11/03/08

The Dead Father

『1年間をふりかえって』

研修生2年目だった桃香です。
去年初めて立った舞台では、何故かもう一度舞台を踏みたいと思い、けれど自分はなぜ俳優をやっているのか疑問に感じた。
なぜだろう・・・。
何のために・・・?
その答えが知りたくて2年目突入したにも関わらず、出てくるのは疑問ばかりで相変わらずお尻が重い気がした。

普段の基礎稽古が何のためにやっているのか考えなさい、エチュードの面白味って何か考えなさい。
2年目で苦痛なのは何をするか分かっていること。
≪二拍子≫≪発声≫≪歩行≫と当たり前だけど、去年とは変わらないメニューがほとんど。
知っているなら得ではないか!と思うかもしれませんが、やはり1年やった分だけ出来ている部分と出来ていない部分がハッキリしてきてしまう。
去年と変わらないフォルム、いらない安定感。
テストで50点目指すのは頑張り次第かもしれないけど60点・・・80点・・・と高得点を狙うには、細かくミスがないか再確認したり怠ったところがないか気をつけたりするものだと思う。
基礎稽古はテストではないし点数も付かないけど、後は自分でどれだけ詰められるか気づけるかの作業なんだと知った。

飽きる・・・・。
つまらない・・・。

とりあえず、2年目の感想です。
自分のやっていることに飽きて、真面目に取り組もうとしても変わらない自分がつまらなくて。去年の方が真剣だったんじゃないの?と自分を責めたりの繰り返し。これは本当に本番の幕開けまで繰り返されていて、こんな俳優がやる芝居を誰に見せればいいのだろうと思っていました。

けれど暗転から照明が入り、お客さんで埋まった客席を見て隣にいる仲間に気づいてやっと私は芝居をし始めた気がします。
それくらい今年はギリギリまで何かに追われていて、逃げて戻っての繰り返しだったと思います。
でもこれが本当の俳優作業なんじゃないかと気づきました。
うまく話しがまとめられないのですが、ループする1年間でした。
でも、これが無駄じゃなかったとやっと今感じています。

修了公演、わくわくしました!!

御影桃香

11/03/07

The Dead Father

『今思うこと』

修了公演の感想を書いて欲しい。
それならばと、想いを巡らせて数日。
どうにも、言葉がまとまらない。

とても濃密で、素敵で、でも過酷な時間だった事は確かで。でも、それ以外上手くまとまらずに、だらだらと時間だけがすぎていく。

とにかく、順を追って思い出していこうと、考えていくうちにこの芝居の形式にまで遡った。
今回の公演は、構成芝居という戯曲を使わない芝居なので、出番は自分の力で勝ち取らないといけない。
と、稽古を始めて直ぐは思っていた事を思い出す。
でも、それが違っていて、とにかく必死にやるしかないんだと、肌で感じたのは何時の頃だっただろうか?
とにかく、出番を「勝ち取る」より「選ばれた」という表現が正しいんだなと思えたことは事実で。
この芝居の中で使える、何処か面白いと思って貰えているのだなと感じた事は確かで。

それからだと思う。
とにかく、必死にやろうと決めたのは。
選んで貰った恩返し?というか。
稽古の中でも笑いが生まれたりしたのは、自分の力だけじゃないんだな。と思えたというか。
僕よりも、僕の事を考えてる人がいるんだから、とにかく必死にやればいい。

段取りに捕らわれた事もあった。
調子が悪いこともあった。
エチューダーを仲間を信じられなくなる時もあった。
でも、必死だった。

稽古が終わる度膝が痛むし。
声を枯らしかけた事もあった。
緊張して眠れないことも、逆に寝坊する夢を見ることもあった。

ただ、終わってみて必死にやりきれたかどうか。
それは別問題だし、ずーっと秘密です。
そして、一番分からなかった事が書いている内に分かってきた。
あぁ、公演、終わったんだな、と。
実感がわいてきた。

そして、この先を考える。
この先どうなるかは、分からないけど、
もう少し。もう少しだけで良いから、芝居をしたいな。
表現をしたいな。
そう思えるだけの何かを見つける事が出来た。
そんな公演だったと、僕は思います。

ありきたりですが。
最後に、この公演を支えてくれた方々全員にありがとう。この公演、ひいては僕たち研修生は本当に沢山の人に支えられて、ここまで来ることが出来ました。本当にありがとうございました。

増木啓介

11/03/06

The Dead Father

『一年終えて』

公演が終わり、自分の中に知らない感覚があるって事が、どれだけ貴重な事かを知りました。この一年振り返って、あらゆる事で初めての経験がすごく多かったと思います。

人が人のエネルギーを伝え合っていく事、見ているつもりでいたけど見えてなかった相手がいる事、誠実論や理想論で語れた人間の存在が、実際にはただの小さな妄想でしかなかった事、自分にも世の中にもそんな妄想が溢れていて言葉や文字がどれだけ記号的なものでしかないのか、でも、それに力を与えているのが人のエネルギーなんだなと感じました。

私が今まで軽はずみに見ていた「他人」が、自分にたくさんのエネルギーを回していてくれて、私も誰かにエネルギーを回しているんだと、まだはっきりとした自覚や実感は無くても、そう感じれる一年でした。

客入れ30分の間、あの空間にいた人達の全員がそれぞれ思い思いに考えたように、私も同じ様に考えていました。
過去、現在、未来...あの30分はとても貴重な時間だったと思います。
気づいた事は「過去」の私が「現在(いま)」の自分に止め処ないエネルギーを与えてくれていて、「未来」の私が「現在(いま)」のもがいている自分を引っ張り上げてくれていたんだという事で、それは一年間みてくれたエチューダーの斉木さんや麻里絵さんでもあり、山の手事情社の皆さんや、家族、友人、知人も同様で、
どれだけの人に見守られていたのかと思います。
勇気と誠実と頑固をくれて、ありがとうございました。
これからも、あらゆる出会いと別れに潔くあることを許してください。

公演に来てくださった方達と、この一年私がお世話になった方達
すべての人に感謝と心を。

中川佐織