劇団山の手事情社について
劇団 山の手事情社は、1984年に早稲田大学の演劇研究会を母体に結成され、以来、一貫して実験的な舞台を通して現代演劇のあるべき姿を模索しています。
当初から台本に依存せず、俳優のアイデアをもとにシーンを立ちあげて構成する先鋭的な舞台作りを行なってきました。その蓄積を体系化した独自の俳優養成方法《山の手メソッド》は演劇関係者や教育関係者に高く評価され、日本やヨーロッパで、幅広くワークショップが行なわれています。
`90年代後半からは、戯曲を用いつつリアリズムをどう乗り越えるかという課題に取り組み、《四畳半》と呼ばれる新たな様式的演技スタイルを確立しました。現在、ギリシア悲劇やシェイクスピア、近松門左衛門など古今東西のテキストの上演に挑んでいます。
その精力的な活動は国内のみならず、海外でも非常に大きな注目を集めています。
2009年より、ヨーロッパ三大演劇祭のひとつであるルーマニアのシビウ国際演劇祭に招聘され、海外のカンパニーとしては異例の3年連続メイン会場(国立ラドゥ・スタンカ劇場)での上演を実現。2012年には、国立ラドゥ・スタンカ劇場で主宰・安田雅弘演出による「A Japanese Story」(「女殺油地獄」原作:近松門左衛門)が製作され、現在レパートリー作品として上演されています。2013年には同演劇祭で「道成寺」(原作:郡虎彦ら)を上演し、これらの活動が評価され、主宰の安田雅弘は、シビウ国際演劇祭より故中村勘三郎氏、野田秀樹氏らとともに「特別功労賞」を受賞しました。
1984年4月、早稲田大学演劇研究会を母体にして、安田雅弘・池田成志・柳岡香里らのメンバーが中心になって旗揚げ。ときは80年代小劇場ブームの真っ只中。先輩劇団に第三舞台、遊◎機械/全自動シアターなどがある。当時は主宰安田も出演しており、作・演出・主演と八面六臂の活躍で、舞台をところ狭しと駆けまわっていた。メタファーに満ちたシーン、錯綜するストーリー、洪水のようなギャグに溢れ、観客席を爆笑の渦に巻き込んだ時代。
ボンベイブラッド覚書(1984.4)
縦横無塵(1984.11)
DECAMERON(1985.5)
神無月のころ(1985.10)
Part-2(1986.5)
メロドラマティック(1986.10)
DECAMERON(再演)(1987.2)
銀座線(1987.6)
神無月のころ(再演)(1987.10)
象のフン(1988.2)
PART-2 改訂版(1988.6)
1989年3月、『ゆるやかなトンビリラロの身だしなみ』より、参加メンバーの提案と討議を最大限に重視する《集団創作》を本格的に開始する。演劇にしかできない表現を求めて、台本を捨て、小説的なあらすじとは違った、演劇的な物語を求めて集団創作に明け暮れた。即興で繰り広げられる《フリーエチュード》を中心とした作品づくりは俳優の魅力を最大限に引き出した舞台を作り上げた。「演劇とは何か?」をテーマにした演劇。いわゆるメタシアターを追求したのもこの時代。
ゆるやかなトンビリラロの身だしなみ(1989.3)
風通しのよいカメレオンリポート(1989.10)
STOVE PLAY(1990.2)
SPORTS(1990.7)
鉄腕28号(1991.2)
CHARGE!(1991.9)
MARCH(1992.3)
home(1992.12)
CHARGE!(再演)(1993.3)
私の考える演劇(1993.11)
1994年11月、『コーラっぽいの』より、《ハイパーコラージュ》という新しい表現方法を模索し始める。《ハイパーコラージュ》では、舞台上でまったく違うシーンが同時に進行する。例えば、家族のお茶の間が描かれている中で、それとは何の関係のないダンスシーンが同時に展開したりする。一見何の繋がりも見えないシーンの連続で構成された作品は観ている観客に強烈な違和感を与えながら、ストーリーとは違った鮮烈なイメージを喚起させた。文学に置き換えると、小説ではなく、詩のような舞台を作り上げた時代。
コーラっぽいの(1994.11)
夏夢ちゃん[利賀・東京](1995.4、1995.7)
トンビリラロ(1995.11)
ドリフターズ[利賀・東京](1996.4、1996.7)
即興としての演劇(1996.6)
グラフィティ(1996.11)
