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安田雅弘演出ノート

『作、アレクサンドル・プーシキン』~スペードの女王より~/2004.7

西 悟志(2004.7)

演出、西です。昨年、ロシアに行きました。プーシキンは愛されていました。遡ることそのひと月前、『スペードの女王』を読みました。読み終えて、傑作・・・。拳を握り締めました。純粋に、小説の愉しみを知りま
した。そして、ロシアで、人々のプーシキン熱に当てられて・・・、タクシーの運ちゃんがその詩を諳んじたりするんだそうです・・・、すっかリプーシキンを愛するようになってました。そのひと月後、山の手事情社からプーシキン作品を、とのオファーが。地球の運行とは不思議なもので。

生きていれば、205歳のロシア詩人の紡いだ言葉は、簡潔にして華麗、熱くて冷たい。

小説は言葉、演劇は人間。

19世紀ロシアと現代日本人。

違うけど一緒、同じだけど違ってる。

『作、アレクサンドル・プーシキン』の中身は、小説「スペードの女王」です。多少のカット、そして余計な言葉をほんの少し足してはありますが、テキストには忠実です。あれこれ言わずに、まず語ること、を素朴
に考えてみました。元が、素朴に、おもしろいので。
プーシキンのおもしろさに、拳を握リ締めていただきたく。加えて、願わくば、ぼくらの演劇にも。

日本人よりの、リスペクト・プーシキン! を。

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