14/01/04

ドン・ジュアン

『俳優の仕事について』

全くこの劇団は変わっている。
というか、安田雅弘は非常にめんどくさい演出家だ。

「俺は、俳優に演技をつけない」
「演技をつけなくちゃならないような俳優とは付き合いたくない」と言い切る。

私も演出をしたり、海外の国内の多数の演出家と仕事をしたりしてきたが、こんなに徹底して、俳優に考えさせる演出家はいなかったし、私が演出をする時は、ほとんど私がやって見せることが多い。てっとりばやいし、こんな芝居になるという予測が立てやすいからだ。こんな面倒なことをやろうとするのは、安田が俳優という生き物を愛し、信頼している証拠だろうと思う。

ただ、俳優としては非常にしんどい。
「やったつもりと見えたはず」いう言葉があるように、自分の事を客観的に見るということは、とても、とても難しいからだ。何をやってもうまくいかない時は、思考の罠にはまっている事が多い。そういう時は、原点に立ち返る。

この役は、このお芝居の世界に何をしに来たのか?
どうしてこの芝居に出ているのか?
どういう役割なのか?
一体・・・・誰なのか?

結局それがわからないと、どう読むか、どう立ち振舞うかが決定できない。

まあ、それは実生活における命題でもありますね。私は一体誰で、何のためにこの世に中に生きているんだろう?それは、生きている人はみんな考えることだし、それが人間だもの。なんか相田みつおさんみたいになっちゃいましたが(笑)

つまり俳優は、自分とは違う人を、もう一人作んなくちゃならない。だからしんどいのはしょうがないし、おいそれとは掴めない。どころか、もう一人作るなんて奇跡みたいなことなのだ。

劇場でお会いしましょう。奇跡が起きたかどうか、見に来てやってください。

倉品淳子

13/12/24

ドン・ジュアン豆知識

「ドン・ジュアン」豆知識2 ドン・ジュアンってどんな人?

ドン・ジュアンがどんな人間かを知っていただくために、気になる台詞を集めてみました。こんな台詞を吐くなんて、一体どんな男なのでしょうか?!

第1位 
「おれは地上のことごとくを愛したいような気がする」 
…綺麗な女を見たらモノにせずにはいられないドン・ジュアン。女という女に愛を捧げるつもりがあるんだろうが、例え話が地球規模にまで至ってしまうとは。

第2位 
「降りかかってくる災難のことなど考えるのはよしにして、さきざきの楽しいことばかりを考えるとしよう」
…半年前に殺した騎士への懺悔の気持ちがないのを窘められて言った言葉。全く反省の余地なし!

第3位 
「さあさあ早くお死になさい。自分と同じくらい生きているおやじを見ると、胸がむしゃくしゃするよ」 
…と、息子不道徳を嘆く父親が去った後、ドン・ジュアンは言った。直接相手に言わないだけ少しはマシか。

第4位 
自分が捨てた女房の兄になじられたときのとっさのひとこと「神様がそうお命じになるのです」
…自分の悪行を、あたかも神の思し召しであるかのように言ってのける根性は大したもの。

第5位 
「たとえなにが起ころうと、おれが後悔することなんかあるものか」 
…いよいよ最後になって、心を入れかえてくれと従僕に頼まれてもなお、自分の信念を曲げない主人公。この後、全身火だるまになって焼け死ぬ。


そして、見所を三つご紹介します。

第1位 
ドンジュアンの破天荒ぶりとそれに振り回される従僕スガナレル。離れたいのに離れられないスガナレルは、主人の最後を見て何を思うのか?

第2位 
家庭、宗教、金、権力など社会の象徴として現れる登場人物たち。次から次に登場し、ドン・ジュアン前に立ちふさがる。一体、ドン・ジュアンはどういう行動を示すのか?

第3位 
石の像が話したり頷いたりするあり得ないこの展開。また亡霊が「時」の姿になります。山の手事情社はどう料理するでしょうか?!

13/12/20

演劇的生活No.1

『少しおかしな事』

ある日、道行く2人のサラリーマンの「お前の営業は強姦のようだからな。頼りにしているぞ」と、揚々と出勤している姿。
電車のつり革に傘をぶら下げボクシングを始める男。
満員電車内で無理矢理化粧を直そうとした結果、なかなか致命的な顔に仕上がる女性。
何も映っていないノートパソコンを膝に、何やら腕組をしながら1時間近く考え事をしている男。
横断歩道を渡るときふと前を見ると8割近くの人がスマフォを見ながら突進してくる光景。
別れ話でも切り出されたか、往来にも関わらず本気で喧嘩をする男女。
道路の真ん中で寝ている人、畑に車がひっくり返って突っ込んでいる光景。

少し興味をもって何となく観察してみると面白くて続きが気になるような少しおかしな事は何時だって存在している。そしてそれがたとえ本人たちが気づいていなくても、いかに偶発的な出来事であったとしても、誰かを引き付けているようなことには全て劇的な何かが起きていると言っても良いのではないか。さらにそれを上手く自分のネタとして何とか上手く取り込めれば良いのではないか。
そして今日も少しおかしな事に出会えることを楽しみにしている。

鯉渕翼

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