14/03/14

ヘッダ・ガブラー

『女の一生』

イプセンの『ヘッダ・ガブラー』を初めて読んだのは、2年前。
「結婚しても遊んで暮らすのよ、私は! と思いつつも、現実はそう上手くはいかない」
という印象で、読み終えたのを覚えている。
が、そんな作品なら数百年も残らんだろう。
とりあえず、一読するだけじゃ分からなかった作品。その時は、単純に「女」ってなんだろな?
「家庭」ってなんだろな?
「恋人」と「夫」ってなんだろな?
そんな事を考え、、、あれ? なぁ〜んにも持っていないじゃん私、わぁ!

話は飛び、そんな私もなかなかいい年齢になってきた。そろそろ母性が芽生え出したのか、最近産まれた甥っ子がとっても可愛く感じる。
初めての甥っ子が出来たの16歳。
甥っ子に会うためだけに実家に帰るなんて考えもしなかったあの頃から10数年。
人間は変わる。しかし、私自身は未だ何も持っていない、、、うーん。

話は戻り、イプセンの『ヘッダ・ガブラー』。
初めて読んだ時から2年たった。
なんか持って無いのか? 私? なんかあるだろ? 私? 私? 私? 私? 私、、、
うわぁーーーー!!!
女として、『ヘッダ・ガブラー』で発狂する私がいた。

貴方は何を感じるのか?
3月、文化学院にてお待ちしております。

中川佐織

14/03/12

ヘッダ・ガブラー

『変化の時』

「やから、あかんねん! 変わらなあかんわ。」
先日、久々に友人と飲みに行き、
話す毎に関西弁でピシャリと制された。
 
今の自分のダメさ具合は薄々、いや、ガッツリ分かっているつもりだが、「変わる」という事の漠然さと難しさたるや。
結局はお酒の煽りもあり、情けなさと恥ずかしさと寂しさが帰り道に爆発し、号泣。
帰り慣れた道なのに何故か道に迷い、
「みぢが、わがらない! これが一生かー、一生がこれか! 」
と醜く嗚咽し、誰に迷惑をかけるでもなく、地味にひとり悲劇劇場を繰り広げた。

実に気の毒なばかばかしい時間である。

しかし、「変わる」 事にワクワクした気持ちを持たなければ、到底変化なんか望めない。
私のどうでも良い帰り道の話を枕に、ヘッダの話に移行したい。


私が初めて『ヘッダ・ガブラー』 を観劇したのは、今公演と同じ、文化学院講堂。
学生の卒業公演だった。
「退屈な女って、怖いなぁ…」 という印象だった。

二回目は、今公演の為にリアリズムで行われた、稽古場での中間発表。 
孤独で、実は誰よりも繊細な女性に思えた。
確かな満足を感じる事も出来ず、独特の理想を追いたい衝動がある。
でも、ひどく臆病で複雑な印象を受けた。

これを《四畳半》でって…。
難しいでしょ。
いや、合わないでしょ…。
ドーン! バーン! って感情の爆発シーンもないし、近代演劇に《四畳半》 は…無理でしょ。
ヘッダの本番に向けての稽古が始まり、《四畳半》 で稽古をし始めたと耳にする。
大丈夫? 本当に大丈夫? と、稽古を拝見。


あれ? いけるんじゃない?
なんだか、見える。
ヘッダに翻弄される面々が、滑稽に、情熱的に。
相対して、ヘッダの静かな複雑さが…見える!
そして、《四畳半》 が、近代演劇仕様に変化している。
変化すべく、ベテラン俳優陣が、もの凄い手探りで検証し合っている。

この感じ、新鮮!
この変化に、ワクワクする。
 
着々と本番に近づくヘッダを通して、あわよくば自分の変化にワクワクする感覚も手に入れたい。

こんな『ヘッダ・ガブラー』、他にはありません。
ご期待下さい!


辻川ちかよ

14/03/11

ヘッダ・ガブラー

『揺らめいて、現れて』

稽古場が池上に移り早4ヶ月、快適な稽古環境を作るべく忙しいスケジュールの合間を縫って改装工事を何度かに分けて重ねている。
2月の頭には二階のスタジオの床に黒のフローリングシートを新たに敷く作業があった。
ところでこのフローリング、まだピカピカで微妙に鏡のように反射している。今までパンチの敷かれた床で稽古することが多かったため、この光景がなんだかちょっと新鮮。
ただでさえ私共の劇団が用いるところのスタイルである《四畳半》 のクネクネとした非日常的な動きが床に淡く揺らめいて写っている様はなんだかそれだけで一種の美術のようで面白い。

しかしこの《四畳半》 、本番で皆様にお見せする形に仕上がるまで本当に長く緻密な稽古を重ねている。ほんの少しの胸の角度、足の位置の違いなんかで見える表現が変わってしまうのだ。99% 出来ていてもそれは惜しいだけで結果としては見せたいものが見えなくなり1% しか出来ていないことと同義になってしまう。

先日自主稽古を見学していたときもエイレルト・レェーブボルク役の浦さんがあるシーンの稽古中、「見せるべきものが違う気がする、全部考え直します! 」と仰っていた。ベテランの役者が本番まで2週間を切っていてもとことんアグレッシブにシーンを作り込んで行く。驚きつつも改めてうちの役者がもつ舞台にかけるエネルギーの大きさを感じた。

そうした稽古を重ね、フローリングに移る揺らめきのように朧げなこの世に無い別の世界。それが役者の身体を通して舞台上に確かに現れる奇跡とも言える瞬間をぜひとも劇場でお見逃しなく!

田中信介

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