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劇団から 2020/02/09

『桜姫東文章』にまつわるアレコレ

◆ 相関図

『桜姫東文章』相関図

◆ あらすじ

 長谷寺の僧・清玄は、相承院の稚児・白菊丸と恋に落ち、来世で一緒になろうと誓ってお互いの名を書いた香箱を握りしめて心中しようとする。しかし失敗し、清玄はただ一人生き残ってしまう。
 十七年後、生まれつき左手が開かない障がいのある桜姫が長谷寺を訪れる。桜姫はその前年に父と弟を殺されて吉田家の家宝も盗まれ、お家断絶の危機にある。さらに自らも忍びこんできた男に犯され、その時できた子どもをこっそり里子に出して、自分は男のことが忘れられずに同じ刺青を彫っている。そのような成り行きで世を儚んだ桜姫は、出家を決意して長谷寺まで来たのだが、清玄が祈祷すると左手は開き、中から“清玄”と書かれた香箱が出てくる。それを見た清玄は、桜姫が白菊丸の生まれ変わりだと確信する。
 出家の準備をする桜姫の元に、悪五郎の使者として権助がやってくる。権助の腕の刺青を見た桜姫は、自分を犯した男だと気づき、再び関係を持つ。そこを悪五郎に発見されるが、権助が顔を見られる前に逃げたために相手探しが始まる。そして清玄が疑われるが、桜姫こそ運命の相手と思う清玄は申し開きをせず、桜姫ともども罪人として追放される。清玄はその後も桜姫につきまとうが、権助が忘れられない桜姫は清玄につれなくし、ついに誤って清玄を殺してしまう。
 権助の女房になった桜姫は、権助のために身を売って“風鈴お姫”と呼ばれる評判の女郎になるが、枕元に清玄の幽霊が出るというので気味悪がられ権助の元へ帰される。ある夜、清玄の幽霊と酔った権助の言葉から、吉田家の家宝を盗み父と弟を殺したのは権助であることを知った桜姫は、権助を殺し、吉田家へ帰って行く。

◆ 作者、鶴屋南北(1755~1829)

~観客をびっくりさせることに人生を賭けた男~  
 江戸時代に活躍した歌舞伎狂言の戯作者です。旧作をパロディにしたり、実際に起こった事件をいくつも取り入れたり、様々な舞台仕掛けを考案するなど、南北の作品はとにかく奇想天外!
 かの有名なお岩さんが出てくる、血みどろ残酷怪談話の傑作『東海道四谷怪談』の作者として知られています。

南北さん! ズバリ『桜姫東文章』の見どころは?

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やんごとなきお姫様が最下層の女郎にまで堕ちていく様は恐ろしいほど爽快だぁね! そんななか我が道をゆく桜姫の生き様がニクイねぇ。善も悪も極楽も地獄も表裏一体、なんでもありのないまぜの世界を、びっくりしながら楽しんでもらいたいねぇ!

◆ 『桜姫』は本当にいた!?

 1806年1月13日、品川の飯盛女(娼婦)・琴が逮捕されました。琴は本名を”右衛門姫(えもんひめ)”と言い、歌人として天皇に仕えた公家・日野資枝(ひのすけき)の娘であることが発覚。いったいなぜお姫様が娼婦になったのか!? なぜ彼女は捕まったのか!? 謎が謎を呼び、江戸を騒がす大事件となりました。この琴が、桜姫のモデルになったとも言われています。

◆ 空前の『桜姫』ブーム到来!?

 鶴屋南北の作品は、上演がしばらく途絶えた後あるとき復活上演されて関心が異様に高まるといういわゆる“南北ブーム”が度々やってきます。第1次南北ブームは大正時代、第2次南北ブームは戦後の昭和。そして今、ふたたび――。  
 実はこの令和の現代、『桜姫東文章』を原作とする演劇作品が次々と上演されているんですよ! 
 2019年9月、阿佐ヶ谷スパイダースが舞台を昭和に移した物語として上演。2020年1月、京都・南座で上演された『サクラヒメ』は、今話題の体験型マルチエンディング演劇なのだとか。また本公演と同じ3月には、明治座にて中村勘九郎×中村七之助による通し狂言が上演されます。さらに5月に日本公演が決定した『スカーレット・プリンセス』は、昨年ルーマニアの演劇賞を3部門で受賞した話題作! なんとこの作品も『桜姫東文章』が原作だというのですから、まさに世界規模で『桜姫』ブームが起きていると言えるでしょう。この機会に、色々な桜姫を見比べるのもまた一興ですね。 山の手事情社35周年の締めくくりとなる『桜姫東文章』を、どうかお見逃しなく!

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劇団山の手事情社 創立35周年記念公演
『桜姫東文章』2020年3月14日(土)~17日(火)
会場=東京芸術劇場 シアターウエスト

詳細は こちら をご覧ください。

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