お知らせ
外部活動 2023/02/09
山本です。
鳥取の鳥の劇場で新作公演に出演しています。
先日の寒波では一晩で一気に膝くらいまでの雪が積もりました。
その後も降り続けてクルマが完全に埋もれてしまうくらいでした。
こんな雪に閉ざされた寒さの厳しい国にいると、お酒を飲みながら長々と喋ったり恋愛をすることくらいしか楽しみはないのかもなあと、遠いロシアの国の事情を思ってしまいました。
今回はチェーホフの代表作のひとつ、『三人姉妹』。
19世紀末の帝政ロシアの社会の変化に翻弄される貴族階級の没落、苦悩と不安、挫折と破滅と希望の物語です。
面白さをいくつか挙げるとしたら、ひとつには何が面白いのかよくわからないことでしょうか。
群像劇ですので特定の主人公がいません。
みんながそれぞれの事情を抱え、時代に翻弄され苦悩する人物たちが描かれるだけです。
ただ、その登場人物の中には、観客の誰もがこれはまさに自分だと思って共感出来る登場人物が必ずいるような分厚い人間ドラマとして書かれています。
またチェーホフはこの戯曲で、殊更に未来を予見するようなセリフをたくさん書いています。
ちょっと不思議な感じがするくらいです。
でも120年後のロシアの辿った歴史を知っている今の観客からすれば、当時の観客が観るよりもはるかに味わい深い芝居かもしれません。
他にも、複雑な人間関係が緻密にかつ無駄なく書き込まれていて、セリフひとつひとつが柱だとするとすべての柱が緻密な力学で支え合っている建築物みたいな戯曲です。
ただこれは、俳優たちが一番驚き楽しんでいることかもしれませんが……。
今回の上演では、舞台を深夜のバスターミナルに設定しています。
それについては演出の中島さんが詳しく書いています。
どんなに悪天候で雪が降っても、公演を行うそうです。
しかも18ステージのロングランです。
観客ゼロの日もあるでしょう。
劇場まで辿り着けるどうかはわかりませんが、とにかくお近くにお住まいの方はぜひ、鳥の劇場までいらして下さい。
山本芳郎
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鳥の劇場『三人姉妹』
作：アントン・チェーホフ
演出：中島諒人
出演：齊藤頼陽 中川玲奈 高橋等 安田茉耶 後藤詩織 赤羽三郎 武中淳彦
山本芳郎（劇団山の手事情社） 村上厚二 下地萌音 小菅紘史（第七劇場） 大道無門優也（SPAC）
■ 日時
2023年2月10日（金）〜3月5日（日） 各日14時
※休演日：2月13日（月）・14日（火）・20日（月）・21日（火）・27日（月）・28日（火）
■ 会場
鳥の劇場（鳥取県鳥取市鹿野町鹿野1812-1）
詳しい公演情報は鳥の劇場公式サイトをご覧ください。