14/07/01

にごりえ

『田中信介を忘れてはいけません』(俳優紹介)

この人を忘れてはいけません。

濃いー顔とはうらはらな身のこなしに、最近は天パーなのにさらにパーマをかけた異様な存在感は、女優陣に気持ち悪がられようとも我が道をゆく。

唯我独尊。

それが田中信介だ。

彼の声は天下一品、その澄んだ声は、どこにいても聞く人の心に突き刺さる。

彼が必死に紡ぎだす言葉は舞台の上で最も印象に残ることだろう。

あどけないちびっ子から老人、タキシードの似合うイケメンからボロをまとった変人まで、一度にいろんな役を演じ分けるぜ。

最近は山の手宴会部長として、手の込んだ手料理を披露し、皆に一目置かれる。

以外と繊細な一面も併せ持つ男。

たとえ山の手女優陣に総スカン食らっても、かまうものか。

その異様な存在感はきっと観客の釘付けになることだろう。

田中信介が『にごりえ』 で大暴れするのはまちがいないっ。

岩淵吉能

14/06/30

にごりえ

『ど若手! 高橋真理!! 』(俳優紹介)

名前だけ見ると女の子みたいだが、これで「タカハシシンリ」 と読む。たぶん、本人は男っぽくありたいんだろうな。という態度をとることが多い。

彼について簡単にいうと、ただひとこと。子供である。まあ、私のようなオバハンから見ればみんな子供だという意見もあるが、彼は群を抜いているのである。
時間は守れない。
ランニングに行けば道を間違え大回りをして帰ってくる。
毎日同じジュースを買って、空き缶を集める。
服は見事なまでに脱ぎっぱなし。
帰り際、同期の佐々木といつまでもくっちゃべっている。
研修生の時に担当だった私は毎日のように「高橋! 私はあなたに演劇を教えにきているんであって、社会常識を教えてるんじゃないの! 私はお前の母親じゃないんだぞ! 」と叱っていた。

言われた方の彼は、なんだか怒鳴られるのが嬉しそうに、にやにやしていたりする時もある。全く! まあ、そこが子供なんだけどね。

でも、まあ、いいところもあって、逆に言うと大人のいやらしさはない。人にへつらったり、お世辞を言ったり、権威に屈するようなところがない。つまり、「嘘」 がない。

一方、俳優は嘘をホントのように生きている。俳優はホントのように感じながらこれが嘘だということを誰よりもわかっていなければならない。限りなくホントに近い、あるいはホントを通り越した嘘の世界だ。

その嘘とこの嘘は、違うように見えるけれど、全く関係がないわけではない。

私は、彼にはずっとお世辞やへつらいの言えない人間でいてほしい。そういう人間がいたほうが、芸術を扱う集団として健全だと思うからだ。みんなが扱いやすく、指導者のいうことを聞くような集団にいいものが作れるとは思えない。ただ、それはいつまでも子供でいてもいいということではない。

たとえば悲しい演技をする時、演技者が悲しい気分になるのが目的ではないのだ、お客さまにそう思ってもらうのが目的なのだ。誰にも見破られないホントを超えた嘘を使って。

そのためにも、大人になれ、高橋。

倉品淳子

14/06/29

にごりえ

『これでいいのだ』

入団する前、私にとって《四畳半》 はかっこいいポーズだ。不思議、ミラクル、ウルトラフォームな表現だ。これ一つで、人間の本質を一瞬に理解し、宇宙全体の仕組みが分かるんだ!これこそ、真理! と思っていた。

まぁ、実際は違う。
全然できん。

「ヨジョウハン!」 って唱えれば、できてしまう! とか、そんな簡単なもんではない。しかも、「《四畳半》 に憧れて、山の手事情社に入団しました」 と言えば、上の先輩に(嫌味では無く)鼻で笑われてしまう。

じゃぁ、『にごりえ』 では《四畳半》 は演らないの?

いやいや、そこは山の手事情社。若手のみでも、もちろん演ります。むしろ、若手だけだからこそやる意味があります。ある筈です。

なんで?

だって、私達は経験は少なくとも、演劇を信じる思いは、先輩にも誰にも負けたくないからです! いや、違う!! そんな、かっこいい理由では無い。ただ、若手が《四畳半》 の「経験的な素人」 だからこそ、面白いものが生まれると信じているからだ。あと、稽古も馬鹿みたいにやっているからだ! (これは、いつもか…。)

先日、エチュードで、断末魔の声を上げながら、スローで石化する同期をみて。「あ、これか?? 」 と思った。《四畳半》 で語られる役は、断末魔の声を上げているのだ。

うーん、どうだろう?
いや、違うか?
じゃ、これはどうだ?
そんな風に悶々している。

既に歴史もあり、思想のある集団で新しいモノ、過去を差し置いて面白いモノを作るって、本当に難しい。誰がそれに挑むのか?いやぁ……、若手(私)だろっ!

否定して、理解して、肯定して、表出して、失敗して、繰り返して、、、そんな毎日。

「これが一生か。一生がこれか。」(『にごりえ』より)

うん、それで良いよっ! 受け入れさせてっ!

まだ、二週間もある。そして、公演が始まって終わっても、これは一生続く。その人生は、私にとって本当の意味で初めの一歩に近い。だからこそ、今から演る『にごりえ』は面白い作品とそんな時間と空間になる筈。

若手公演『にごりえ』、乞うご期待。

中川佐織

Top «« 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 .. »» Last