14/03/07

ヘッダ・ガブラー

『ヘッダの屋敷』

今『ヘッダ・ガブラー』 が作られている山の手事情社の事務所は、一見稽古場まで備わっているような建物には見えない。さらに内部は厳重な遮音工事のため、とくに階段は分厚い壁と巨大な扉に仕切られ薄暗く、稽古場は稽古中外の光が一切入らないなんて事はもっとわからない。見た目じゃ中身はわからない。何となく人というのもそんな感じだなと思った。

ヘッダという女は美しい見た目とは裏腹に、何を考えているのかわからない。不満なこともそうでないことも全て察しろ感じろと相手に向かってはっきり言わない。遂にはその無言の不満が人を破滅させ、自分も破滅させる。
外見は綺麗でも中身はドロドロ。いくら美人だったとしても夫婦として一緒に暮らしていくなんて私だったらとても耐えられない。こんな女に引かれるテスマンもレーヴェボルクもおかしいのではないか。しかし、そうは思うものの、危ない何かを内包した女性にどこか引かれてしまう気持ちもわからなくもない。自分が有利で安全な立場が確保されているならものにしてしまおうとするブラック判事の様なところは自分にもある。自分が絶対安全なら持ち物は珍しければ珍しいほど良いものだから。
外見はとても綺麗だが、外からではその複雑な内部が見えず、一度立ち入ろうとすればたちまち想像だにしない罠や仕掛けが待ち受ける。しかし土地が大変な価値を持っている。ヘッダという女を建物にしたらきっとそんな風になるだろう。
山の手事情社が建築する『ヘッダ・ガブラー』 を是非見に来てください。

鯉渕翼

14/03/06

ヘッダ・ガブラー

「ヘッダ・ガブラー」上演に向けて 川村岳編

映像でお届けする、「ヘッダ・ガブラー」への意気込み、
第四弾は、川村岳です。



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「ヘッダ・ガブラー」
※ 公演詳細は、タイトルをクリックしてください。
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14/03/05

ヘッダ・ガブラー

『稽古は日々加速中』

3月の公演『ヘッダ・ガブラー』 の稽古は日々加速している。
私が今公演で演じる役は、主人公であるヘッダと過去になにか関係のあった、エイレルト・レェーブボルクという役だ。

彼は簡単に言えば天才(知能指数IQに限る) である。家族からも、周りからも期待されていたが、破天荒な性格から自分の身を滅ぼしてしまう。

この役について自分なりに色々調べてみて、矛盾しているかもしれないが、天才というのは本当にバカだなと思うのである。
よかった天才でなくてと思う今日この頃である。

本来天才とは自分で決めるものではなく、他者との比較によって他者が決めることであって、非常に曖昧でいい加減なものである。

また、主に何かの分野において突出した能力であることが多く、社会に適応出来る能力とはまた違う。

天才が本当にいるならば、それは努力に努力を重ねた人で、天から授けられた才能は、強い好奇心と情熱の持ち主で、それを社会で活用できる人だろう。
周りからちやほやされて有頂天になっているやつは到底天才とは言えず、凡人極まりない。

歴史を辿れば、天才という人は概ね、社会にから外れ、ある1ジャンルに傾倒していることが美徳と思われがちである。

そりゃそうだろう。社会生活に突出している人は、その社会に生きている人たちからは、同ジャンルであるがゆえに比較にしづらいからである。(しかしそういう人はたくさんいる。)

ということは、レェーブボルクは天才と周りから言われているが、実のところ社会性がなく、一つのことしか考えられない、ただのバカなのである。

バカを演じることは本当に難しい。何を考えているのかわからないからである。
何の言動に引っかかり、その時に何を感じているのか?
社会に順応できている私には理解不能なのである。こりゃまた、厄介な役だ!

自分の日々の行動をちょっとずれたところに置き生活してみる。休みがある日は急遽思いついたことをやってみる。突然東京から離れ、異郷の地で喫茶店に入りのんびりしてみる。
初めて会った人に積極的に声をかけてみる…。

おいおい仕事に疲れた人の軽い現実逃避じゃないかっ!
俺って、ふつ〜うっ!

次は無駄に酒をアオってみる。食いたいものを腹一杯以上に食べてみる。電車などの交通機関で可愛い女の子がいたら凝視してみる。最近降り積もった雪を見て蹴っ飛ばしてみる…。

おいおい仕事でストレスの溜まったオヤジの行動じゃねーかよ!

間に合うのかこんなことでっ! 俺!
是非、天才バカが破滅する様を劇場まで見に来ていただければ幸いです。

ご来場お待ちしています。

この文章は「これが衝動だっ! と意気込んで、東京を飛び出した先の仙台で作っている。
ん〜、結局こんなことやってる俺って、ふつ〜う…

浦弘毅