11/06/05

傾城反魂香/ルーマニア

観劇の鬼

ラドゥ・スタンカ劇場での本番を終え、シビウ滞在最後の1日。
朝食の席で演劇祭のプログラムとにらめっこをし、今日の観劇予定を立てる。
タイトルだけを見ても内容が分からないので、面白い作品にめぐり合えるかどうかはある意味賭けだ。
午前中はワークショップや記者会見が主なので、街全体が見渡せる時計塔に登ったり、市場まで足を伸ばしたり、ランチタイムにルーマニア料理に舌鼓を打ったりして過ごす。
言葉の壁もなんのその、旅の恥は搔き捨て!とばかりに、一人で買い物も出来るし、オープンカフェにも入れる。

今日の演目で見に行こうと決めた作品は次の3つ。
イランの「レクイエム・オブ・ヒロシマ」
クロアチアの「ティナ,ユー・アー・ラブリー」
ラドゥ・スタンカ劇場の「オフ・ザ・カーニバル」

とにかく1本でも面白い作品に巡り合いたい!といろんな劇場を飛び回る。
イラン(山の手事情社に入団を希望!)とクロアチアの作品は残念ながら面白くない。
面白くはないが、言葉が分からなくても内容がなんとなく理解できるところは演劇の力だと実感。
ラドゥ・スタンカ劇場の代表作「ファウスト」と同じ演出家の作品ということもあり、「オフ・ザ・カーニバル」に期待がかかる。

開演30分前に劇場にたどり着き、当日券を探すが、すでに入り口が黒山の人だかりで入手不可能。
警備の警察官が睨みを利かせ、スーッと入ることなど到底出来そうにない。
チケットを持っている人がスイスイと劇場に入っていき、さらにじりじりと焦る。
たぶんチケット係りのボスだろうと思われる女性(山本モナそっくり)にお金を見せて「チケット!チケット!」と叫ぶが無視される。警備員に関係者パスをかざすがやっぱり無視される。
開演時間を10分程過ぎ、ようやくチケットを持っていない人がどーっとなだれ込む。
「いれろーっ!!」
しかし私たちが入る直前で空しく扉が閉まる。
こうなったら、と警備員に色目を使ったが通用せず、楽屋口から入ろうとして怒られ、地元のルーマニア女性に不幸を訴えたが(しかも片言の英語)結局入れない。
去年はこんなに厳重警備じゃなかったのにな・・・。
後から聞いたところどうやら客席に政治家が観劇に来ていたため、厳重警備だったらしい。
仕方ないのでビール飲んで諦めよう。
しかし・・・これだけ観たい観たいと言ってくれたら演じるほうは本望ですよね。

12月の山の手事情社の本公演もアサヒアートスクエア前に黒山の人だかりが出来て、「入れろ!」という暴動が起こるように頑張らねば!

安部みはる

11/06/05

傾城反魂香/ルーマニア

ついてない日

6月3日は1日OFF!
フェスティバルなので様々な会場で観劇できるが、全て面白いわけではなく、選択を間違えるととてもブルーな1日になってしまう。
気合い入りまくりだったが、定員オーバーで入れなかったり、道に迷って会場にたどり着けなかったりして結局一本しかまともに見れなかった。
悔しいので、24:00からカフェで行なわれる三人芝居を
見に行く。

会場はまだ空いていたが、席がないとかで階段に座らされる。
待てどくらせど始まらない。
パンフレットを見直してみたら24:30スタートではないか。
しまった、無駄に階段で30分過ごしてしまった。
レモネードも飲みつくしている。
おもむろにゴットファーザーのテーマ曲が流れてきたが、始まる気配がない。
しかもパンフレットには芝居が1時間45分と書いてある。
最後まで見たらいったい何時になるのだ。
いまさら帰るわけにはいかないが、見るのもしんどいぞ。

結局40分遅れの25:10開始となり、ゴットファーザーは三回も回った。
イケメン俳優がなかなか面白い演技をしていたが、眠さと言葉の分からなさに負けて、10分ほどで会場を後にした。

なんとも、ついてない一日であった!

三井穂高

11/06/04

傾城反魂香/ルーマニア

シビウ本番

今年、ルーマニアツアーに初めて同行しています。
福冨です。

今回のツアー一回目の本番が無事に終わりました。一番の勝負どころ、シビウ国際演劇祭。
前々日にラドゥ・スタンカ劇場で「Felii」を見て、今までにない緊張が走りました。
当日券を求める観客の勢い。
開演前の客席の高揚感。
上演中の集中力。
終演後の観客の反応。
見終わった後も落ち着かず、一日過ぎ、そんな気持ちのまま本番を迎えました。

朝8時より劇場に入り、各セクションごと一斉に準備にとりかかります。1分1秒も無駄にできない乗り打ち公演。
舞台、照明、音響、衣裳、舞台監督の本さんが綿密に計画したスケジュールに沿って進みます。
午後には俳優も舞台で最終確認。
ゲネプロを終え、本番。
「Felii」同様、当日券を求めて並ぶ観客。
開演前より1階席、2階席にも立ち見が出るほどでした。
高まる緊張をどう押さえて良いかわかりません。
あとは見届ける限り。

噂に聞いていたスタンディングオベーションは少なく、英語さえろくにできない私は観客から生の感想を聞けず、この「傾城反魂香」がどうだったのかを劇団員と想像で話すばかり。控えめな反応に不安が募るばかり。
二日後に発行された演劇祭の雑誌「APLAUZE」の表紙を見たとき、やっと公演が終わったんだ、と安堵しました。また、現地評論家からは「今回の演劇祭で一番良かった」と嬉しいお言葉をいただき、近松門左衛門がルーマニアでも受け入れてもらえることに今後の可能性を感じました。

ツアーは始まったばかりです。
トゥルダとブカレストではどんな反応かが楽しみにです。
ご期待ください!

福冨はつみ