14/03/09

ヘッダ・ガブラー

『ここだけの話ですが』

今回タイトルロールを演じる山口笑美は、
私が研修生のときに担当でみていただいた先輩です。
いままでたくさんお世話になってきて
こんなこと言うのはなんですが、
当初、いつも明るくて若々しい笑美さんと
ヘッダ・ガブラーのイメージがいまいちつながりませんでした。

笑美さんは人に対していつも温かく、優しい。
誰とでもちゃんと正面向き合って話をするし、
メールのやり取りも丁寧だし、
(メールは必ず最後は後輩が送って終えること! )
私が妊娠中は、ご自身が出演する本番が近くなっても一緒に頑張ろうと励ましてくださった。

誰とも打ち解けず、他人への愚痴ばかりのヘッダとはまるで違う。
それに死ぬほど退屈な毎日を送っているヘッダと違い、
笑美さんはいつも演劇に熱い情熱をそそいでいる。

ヘッダと笑美さんの共通点といえば
髪の毛へのこだわりでしょうか…。
ヘッダはテアの髪の毛に嫉妬しますが、そういえば、笑美さんは前髪の分け方がずっと変わりません。

あまり関係ないか…。


ただ時々、笑美さんの舞台への情熱のなかには、
謙虚過ぎるような一面を感じることがあります。
これだけ経験を積んできているのに、
「私なんて」 というか、
何か途方もなく理想が高すぎるというか、
自分自身を簡単に肯定しないで常に闘いもがいているような姿を見ることがあります。
ほんとにほんとに、普段の表情とは裏腹なのですが、
私は実は表現者として笑美さんのそういうところを尊敬していて、
そういうところ、もしかしてヘッダとつながるんじゃないのかなあ。


いま稽古場では山の手事情社の、山口笑美の『ヘッダ・ガブラー』 が少しづつ姿を現してきています。
いままで観てきたあの方とは全く違う姿が観られると思います。

ぜひ劇場に足をお運びください。

越谷真美

14/03/09

ヘッダ・ガブラー

「ヘッダ・ガブラー」上演に向けて 大久保美智子編

映像でお届けする、「ヘッダ・ガブラー」への意気込み、
第五弾は、大久保美智子です。



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「ヘッダ・ガブラー」
※ 公演詳細は、タイトルをクリックしてください。
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14/03/09

ヘッダ・ガブラー

『近代劇への挑戦』

イプセンの作品は推理小説のようだ。台本に入り込んでいく作業は、解釈というより推理に近い。

登場人物の行動や過去の出来事などで台本に書かれていないものがたくさんある。セリフで語っていたとしても本当かどうかわからない。
こちらでいろいろ想像して、矛盾の起きない筋道を探っていくことになる。
謎解きは面白い。

また当たり前だが、ひとつとして無駄なセリフはない。無駄に見えるようなセリフも、解釈が進んでいくと、しっかり意味のある言葉として論理的に書かれていたりする。

だから芝居を作っていく過程は、ジグソーパズルを組み立てていくような作業にもなる。
大変だが、パズルのピースのつながりがわかった時の喜びは大きい。

しかし問題はこの作品の質の高さを山の手のスタイルでどう舞台に実現するのかだ。

もしかしたらそのために、今までのこだわりを捨てる必要が出てくるかもしれない。

自分たちがやり慣れたことをあっさり壊していく…

それは難しいことだけど、ゾクゾクするような楽しみでもある。

山本芳郎