09/06/25

タイタス/ルーマニア

気まずいながらも楽しいツアー

ルーマニアツアーで、男2人がダブルベットで一緒に
寝るというなんとも気まずい感じを初めて体験した
野々下です。

大の男がシングルベットと変わらない大きさのベットに枕を並べ、1つの毛布で寝るんですからたまりません。
真夜中に目が覚めるとパートナーの顔が眼の前に
あってびっくりしたり、
朝起きた時には
「昨日布団脱いでたよ」とか、
「うなされてたけど大丈夫?」とか、
同棲したてのカップルのような会話が交わされたりしていました。

そんな気まずいながらも楽しい今回のツアーは20名
以上の大所帯。
そしてメンバー全員がホームでない場所で、
自分のいつものやり方ができない中、それぞれの
職能を全うして、自分たちの表現を成立させるために
工夫しながら闘っていたと思います。

今回のツアー最初の公演地シビウでは、そのことが
いかに大変か、そしてそれを普通にこなしている
ヨーロッパの演劇人の強さをひしひしと感じました。

ただ凄いとは思うが負けてはいないなとも思いました。

舞台監督さん、音響さん、照明さん、演出など
はたから見ていても譲るとこは譲り、合わせるとこは
合わせながらもしっかりと自分の表現を成立させる
べく、ときにフレンドリーに、ときに火花を散らせ
ながら現地スタッフと協力して仕込んでいましたし、
役者はシビウ、ルム二ク・ブルチャ、ブカレストと移動
するたびに広さも雰囲気も全く違う劇場に自分たちの
芝居を合わせるため、短時間で多くの点を修正する
必要があったので、現場での対応力と、搬入、仕込み、
本番を1日でやるために必要な精神力と体力が
試されました。

今回の海外公演の経験からそれぞれが得る成果は
すぐに出るものではないでしょうが、かならず集団と
作品を変えると思います。

ですので、その成果を日本のお客様に確認して
いただける機会が早く来ること心待ちにしながら、
現在のホーム仙台で自分の表現を成立させるために
譲ったり、闘ったりしていきたいと思います。


野々下 孝

09/06/24

タイタス/ルーマニア

無事に終わってよかったが・・

今回のルーマニアツアーは今までの海外ツアーの
中でもとりわけ長く、乗り打ちの公演もなんとかこなした
ハードなスケジュールでしたが、たくさんの観客の方に
見ていただいた上、反応は非常に好評で、今後に
つながる大きな成果が期待できる公演だったと思います。

すべての公演でほぼオールスタンディングの
カーテンコール。
日本ではなかなか味わえない嬉しさでした。

字幕があるとはいえ言葉のわからない芝居をじっくり
見入ってくれている感じは、舞台上にもひしひしと
伝わりましたし、そういった静かな熱気がまた芝居を
少しづつ育てていってくれてた気がします。

ありがたいです。

ただやや不遜な言い方をすれば、この大絶賛も半分
くらいはお愛想として受け取るべきだろうと
思っています。
このくらいの絶賛は僕は予想済みでした。
なぜならあちらの世界とはまったく異質な演技形態
だからです。
あきらかに練習の足りない魂の抜けたような芝居なら
ともかく、遠いアジアからはるばる来た劇団がまったく
見慣れない芝居をしそれなりに訓練のあとが見え
90分熱演していれば惜しみない拍手をしてくれるのは
普通だと思います。
決して僕らの演技力そのものが大きく評価された
わけではないし、「四畳半」の芝居が彼らの演劇観を
ゆさぶり衝撃を与えるところまでは至っていないのだと
思います。

彼らが惜しみない拍手をくれるのは、芝居が面白かった
からであることはもちろんですが、一方で彼らの文化の
演劇世界が盤石だからです。

演技の質がもっと上がり厳しい批評の眼にもかなう
芝居になって今よりもっと大きな衝撃を与えるように
なったとすれば、たぶんもっと大きな絶賛とともに
たくさんの悪評やバッシングも受けることになるでしょう。

まだまだこれからです。

機会があればぜひまた参加させてもらいたいものです。
そのときはできれば日本の古典を持っていきたいと
思います。
近松を知らない?鶴屋南北の名を聞いたことがない?
じゃあ、お見せしましょう!という感じで。
それが普通の国際交流だと思います。

スタッフのみなさん、手伝ってくれた劇団員と研修生のみなさんありがとうございました。


山本芳郎

09/06/23

タイタス/ルーマニア

ルーマニアツアーを終えて

今回のツアーを終えて強く感じたのは「山の手は
やっぱり体育会系だ」という事でした。
それは「身体を動かすのが好き」「とにかく稽古好き」「本番直前まであがく」「困った時はテンションで
乗りきる」等に起因します。

ツアー中観光した印象はほとんどなく、毎日が自分との戦いでした。
海外に来ると嫌でも意識する日本人としてのプライドが顔を出し、俳優として何がこの地で出来るのか、と頭がグルグル渦巻いていました。
そんな時頼りになるのが「エチュード魂」。
それは山の手の俳優が勝手に命名した「本番始まったらライヴで楽しもうぜ」という心意気。
ルーマニア人だろうが同じ人間さ、感じるハートは同じハズ!という兄弟論を踏み台に「エチュード魂」で
やらせて頂きました。

終わったら皆立てませんでした、
燃え尽きて…(これホント)


川村岳