10/02/23

山の手事情社稽古場

合宿、それは非日常の世界/若手合宿

世間からは演劇やってるだけでも
驚異の目で見られるのに、更には合宿だなんて
もうどんだけ熱いんだよ!!!!
と突っ込みを入れつつ我々は合宿所に到着した。
ここからほぼ四日間、この合宿所に缶詰になるのだ。
やらなければならない稽古は山ほどあるため、
一刻も無駄には出来ない。
早速稽古着に着替え、、、、、
と荷物をチェックすると、、、、、

パンツ(パンティー)がないことに気がついた。

どうしよう、コンビニに行く時間はない。悩んでいるうちに稽古は始まってしまう。
先ずはアップ代わりに鬼ごっこだ。すると、
いつもは見ているだけの主宰、安田氏が自ら参戦!
まさに合宿怪奇現象である。
ここぞとばかりに安田氏を追いかけるメンバー達。

それにしても、パンツはない。

怪奇現象は続く。次のマット運動では、
いつもはおとなしい下野が空中を舞う!
結構巧いほうなのだが、ワンアクションやるごとに
反動でマットの外に飛んでいくのだ。しかも微妙な
うなり声をあげながら。特に、前方転回をやった後は
見事に飛んでいく。怪我はしないでくれ、下野。

依然、パンツの問題は片付いてないが、

更なる怪奇現象は、滑舌練習の最中に起こった。
スタジオの後ろにある電源の入ってない清浄機から、
コポコポコポコポと水の流れる音がする。
全く滑舌に集中できないメンバー。一時稽古を中断し、
職員の方に見てもらうが原因は分からない。
結局、文が別の管に入った水であることを発見した。

それにしてもパンッ、、、、

とここで、打ち合わせのために夜制作部の福冨さんが来ることを思い出す。
ちょっとした休憩時間に
こっそり福冨さんにメールをする。
「パンツと、歯ブラシを買ってきてください!」
そう…、実は歯ブラシもわすれていたのだ!!
返信を待ちながら、このネタは明日の漫才の稽古に
使えると思ってしまった。
初日にこんな失敗をするなんて、これこそまさに、

合宿の
怪奇現象!


三井穂高

10/02/23

春琴しよう

痛い話

春琴抄の中には針で目を突くという描写があります。

あれは高3の夏の事でした。
私が最前列で授業を受けていると、
目の端に白いものが映りました。
ゴミかしらと何度も瞬きしてみますが、
段々と視界が濁っていくばかり。
手鏡でこっそり見ると、なんとチョークの小さな破片が
黒目のぎりぎり端に刺さっていました。
そして、チョークが私の涙で少し溶けて、虹色の液体に
なって眼球の表面をぐるぐる廻っていました。

一大事です。

私は早退し眼科に直行しました。
検査の後女医は、
「今からチョークを取り除きます。」
と、平静でない私に言いました。
女医が機具を用意する数十秒の間、
私の頭には様々な良くない事が過りました。
しかし最終的に、今は21世紀。
手荒な事はしないはずというところに
気持ち落ち着き、静かに女医を待っていました。
準備が整い、
私に向き直った女医の手にはピンセットが。
手荒なパターンです。
戸惑う私に動いたら失明しますと冷酷な宣告。

人は本能で身の危険を感じた時、
本当にガクガクブルブルするんだなと学びました。
恐怖のピークは視界のピンセットの焦点が
合わなくなるまでずっと続きました。
半ば気を失っていました。
ピンセットがいつ私の目の中のチョークのみを器用に
摘んだのか覚えていないのですから。
いや、本当にチョークのみを器用に摘んだのか。
ちょっと黒いところも摘んだんじゃないのか。

……皆様目は大事にしましょう。


村田明香

10/02/22

春琴しよう

サファリパーク

こんにちは。最近は、寝ても醒めても『春琴しよう』が
頭から抜けない坂野です。
山の手事情社の修了公演の一つの目玉として
≪ものまね≫というものがあります。
身近にいる印象的な人を形態模写するもの。
1年間で4回程劇団員の皆さんの前での発表があり、
その中でも選りすぐりのもののみが
本番に採用されるため、研修生同士が凌ぎを削って
稽古に励んでいるものです。

今日は、そんな≪ものまね≫の抜き稽古でした。
稽古待ちの研修生は、それぞれ、
狂ったように自主稽古。

髪を掻き毟りまくる石原。
鼻の下が異様に長くなっている坂野。
ひどい口の形となっている美穂。
呪文をとなえる中村。
もがきながら転げまわるあいか。
ロボットのような動きの桃香。
指をつきあげて叫ぶ明香。
そして、我関せずおぅおぅと頷く高橋。

奇人・変人の集まりが奇声を発する、
サファリパーク状態となります。

ただ、この≪ものまね≫稽古。
とてもエネルギーが必要。3回繰り返すと、白いものが見えることもしばしば。
5回連続で行うと星が目の前に見えてきます。
また、一人でやるゆえ、常に新鮮な要素を入れないと
感情が落ちてしまいます。
そんなこともあり、≪ものまね≫のままで会話し始める研修生達。

「あすかのモノマネは最高にいいよ。もう最高だよ」
(気持ちがない)
「石原は流石だね、モノマネだけは敵わないよ」
(そんなでもない)
「今日の中村のモノマネ面白いらしい」
(ただ、ハードルを上げているだけ)

単なるお互いを牽制するための
褒め殺しなのですが...
こうして、≪ものまね≫稽古の夜は
更けていくのでした。


坂野 寛