようにしたいのですが…本日の通しでも、曖昧なところで、今までの慣れた久子にのっとられてしまいました。

久子は妊娠していますが、まさに今、10年以上もやっていてまさに今さら、私の久子が産まれようとしているように感じます。

暗い産道を久子が必死で出てこようとしている。これを産まなければ。産まなければ。産まなければ。

気合い入れて3回書きました。
産んでみせます。
応援よろしくお願いします。

大久保美智子

13/06/01

道成寺/モルドヴァ・ルーマニア

これで失敗したら次はない

毎回そういう思いで死に物狂いで稽古に励む。

今回も再演とはいいながらも、
はたしてこの作品面白いのか?
私達の大切にしている事がどれだけ伝わるのか?

ともう一度作品全体を見直してみる
となんと足りないことの多いことか!

一番見せたい俳優の姿=人間の姿、人間どおしのぶつかり合いなどはスカスカではないか。

作品の枠組みに安心して、《四畳半》という形に安心しているのではないか。

そういうぬるさはバレる

今まで何をやってきたんだとまたへこむ。

それと同時にまだやるべき事は多いし、
もっと面白くなる!と思うと興奮もしてくる。

何度も再演している「道成寺」がまた生まれ変わる
今回はどうなるのか!?

早く見せたい!!

心から「すごい」と感動させられる作品になるよう残りの時間もっと突き詰めたい。

そしてルーマニアの観客を金縛りにさせてやる。

山口笑美

13/05/31

道成寺/モルドヴァ・ルーマニア

渡航前の稽古場

渡航まで一週間を切りました。
再演と言えども、本番一週間前はピリピリした空気が稽古場を流れます。
演出家の稽古の時間そのシーンに出演していない俳優は自主稽古を行うのですが、この様子がなんとも不思議。
※ 「あぶない刑事」のオープニングを想像しながらお読みください。
※ 登場人物の発言は確かではありませんが、ニュアンスはあっています。

 稽古場に入る前の廊下では、缶コーヒーを持った男優が「やっぱりお前たちも悪邪の化性(けしょう)だな!」とブツブツいいながらお出迎え?

 その廊下を進んだ先にある水場には、妊娠風情(臨月を超えたと思われる、大きなお腹)の女優がブツブツいいながら洗い物をしており、歓迎ムード?

 稽古場の前室に入る扉を開けると、向かいにある更衣室からは「なぜ〜? なぜっ? あんっ???? あ〜ん????」と女優の喘ぎ声。

 稽古場の扉を開けて入ると右横に、ピンクのカツラをつけた女優があぐらをかいて日本語ではない言語でブツブツ言っている。

 その左斜めには大量のろうそくが置いてあり灯した形跡がある。その横にはなぜか黒いハサミが置いてある。

 稽古場の隅から「変な音が聞こえます。」と連呼する、男優の声。

 本舞台からは「その身体は何を物語っているんだよっ! えっ!? なにを物語っているんだって言うんだよ! ばかっ!」と演出家の怒号。その視線の先には、下唇を噛みしめる男優と、涙を必死にこらえる女優の姿。

演出家の後ろにはその日、見学にいらした方々がちょこんと座っている。
異様な空間…。こんな緊張感ある稽古場はそうそうないだろう。
この作品がどう評価されるか、どうぞご期待ください。

浦弘毅

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