08/11/30

道成寺/えずこホール

個人的な話

「東京とそれほど変わらないから、
     大げさに考えすぎだよ!」
と答えた。
私が暮らしていた岩手の土地は、本当に寒い。
寒いを通り越して、痛い。
そこに比べたら、宮城県の冬はたいしたことないぜ
と思う。

しかし、待てよ。
ヌクい東京暮らしが長くなった今となっては、
ちょっときついかも。

こっそり、寒さ対策グッズを持っていくべし。

さて。稽古場日誌本題。

本題と言いながら、
『道成寺』とは直接関係ないけれど、
私にとっては、重要な思い出話を。

それは、私が大学生だったとき。
初めて彼氏という存在ができ、
初めてデートというものした。
そのとき行った場所は、仙台。

仙台駅前にある、ナガーイ商店街を、
いわれるがままに歩き、いわれるがままに、
店に入って、買い物につきあった。

その後、その彼とは、
さよならする日が来るのだが、
仙台で歩いた、あの商店街を思い出しては、
泣いた日々があったなあ。

さらに、その後。
なぜか仙台を基点にして、
酸いも甘いも経験するはめになる。

自分の気持ちや衝動だけで突き進むと、
相手は引いてしまう。
ということを知らなかった私。

今なら、清姫に、
「あんた押してダメなら、引いたほうがいいよ」
と言えるな。

そんなこんなで、勝手ながら、
今回宮城県で「道成寺」を上演することに
なったのは、因縁めいたものを感じる。

清姫を見ていると、当時の自分を思い出すのに、
さらに、思い出いっぱいの地で、
公演することになろうとは。

私だけじゃないはず。
清姫を見ていてドキっとするのは。
思い当たる女性がたくさんいるはず!

観るべし。『道成寺』

小笠原くみこ

08/11/29

道成寺/えずこホール

恐くない「おんな」なんていない

「御料様〜」「キャスリーヌデース」

これは、道成寺での私の役の第一声です。
2つあるのは、2役あるからです。

私はこの作品がとっても好きなのです。
自分の役所も楽しいし、男性が魅力的に
見えるところも嬉しいし、
なんと言っても、清姫たちが美しく恐い。

「おんな」は恐いのですよ。
その「おんな」の前では、「おとこ」は
立ち向えません。
そーゆーの大好きなのです。
かわいいだけの「おんな」なんて
この世にはいません。
上戸彩も小倉優子も恐い「おんな」の顔を
持っているはずです。
恐くないと「おんな」とは言えません!
恐くない「おんな」なんていません!!
ゼーッゼーッ・・・・。

ぜひ、そのあたりを見てください。

・・・が、私の役は全く恐くありません。
「御料様〜」は清姫の乳母ですが、
「キャスリーヌデース」は原作には無い役です。
一応、外国人です。
なんで道成寺に外国人がいるのでしょうか?
私にもわかりません。

「4人目の清姫じゃない?」

と思って見てください。
宮城県柴田郡のえずこホールで
恐いおんなたちが、お待ちしております。

水寄真弓

08/11/25

道成寺/えずこホール

必然性のある舞台

『道成寺』は、山の手事情社が四畳半
という演技スタイルで舞台を創るようになってから
の作品群の中では、かなり良く出来た作品だと
個人的には思っている。

劇団メンバーとはいえ、山の手事情社の舞台を、
客観的に客席から観る機会の多い自分
(『道成寺』もそうな訳で。)が言っているので、
おそらくそれほど“イッちゃってる”意見では
ないかと。(もちろん完全客観視はムリだけど。)

どこが良いかというと、
こりゃー“山の手事情社的情熱”じゃなきゃ
創れない変な舞台だなぁと、かなり明確に
感じられる点だ。

つまり、オリジナルな感じがする。
「ここにしか辿り着けなかったんです」みたいな
表現者側の必然性を感じられるということだ。

商業ベースではなく、前衛舞台という旗を
掲げる場合、それはとても重要な事だ。

おそらく自分自身、様々なカンパニーの舞台を
観る際に、最もアンテナを張ってるのはそこ
(必然性であり、切実さ)なんじゃないかと思う。
たとえ無意識的にであったとしてもだ。

まぁつまり自分は今、かなり山の手事情社の
『道成寺』という作品のことを誉めた訳だが、
実は今回、流れの中で自分も初参加することに
なった。

なんだか意外だったし、単純に楽しみでも
あるのだが、ウカウカはしていられない。

なにかと再演の機会の多かったこの『道成寺』
稽古場では年季の入った演技にさらに磨きを
かけようと、あるいは大胆な変更を試みようと、
熱心に取り組む共演者達。

なんだか熱いのだ。

という訳でえずこホールでの『道成寺』
ますます面白くなりそうな予感。

自分も、せっかく参加するのだから作品がより
面白くなるように、機能したいなぁと願っている。

と、いう訳で、

宮城県及び近郊県の皆々様、ぜひぜひ
えずこホール版山の手『道成寺』
足をお運び下さい!

準備万端でお待ちしています。

三村 聡