14/03/09

ヘッダ・ガブラー

「ヘッダ・ガブラー」上演に向けて 大久保美智子編

映像でお届けする、「ヘッダ・ガブラー」への意気込み、
第五弾は、大久保美智子です。



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「ヘッダ・ガブラー」
※ 公演詳細は、タイトルをクリックしてください。
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14/03/09

ヘッダ・ガブラー

『近代劇への挑戦』

イプセンの作品は推理小説のようだ。台本に入り込んでいく作業は、解釈というより推理に近い。

登場人物の行動や過去の出来事などで台本に書かれていないものがたくさんある。セリフで語っていたとしても本当かどうかわからない。
こちらでいろいろ想像して、矛盾の起きない筋道を探っていくことになる。
謎解きは面白い。

また当たり前だが、ひとつとして無駄なセリフはない。無駄に見えるようなセリフも、解釈が進んでいくと、しっかり意味のある言葉として論理的に書かれていたりする。

だから芝居を作っていく過程は、ジグソーパズルを組み立てていくような作業にもなる。
大変だが、パズルのピースのつながりがわかった時の喜びは大きい。

しかし問題はこの作品の質の高さを山の手のスタイルでどう舞台に実現するのかだ。

もしかしたらそのために、今までのこだわりを捨てる必要が出てくるかもしれない。

自分たちがやり慣れたことをあっさり壊していく…

それは難しいことだけど、ゾクゾクするような楽しみでもある。

山本芳郎

14/03/07

ヘッダ・ガブラー

『ヘッダの屋敷』

今『ヘッダ・ガブラー』 が作られている山の手事情社の事務所は、一見稽古場まで備わっているような建物には見えない。さらに内部は厳重な遮音工事のため、とくに階段は分厚い壁と巨大な扉に仕切られ薄暗く、稽古場は稽古中外の光が一切入らないなんて事はもっとわからない。見た目じゃ中身はわからない。何となく人というのもそんな感じだなと思った。

ヘッダという女は美しい見た目とは裏腹に、何を考えているのかわからない。不満なこともそうでないことも全て察しろ感じろと相手に向かってはっきり言わない。遂にはその無言の不満が人を破滅させ、自分も破滅させる。
外見は綺麗でも中身はドロドロ。いくら美人だったとしても夫婦として一緒に暮らしていくなんて私だったらとても耐えられない。こんな女に引かれるテスマンもレーヴェボルクもおかしいのではないか。しかし、そうは思うものの、危ない何かを内包した女性にどこか引かれてしまう気持ちもわからなくもない。自分が有利で安全な立場が確保されているならものにしてしまおうとするブラック判事の様なところは自分にもある。自分が絶対安全なら持ち物は珍しければ珍しいほど良いものだから。
外見はとても綺麗だが、外からではその複雑な内部が見えず、一度立ち入ろうとすればたちまち想像だにしない罠や仕掛けが待ち受ける。しかし土地が大変な価値を持っている。ヘッダという女を建物にしたらきっとそんな風になるだろう。
山の手事情社が建築する『ヘッダ・ガブラー』 を是非見に来てください。

鯉渕翼

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