11/01/20

The Dead Father

『ブレーキ』

私の中には訳のわからない精神ブレーキが存在します。思いっきりやってやろう。暴れてやろうと体は準備ができるのですが
いざ事にあたると、本当にそれをやっていいのか、本当にそんなこと言っていいのか、と急ブレーキがかかります。
途端に、やろうとしていた事とはまったく違う中途半端なものができてしまう。これが気持ち悪いのってなんのって気持ち悪いんです。

まだ起きてもいない未来の失敗が怖いだなんて馬鹿は休み休み言いたいですし、寝言は寝て言いたいものです。
エチューダーはもっとやれもっとやれと言ってくださいます。
やってみたいこと、言ってみたいことは山ほどあります。
もうなんだかんだと時間もありません。
一緒に演技する人たちのためにも大暴れしたい。
もういっそ何も考えないで発言しましょうか。
引かれたって死ぬわけでもなし。
本当に殺すわけでもなし。
会う人会う人皆演技してる私の目は人殺しの目とか言いますし。
本番までにブラック鯉渕がでてきてくれるといいのですが。

鯉渕翼

11/01/16

The Dead Father

『修了公演にまつわる話〜研修生編』

「初日が一番いいってどういうこと?結局勢いだけなんだよ。安心しないで、もっとやって。」
修了公演の2回目の回の終わりに、エチューダーの罵声が飛ぶ。

私が研修生だったころの修了公演は、今のように5回も公演回数はなく、照明や音響もシンプルだった。
わずか3回の本番の中、がた落ちしたのが2日目の昼
メンバーがかみ合わないかみ合わない!
初日は奇跡が起こったように楽しく、これ面白いじゃん!
と胸を張れるかんじでしたが、二日目は不協和音もいいところ。
本番いきなり段取りを変えるという大胆な行動にでてみたり、初日のいい感じを思い出そうと集中を欠いたり、守りと攻めが混在していた。
つくづく、芝居はチームワークだと感じたし、本番始まったら出ている役者しかどうすることもできないんだと!
さんざん稽古で「面白くするのはおまえらなんだから」といわれ続けた意味を、本番中に体感する。
・・・なんとも恐ろしい。
今思うと、確認も取らずに段取りを変えるなんて、観ているエチューダーは私たちより、肝をつぶしていたんだろうな。
そしてかみ合っていない姿をただ指をくわえてみていることしかできない立場なんだ。
そんな目線を背後に感じながら、何もできずに焦るばかりの自分がそこにいた。
いったい何が修了したの?何ができたの?と・・・・。

芋虫がやがて蝶になるように、蝶になるまでは手伝うことができるが、その先の飛び方は自分で勝ち取るしかないのだ。
今回私はエチューダーの立場として修了公演に参加する。
すでに、私の小さな肝がつぶれ始めている。
年々公演規模もしっかりしてきて、研修生にも求める部分が多くなる。
研修生には臆病になる前に、
「まずは失敗してもいいからもっとやって」
「とりあえず不恰好でいいから飛ぼうとしてみて!!」
初心忘れるべからずで、劇団員になろうがなるまいが、大切なこと。
どんな方法にせよ、飛ぼうという目的のあるものは面白いのだ。

さてはて、残りわずかな時間で彼らは何を飛ばしてくれるのだろう。
そして私は何を飛ばせられるのだろう。
『The Dead Father』
ご期待ください

植田麻里絵

11/01/12

The Dead Father

『秘密』

人は生きてれば秘密の1つや2つありますよね。
誰にも言えなくて、自分の恥で思い出すだけで気持ち悪くなったり・・・。
稽古の1つである《漫才》では、与えられたテーマについて即興に近い状態で話し始めます。
やっぱりお客さんが見て、楽しいのって、その人の状態じゃないですか、緊張してたり恐怖だったり、逆になにも感じてなかったりとか・・・。
あ、言い忘れましたが《漫才》で話す内容はフィクションでもOKです。

そんな中、私の友人が彼氏が出来たのですが酷くDV野郎で、よく彼女を蹴ったりしてプチ監禁してしまいます。
女も泣きながらも縋り付いているので満更でもないのだと私は「ふっ」と鼻で笑いながら、連絡がこなくなってもスルーするのですが、そのカップルを見ていてネタにしてやろうと思ったのです・・・・。
しかーし!やっぱり自分の話じゃないせいかディテールが足りないとのダメだし。

家に帰って考える。
自分の過去!秘密・苦痛はなんだった!?
あったはず・・・彼氏なのに門限11時にされて夜バイトできなかったり、ウェブカメラで部屋をずっと写してろって命令されたり(←監視ですね)
ガールズバーでバイトしてのばれてボッコボッコにされたり・・・。

そしてまた考えます。
まだ普通だよな・・・。
思い出す消したい過去。
私も友人を馬鹿にできない恋愛山ほどしてるやん!!
今なら・・・今なら吐き出せる・・・はず。

こうやって秘密をネタにしていく自分。
なにか変わるのかな?
新しい感情の土台になるのかな?
そもそも、《漫才》ってなんでやっているんだろう。
そんな初歩的なとこから、また考えています。
私の本当の秘密は劇場で・・・(笑)

御影桃香