08/04/28
ここ開けて
「おかーさん、ここを開けてください。」
母は玄関の戸を開けるかどうか悩みます。
でも母は扉を開けます。
娘の部屋の掃除をする母。
娘の机が気になります。
「それは開けないでください、おかーさん。」
でも母は開けてしまいます。
世の母の通る道なのかもしれません。
「それは開けてはいけないものです、おとーさん。」
でも父は開けまくります。
娘のワンピースのチャック。
そんな父はあまりいないと思いますが、
ちょっとだけ妄想している父は、
ちょっとだけいるかもしれません。
「まぁ、はしたない。そんなに開けて。」
最近の母もそういうことを言うのかは知りませんが、
若い娘たちがそろいもそろって股を開けます。
どうして股を開けるのかは、劇場で確認してください。
(どうしてか知っている方は、しぃー、です。)
なんだか、こう、
色々なものが開いていく、開いていく感じがする芝居のような気がしないでもない。
結構複雑な気持ちで作品に関わっていた昨年の秋。
今回の再演にあたり、ちょっとずつ色々変わるらしいです。
蓋を開けたらちょっとどころではない気がするので、
今から割と気が気でないです。こわやこわや。
ただ、「開く」(あく、ひらく)という響きはなんだか素敵です。
開けないほうが幸せかもしれないものもあるとも思うのですけれど。
さてさて、これを読んでしまったあなた。
まずは劇場の扉を開けてみてください。
劇場への扉は開け放題(上演中を除く)ですから。
櫻井千恵