11/02/15
『修了公演にまつわる話〜研修生編』
修了公演で思い出されるのは、苦い思い出。
「椅子事件」
本番中、何かのはずみで舞台上の椅子が机から大きく離れ、
そのままだとこの後の≪ルパム≫に差し障る、
という状況になってしまっていた。
その時、私は舞台上にいた。
演技をしながら直そうと思えば直せたのに、
その椅子をそのままにしてしまった。
そのままにするのがいいと思ってしまった。
案の定≪ルパム≫直前の演技で文と弥生(共にその時の研修生)がそろって二人、
大急ぎで、しかし何気なく椅子を中に入れて去って行った。
そうか!なるほど!と思った。
本番後、案の定エチューダーの川村さんに怒られた。
「なんで恵が椅子直さなかったの。あのままじゃルパム踊れない事分かったよね?」
その時は自分の事で一杯で、間違わず、ちゃんとこなすことに追われて、
ちょっとしたハプニングに対応出来なかった。
「本当にお前は舞台に立つ資格があるのか?」
そう言われた気がした。
1ステージ終えて浮かれていた頭を、ガツンとやられたようだった。
舞台は生きていて、いつも違う息遣い、手触り、状態で存在するんだと初めて認識した瞬間だった。
あの時、何としてでも私がやらなきゃいけなかったんだ。
情けなくて同期たちに申し訳なくて、悔しかった。
舞台では思わぬハプニングは付き物。
その時、突然でも対処できる、力も度胸もある俳優になりたいと心から思った。
今も、観にいった舞台でハプニングが起こってうまく対処している俳優をみたら、クッソー!!!っと思う。
そして心のメモに、あぁいった時はあぁするといいのだな、と書き留める。
ハプニングはない方がいい。
でも今度こそちゃんと戦ってやるぞ。
かかってこい。
そんなこんなで『The Dead Father』。
出演者はそうやって日々何か失敗して勝手に学んでいるだろうし、大きくなっています。
成長した彼らを、ギリギリで一所懸命な彼らを、是非観に来てください。
園田恵
「The Dead Father」公演情報
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