09/07/01

タイタス/ルーマニア

ルーマニア時間

コーディネーターの志賀さんがおしゃいました。

「ルーマニア時間だから、あんまりイライラしないで
いきましょう」

日本でその言葉を聞いた時は、正直良く
わからなかったのですが現地に行ってみて納得。
皆さんとてもマイペース。
ひとつとても気になったことは、ルーマニアで人が
走ってるのを全く見なかったコトです。
毎日家からバス停、バス停から駅、更には電車の
乗り継ぎまで走っている自分としては、なんだかとても
大きな差を感じずにはいられません。

確かにイライラもしましたし、仕込みはホントに
大変でした。
日本なら2時間で終わる作業に4時間かかりましたし。
だけど、なんだかみんな良い人で、憎めないんです。

そしてみんな自分の意思というか、言い分というものを持っているように見えるので、堂々と見えるんです。
日々セカセカし、すぐにあわててオドオドしてしまう
自分にとって、それは少し羨ましいコトでした。

ルーマニア時間、ちょっと真似してみるのも
悪くないかも知れません☆


小栗永里子

09/06/30

タイタス/ルーマニア

シビウの客席にて

Buna ziuă! 
(ブナ ズィウア ルーマニア語でこんにちは)
山の手事情社2年目となりました、谷口葉子です!
今回はツアーメンバーではなかったので、一観客として『タイタス・アンドロニカス』を、そして
シビウ国際演劇祭を堪能させていただきました!

初めてのヨーロッパ。
初めての海外での演劇祭。
なにもかもが初めてづくしの旅。

素敵な出会いがたくさんありました。
シビウの劇場で活動されている日本の
バレエダンサーの方々とお知り合いになれたり、
(海外では、各劇場と契約を結んで活動するスタイルがメジャーの様です。)
シビウのユースホステルで知り合った方がタイタスを
観に来てくださったり、
またまたブカレストのホテルで知り合った方が興味を
持ってくれて「観に行きます。」と言ってくださったり。

シビウの劇場も素敵でした。
日本の劇場とはちょっと違う雰囲気につつまれていて、お客さんも含めて会場全体が、
「目の前の芝居をおもいっきり楽しんでやろう。」
という空気になっている気がしました。
受動的ではなく、能動的な感じなのです。
私の勝手な印象ですが、日本の劇場では、
観客はあくまでお客さんなのですが、
シビウの劇場では、観客も積極的に参加者となろうと
している気がしたのです。
スポーツで言うとサッカーのサポーターの人達が試合を応援しているような雰囲気です。
きっと、舞台の楽しみ方が日常生活や身体に馴染んでいるんだろうな。
でも、日本の劇場にも似た感覚はあるはずです。
たとえば歌舞伎でお客さんが役者に向かって屋号を
叫ぶのは、それに近いのではないでしょうか。
舞台、役者、そして観客。
この三つが揃って初めて芝居は完成するんだ、
ということを改めて感じた旅でした。

劇場の外、シビウの街にも、似た空気が流れていた
気がします。
ちゃんと自分達が日常の主役だと知っている。

ヨーロッパの文化都市に指定されているシビウ。
とっても素敵な街です。

皆さんも機会があればぜひ訪れてみてください!
来年のシビウ演劇祭とかいかがですか!?


谷口葉子

09/06/29

タイタス/ルーマニア

日本人にしかできないことって、、、

ルーマニアに行き改めて日本人であることをヒシヒシと感じました。

日本のカンパニーとして世界に何をみせていけるのか。
私は日本の俳優として日本人として何をみせることが
できるのか。

舞台も楽屋の掃除されてませんけど。
衣裳や小道具が汚れるんですけど〜。
魂は人間だけに宿るんじゃないんだぞと必死に掃除。
こんなに掃除するのは日本人くらいなのかしら?
終演後衣裳を自分でたたんで片付けていたら、
楽屋つきのおばさんにビックリされ、
「うちの俳優は脱いだら衣裳ぽいぽいよ〜
感心するわ〜」的なことを言われたり。
それはおいといて。

向こうの俳優は男優も女優もすぐ裸になりますが
(舞台で)、私達はそう簡単には脱ぎませんし、
人に簡単に触れたり、キスしたりもしませんよ。

じゃあ脱ぐよりもインパクトがあってエネルギーや
エロスを感じさせることはできているのか。
じゃあキスするまでにキス以上のことを想像させる
ことはできているのかetc・・・。

四畳半が見せたいものはそこで、日本人だからこそ
できる表現なんだと改めて感じました。

ルーマニアのパワフルな女優や、やりたいほうだい
脱ぎたい放題の舞台を見てめちゃくちゃうらやましいと
おもいつつ私達の気質との違いを凄く感じました。
日本人としてもっと繊細な表現が出来るはずだと
思いましたし、四畳半の作品の可能性も感じました。

シビウ国際演劇際での公演をやった後、
フェスティバルを紹介する新聞に記事が載りました。
話によると公演前のカンパニーの記事が載るのは
よくあることですが、公演後、ましては他国の
カンパニーの記事が載ることはかなり珍しいこと
だそうです。
そしてそれまでフェスティバルで上演したカンパニーの
うち山の手は3位に選ばれていたそうです。

それを聞いたときは、いや〜〜嬉しかった。

だって日本での稽古の際、ラドゥ・スタンカ劇場での
公演が決定し大変名誉なことで大喜びしていいはず
なのに、演出の安田は白目をむき
「ますますヤバイな・・・」というようなことをポツリ。
その瞬間俳優達のプレッシャーは頂点になり、
ルーマニア公演に対して恐怖が訪れました。
これでこけたら山の手はつぶれる・・・・。
私自信も俳優としての自信を失い
続けられなくなるだろうな・・・。

そんな恐怖を持ちつつ、もがいてもがいて
わけが分からなくなりながらも、とにかく良い舞台を
創りたい一心で皆命削って闘ってました。
本番は他のメンバーの日記にもあるように観客は
しっかり見ていたしこちら側もしっかり見せていたし
「演劇」が成立していたと思います。
行く前のことを思い出すと本当に嬉しい瞬間でした。

でもっ冷静に考えると3位て中途半端〜

次回は1位になるよう、もっと面白い作品を
創っていきたい!!
日本人だから物珍しいから観客がくるのではなく、
単純に「面白いし見たい」と思わせたい。
そして日本人にしかできないことを見せたい。

面白い演劇は言葉の壁なんてホント関係ない
ですから、世界中の人が山の手事情社の作品を
見に日本に訪れるようなカンパニーになって行くように
これからも訓練していかなければ!!
もっといけますよ!山の手は!!私も!!!

とルーマニア公演からなかなか演劇熱(?)が冷めず、発熱し頭痛に苦しめられている山口笑美でした。


山口笑美