09/05/13
野球と四畳半
野球は筋書きの無いドラマなんて嘘だね。
9回裏1-0、最後のバッター、カウントは2-3、
ランナー3塁。
可能性は限定されてる。
ヒットを打つ、3塁ランナーが生還する。
ホームランを打つ。
ピッチャー暴投で3塁ランナーが帰ってくる。
三振する。
フライを打ち上げ、野手に取られてゲームセット。
ゴロを打って、1塁でアウト。2塁でアウト。3塁でアウト。ホームでアウト。
限られた選択肢を観客は固唾を飲んで見守る。
ボールが爆発して、キャッチャーが爆死したり、
ピッチャーが奇声を上げてバッターに飛び掛ってきたりしないし、マウンドでピッチャーが急にマグロの解体をしはじめたりも、もちろんしない。
四畳半も、もちろん限られた選択肢の中で見ている人の期待をいい意味で裏切っていかなくちゃいけない
のだけど。
やっちゃうんだよなあ、マグロの解体的な事を。
でも、面白いかも、ダルビッシュがマウンドで奇声を
発しながら、マグロの解体を始めたら。
演劇にはスポーツにはない裏切り、解釈の自由さが
あると思う。
だから演劇は面白い。
当然、こうだろうという常識とか固定観念とか、根本を
疑う視線が現代演劇の骨法でしょ。
斉木和洋