1997年4月『LIVING』より、リアリズムではない演技スタイルの模索が始まる。より現実に近い表現を目指すのなら、映画の方が手法としては優れている。しかし、演劇にしかできない表現を求め、台本に頼らない《集団創作》を追求し、《ハイパー・コラージュ》の実験をへて、 身体の動きを制限した現在の《四畳半》の原型が『LIVING』、『FairyTale』で形作られた。能、歌舞伎、バレエなどへの興味から生まれた実験の成果は、国内はもとより海外で大きく花開き、世界各地で公演をする機会に恵まれる。
LIVING(1997.6)
FairyTale(1997.12)
Catalogue(1998.1)
folklore “ふるさと”[利賀・東京](1998.5)
ゼウスガーデン衰亡史(1998.10)
男の冬女の森(若手公演)(1998.12)
ぴん(1999.1)
印象 タイタス・アンドロニカス[利賀・東京](1999.5)
jam(1999.10)
平成・近松・反魂香(1999.12)
印象 夏の夜の夢(2000.5)
印象 青い鳥(2000.11)
平成・円朝・牡丹燈籠[利賀・静岡・東京](2001.4-6)(
FairlyTale(2001.10)
jam2001(2001.10)
ぴん2002(2002.01)
オイディプス@Tokyo(2002.07)
狭夜衣鴛鴦剣翅[東京・静岡](2003.01,03)
トロイアの女(2003.05)
船弁慶[東京・鳥取](2003.09-10)
平成・近松・反魂香(EXTRA企画)(2003.11)
道成寺(2004.4-5)
作、アレクサンドル・プーシキン(EXTRA企画)(2004.7)
jamゴールドブレンド(Yamanote 7481)(2004.10)
オイディプス@Tokyo(Yamanote 7481)(2004.10)
夏の夜の夢(Yamanote 7481)(2004.10)
道成寺(BeSeTo)(2004.11)
銀河鉄道の夜[利賀・東京](2005.4-5)
タイタス・アンドロニカス(Yamanote Fair 2006)(2006.01)
ぴん(Yamanote Fair 2006)(2006.01)
牡丹灯籠(Yamanote Fair 2006)(2006.01)
ひかりごけ(EXTRA企画)[東京・韓国](2006.4-5)
ファウスト(Yamanote Trip)(2006.11)
青い鳥(Yamanote Trip)(2006.11)
王女イヴォナ(Yamanote Trip)(2006.12)
傾城反魂香(YAMANOTE NIPPON)(2007.10)
摂州合邦辻(YAMANOTE NIPPON)(2007.10)
道成寺(YAMANOTE NIPPON)(2007.10)
オイディプス王(山の手事情社×シアター・プロジェクト香川)(2008.02)
お茶とおんな(EXTA企画)(2008.02)
摂州合邦辻[相模大野](2008.05)
YAMANOTE ROMEO and JULIET(2008.10)
道成寺[宮城](2008.12)
drill(2009.3)
「地上にこんな場所があるならば、参加しないわけにはいかない」(安田雅弘)
ルーマニアの都市シビウで開催されるシビウ国際演劇祭の視察から帰ってきた安田が劇団員に向けたひとことから、劇団は新たに動き始めました。
2009年6月にシビウ国際演劇祭にて『タイタス・アンドロニカス』を上演。
幸いにもルーマニアで大きな影響力を持つ元ソルボンヌ大学教授で演劇評論家であるジョルジュ・バニュ氏より、「フェスティバル最高の作品であった」との賛辞をいただく。
その公演を皮切りに『オイディプス王』、『傾城反魂香』、『道成寺』を同演劇祭にて上演しました。
タイタス・アンドロニカス[ルーマニア](2009.6)
おとことお酒(2009.11)
お茶とおんな(2009.11)
オイディプス王[ルーマニア・ハンガリー](2010.5)
オイディプス王(凱旋二本立て公演)(2010.9)
タイタス・アンドロニカス(凱旋二本立て公演)(2010.9)
おとことお酒(学習院女子大学)(2010.11)
傾城反魂香[ルーマニア](2011.6)
傾城反魂香(二本立て公演)(2011.12)
道成寺(二本立て公演)(2011.12)
トロイラスとクレシダ(2012.10)
ひかりごけ(2013.3)
道成寺[モルドヴァ・ルーマニア](2013.6)
ドン・ジュアン(2014.1)
ヘッダ・ガブラー(2014.3)
にごりえ(2014.7)
テンペスト(2015.1)
女殺油地獄(2015.11)
タイタス・アンドロニカス(2015.11)
オイディプス@Tokyo(2017.2)