12/08/29

トロイラスとクレシダ 豆知識

トロイ戦争とは?

シェイクスピアが書いた『トロイラスとクレシダ』。
その舞台となったのはギリシア連合軍とトロイ軍が戦う戦場です。
戦闘は10年におよび、なかなか決着がつきません。
しかし、ギリシア軍による「トロイの木馬」作戦が成功し、とうとうギリシア軍の勝利に終わります。
時代は今から約3200年前のお話。紀元前1200年頃のこと。
戦場となったトロイとは今のトルコ。シュリーマンが発掘したトロイ遺跡でも有名です。

トロイ戦争のそもそもの原因は女神と同じくらい美しいといわれたヘレネ(英語名:ヘレン)にありました。
ギリシアの王たちはみな、美しいヘレネに求婚しますが、
「ヘレネを誰に嫁がせても角が立つ」とヘレネの父は悩みます。
そのときギリシアで一番の知将オデュッセウス(英語名:ユリシーズ)が策を授けます。

オデュッセウス(ユリシーズ)
「ヘレネが誰の妻になってもその夫からヘレネを奪った者はギリシアすべての国が手を組んでその者の国を滅ぼす」

ヘレネの夫として選ばれたのは後にスパルタ(ギリシアの都市)の王となるメネラオスでした。

そして月日がたち、トロイの王子パリスが大使としてスパルタを訪れます。
パリスは、こともあろうにメネラオスの妻ヘレネを奪って、トロイに連れて帰ってしまいます。
オデュッセウス(ユリシーズ)の盟約によって、名だたるギリシアの王たちが、妻を奪われたメネラオスとともにアテネに集結します。
そして、メネラオスの兄アガメムノンを総大将にギリシア連合軍がヘレネを奪い返そうと、トロイに侵攻します。

いわば妻を寝取られた復讐から始まったのがトロイ戦争なのです。
シェイクスピアの『トロイラスとクレシダ』はトロイ戦争が始まって、7年の月日がたったところから始まり、トロイの英雄ヘクターがアキリーズ(英語名:アキレウス)に倒されるところまで描かれます。

12/08/28

トロイラスとクレシダ

異能な俳優集団

台本が無くても芝居は出来る。
台本があってももちろん出来る。
即興でもつくるし、チームで打ち合わせをしながらも作るし、台本からもつくる。
ひとりでも作るし、数人でも作る。
作家の本が書きあがらないなら、「こっちで作っときましたから大丈夫です!」
と言える異能な俳優集団である。

この日は、10月末に公演を予定している『トロイラスとクレシダ』のあらすじを説明するシーンの発表日。
チームに分かれて、あーでもない、こーでもないとシーンを作ってきたのである。
発表日の森下スタジオは文化祭の準備をしているような光景でした。

発表は海パンで走り回っていたり、セックスです! セックスです! と連呼するコメンテーターがいたり、椅子と机で仮想トロイ戦争ごっこをする子供たちがいたり、インディアンポーカー風のゲームで登場人物の紹介をしていたりと様々でした。しかし、ほとんどボツだろう。
面白いのに・・・。

『トロイラスとクレシダ』という戯曲はそもそもトロイ戦争の話なのに、一番有名なトロイの木馬が出てこなかったり、話が戦争の途中から始まったり、長々しい議論が続いた りと、わざと冗長に書かれているようなところがある。
少し変わった手触りのする戯曲である。
いっそのこと、シェイクスピアの言葉がまったく登場しない『トロイラスとクレシダ』はどうだろう。
発表を見ていてそんな想像をした。

さて、今、彩の国さいたま芸術劇場にて蜷川幸雄演出の『トロイラスとクレシダ』を上演中だが、あそこは基本的にそのままやると思うので、山の手版『トロイラスとクレシダ』と蜷川版『トロイラスとクレシダ』とはまったく違う作品になることは間違いない。

蜷川版は今月末観にいくので楽しみでもある。

斉木和洋

12/08/28

トロイラスとクレシダ

未来に向けた新作公演

3年ぶりの新作公演『トロイラスとクレシダ』の上演が約2ヶ月後に始まります。
稽古もいよいよ本格的に始動しました。
昨年、一昨年とルーマニア公演を経ての凱旋公演を行い、再演を重ねて成長を遂げた作品の上演が続きましたが、今回の作品は生まれてたてのホヤホヤです。
稽古の過程から、今後末永く作品の成長を共に見守っていただくべく、初日までの2ヶ月間活気あふれる稽古場をレポートしていきたいと思います。
どうぞ、お付き合いくださいませ!

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山の手事情社次回公演!
「トロイラスとクレシダ」原作/W・シェイクスピア
2012年10月24日(水)-28日(日)
東京芸術劇場 シアターウエスト

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