12/10/06

トロイラスとクレシダ 豆知識

シェイクスピア

シェイクスピアの作品は一般的に、《歴史劇》、《喜劇》、《悲劇》、《問題劇》の4つに分類される。
『トロイラスとクレシダ』は《問題劇》とされている。

 『トロイラスとクレシダ』は作品の中で起こる問題や議論は一向に解決されず、終わりも悲劇的な死やハッピーエンドでもない結末を迎える。
ロマンティックな展開は一切なく、人間臭さで充満している作品である。
それゆえ問題劇とされ、解釈が難しく、長い間上演されてこなかった。

 《問題劇》とされる作品には『トロイラスとクレシダ』の他に『終わりよければすべてよし』、『尺には尺を』がある。
これら3作品は1600年前後に執筆されており、このころはシェイクスピアの精神的な転機の時期だったと思われる。
それまでロマンティックな喜劇を得意としていたシェイクスピアだが、この3作品の直前と直後に、のちに《四大悲劇》(『ハムレット』、『オセロー』、『リア王』、『マクベス』)と評される作品を連続して執筆している。

12/10/05

トロイラスとクレシダ

終わりのない話

この作品ではトロイとギリシアが戦争している。

私はトロイ側。

トロイの領土に降り立った敵。
海岸いっぱいに建てられた敵の陣営。

もしかしたらトロイの女たちはもう何年も海で貝殻を拾ったり、泳いだりしていないのかもしれない。

トロイの城壁の中に閉じ込められている事に我慢できず、こっそり抜け出したのを敵に見つかり犯されたかもしれない。
朝送り出した愛する人が、永遠に帰って来ないかもしれない。
その男たちが変わり果てた姿で帰ってきたのを見た時、戦いと言う本当の敵を呪いながら女は泣くのだろう。
それでも戦争は終わらない。
何故なら男どもが戦い続けるから。
段々と長い時間をかけて、憎むべき戦争が日常へと変わり、心の中に蟠った哀しい想いが行き場を失くしていく。
それはどこに向かうのか。
男どもは手っ取り早い捌け口として目の前で起こっている戦争を利用する。
だから、終わらない。
女が戦争に、それでもやめない男たちに疲れ果てた頃、物語は始まる。

トロイ戦争を嘆く、恋する王子トロイラス。
念願叶った愛するクレシダとの甘い時間、突然の辛い別れ。
そしてこの物語は何とも中途半端に終わる。
初めて本を読んだ時、なんかスッキリしない話だ!と思った。誰も幸せになっていないし、大きな変化もないぞ!!と。
でも、実は私たちの生活でも、そうなんだな。
天に召されるまで物事に終わりはなく、ほとんど中途半端な状態で次から次へと流れていく。
国の情勢なんて、戦争なんて特にそう。
一兵士が死んだところで何も変わらない。
女が一人泣き叫んだところで、戦争は終わらない。

そうやって何度も何度も歴史は繰り返し続いていく。
 
…なんかざっくり大きくまとめてしまいました。
シェイクスピア作品の中でも、問題作と呼ばれる『トロイラスとクレシダ』。
何とかして皆様に楽しんでいただけるように一所懸命、試行錯誤しております。
でもどうぞ皆様の視点で結構です。この物語を自由に楽しんでください。

原作でも序詞役がこう申します。
「お気に召すも召さぬも皆様のお心次第」と。
 
それでは劇場でお会いできるのを楽しみにしております。
両手いっぱいの愛を込めて。
 

園田恵

12/10/04

トロイラスとクレシダ

立ちくらみな毎日とTシャツの枚数

亜熱帯の日本になりつつありそうなこの時期いかがお過ごしでしょうか?
浦です。
この2ヶ月間、からだの体温が上がりっぱなしで毎日起床すると立ちくらみがします。そしてここでTシャツを一枚着替えます。

AM11:00から自主稽古《ルパム》(ダンス)があるのですが、劇団員7人が集まりハードに体を動かしびしょびしょになります。
息の詰まる振りなので当然立ちくらみがします。この振りは本番で是非ご覧ください。ここではTシャツは着替えません!
なぜならこの後の稽古がハード過ぎてTシャツが何枚あっても足りないからです。

PM14:00から全体稽古が始まります。
発声は特殊な呼吸法をするのですが、これがめちゃくちゃ立ちくらみがする。
そして吐き気がするくらいものすごく気持ち悪くなるんです。その後《四畳半》の基礎稽古を2人組、3人組でおこなう。
この稽古の後、びしょびしょのTシャツを着替えます。今日2枚目。

でもこの訓練をした後の台詞はとても声が通って強弱や高低の操作がしやすくなる。この稽古は辛いがとても有効だ。
横隔膜が柔軟になり、身体の可動域が増えるので、体と声のニュアンスを入れやすくなる。それと思考が鮮明になり瞬発力が上がります。

小休止のあと、15:00ごろから台本の稽古に入ります。1シーンずつ読み合わせをし体を動かしていく。ここでも感情過多で立ちくらみ、汗はびっしょり。
休みなしの3時間。
食事休憩のあと19:00ごろからまた台本稽古。
川村さんの台詞と共に吐き出される唾を真正面から受けTシャツはびっしょり、今日気分はどんより。ここでTシャツを着替える。今日3枚目。

この時点で疲労のあまり眼が若干かすみ、軽い立ちくらみ。いつまで続くこの生活。
本番是非ご期待ください。

浦 弘毅

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