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劇評/Performance Reviews

タイタス・アンドロニカス ルーマニア公演

日本版ローマが、
ラドゥ・スタンカ劇場で上演される

心が爆発する

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ウィリアム・シェイクスピアの初期作品の一つと考えられている悲劇「タイタス・アンドロニカス」が、日本の山の手事情社によって、独自の様式の下で、再演された。ユニークな演技スタイルで知られる日本の役者達は、モダンな形で、アンドロニカス将軍の時代のローマの物語、当時の残虐で恐ろしい物語を 舞台に表現した。

音楽、テレビ、冷蔵庫、電子レンジは、観客がこの歴史的物語により早く溶け込み、アクションの中に直接入り込めるようにする腕のように使われている。舞台は、最高司令官とゴートの女王タモーラの裁判の場面から突然始まる。

Adina Katona(2009年6月3日・シビウ国際演劇祭の日刊紙Aplauze掲載)

 

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今年のシビウ演劇祭でこの劇団がルーマニアの観客の前で舞台を演じた。完璧に機能し、役者のレベルも同質化されており、各役者の演技はアンサンブルとしての厳格な芸術的目的に従属させら れている。シェイクスピア演劇の「大虐殺の演技」の再現は、演出家にとっては、二つの文明の間のインパクトを反映する様式となる。ゴートを演じる役者達は 西欧の服を着ており、逆にローマ人たちが日本の着物を着ているのである。
プログラムの指摘しているところによれば《四畳半》スタイルによる演技は、日本の宗教儀礼をはじめ、すなわち仮面、不自然な動きなどの影響を受けており、 さらに能や歌舞伎の伝統的形式の影響を受けているのであろう。そして表情や暴力的な化粧や「シミの着いた」「ダルマチアン」のような衣装の貢献もさることながら、役者の演技が強い印象を与えている。きわめてゆっくりとした動き、滑るような足の運び、着物を着たときの特殊な動き、さらに殺戮の場面の象徴的な表現など。

Ovidiu Pecican(2009年6月12日・Artact magazin掲載)

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