12/10/06
シェイクスピア
シェイクスピアの作品は一般的に、《歴史劇》、《喜劇》、《悲劇》、《問題劇》の4つに分類される。
『トロイラスとクレシダ』は《問題劇》とされている。
『トロイラスとクレシダ』は作品の中で起こる問題や議論は一向に解決されず、終わりも悲劇的な死やハッピーエンドでもない結末を迎える。
ロマンティックな展開は一切なく、人間臭さで充満している作品である。
それゆえ問題劇とされ、解釈が難しく、長い間上演されてこなかった。
《問題劇》とされる作品には『トロイラスとクレシダ』の他に『終わりよければすべてよし』、『尺には尺を』がある。
これら3作品は1600年前後に執筆されており、このころはシェイクスピアの精神的な転機の時期だったと思われる。
それまでロマンティックな喜劇を得意としていたシェイクスピアだが、この3作品の直前と直後に、のちに《四大悲劇》(『ハムレット』、『オセロー』、『リア王』、『マクベス』)と評される作品を連続して執筆している。