14/03/01

ヘッダ・ガブラー

『試行錯誤×∞』

先日、3月の本公演『ヘッダ・ガブラー』の稽古を見学した。
試行錯誤が続いている。シーン稽古しては、安田さんとみんなで話し合い、また稽古、その繰り返しだ。

笑美さんと浦さんのシーンの稽古中、笑美さんが「○○だよね? 」というと浦さんは「え? どういうこと?? 」とキョトンとなり、「○○ってこと? 」と答えると、笑美さんは「ん? 」とキョトンとなる。
キョトンに対してキョトン。
そうやって共演者同士考えをすり合わせ、作品への解釈が少〜しずつ深まっている。今後がとても楽しみだ。

そして、いつも稽古場で会うと「谷、元気? 」とすかさず声をかけてくれる川村さん。この日は全く声をかけてくれない。うん、試行錯誤している。
稽古が終わった途端に川村さんから「谷、元気? 」と声をかけられた。うん、試行錯誤している。

安田さんも役者さんもみんなイイ感じで悩んでる。

この試行錯誤の繰り返しが『ヘッダ・ガブラー』をどのようなかたちにするのか、劇場でぜひ観てみて下さい!

谷洋介

14/02/28

ヘッダ・ガブラー

『S君』

中学の三年間、Sくんに片想いし続けた。
私はコンプレックスが服を着て歩いてるような自意識過剰女子で「チビ・デブ・ブス・おまけに天パ」Sくんが振り向いてくれるハズはない、と決め込んでいた。
Sくんは格好良くはないが、ちょいワルで、ひょうきんで、女の子に人気があった。
私の友達とSくんが付き合うことになった時は、横に寝ている妹にバレないように、枕を濡らしたものだった。

中学最後のバレンタインに、「告白しよう」と決めた。一大決心だった。手作りのチョコを準備したが、直接渡す勇気がなく、一日遅れてポストに投げ込むという体たらくだった。見かねた友達が「みちこは三年間ずっと好きだった」とSくんに伝えてくれた。翌日Sくんは「ありがとう」と言ってくれた。
清々しかった。付き合えるなんて思ってなかったから「嫌がられなかった」というだけで、とんでもなく嬉しかった。
そして私たちは卒業した。

高校は別々だったが、たまたま帰り道にSくんに会うことが重なった。高校のこと、中学の思い出ばなし、将来のこと、など、ポツポツ話しながら一緒に帰った。まだ彼女はいないらしい。ちょっと嬉しかった。

ある夕暮れ、二人の前に野良猫が現れ、一緒に撫でているうちに、Sくんは私の手を握った。

その時、私は、逃げた。

あんなに好きだったSくん。お付き合いしたかったSくん。三年間を捧げたSくん。だのに、私は全力で走って逃げた。

今でも、なぜ走りだしたのか、よくわからない。なぜそんなことしちゃうのか? に、みんなが納得するような答えを出すことは、本当に難しい。

ヘッダ・ガブラーの稽古をしていると、よくあの場面を思い出す。むりやり私の青臭い経験とくっつけるつもりはないのだけれど。
ヘッダも、自分でもよくわからない、言葉にしづらいものを感じとって、行動しているように思われる。
ふつうの状態では、周りは理解しづらい。
私たちは、まあ、芝居をつくる上で、なぜそういうことをしちゃうのか? どんな状態ならそれがあり得るのか? を考えなければならないんだけど、それが明らかになったところで、芝居がおもしろくなるわけじゃない。

それよりも、観客のみなさんの内にある「なんであたし、あんなことしちゃったんだろう?」にうまくコミットしたいな、と思う。
そんなこっぱずかしい雰囲気に劇場がつつまれたら、素敵なんじゃないだろうか。

大久保美智子

14/02/27

つぶやきとざんげ

くそったれ野郎

公演が近づく。

毎日稽古をしている。
自主稽古もしている。色々考えている。

なのになんで全然できねえんだああああああああああああ!!!

僕は役者を志してから今、初めて壁にぶち当たっている気がする。
全然芝居がぬるい、相手の言葉を受け取れない。いくら自主稽古をやって感覚を掴んでも舞台の通し稽古になるとすんなりとどっかに消える。

もうすぐ公演だというのに、お客さんがたくさん観に来てくださるというのに、俺の不甲斐なさはどうしたらいいんだろうとかんがえる。

でも今考えれば、考える事、苦しむこと、耐えること、こういった「努力」と呼ばれる行為をやらず、自分の感覚のみで好き勝手芝居をしていたツケが回ってきたのだと思う。
だからそれに気づけただけでも今の稽古というものは無駄ではなかったとも考えられる。

だけど、そんなことを言い訳にできるのか。お客さんに対して「僕は今まで努力をしませんでした、でもやっと今回努力をすることを始めたんで、大目に見てください」なんか言えるのか。

言えるわけねーだろ!!!!!

そんな言い訳はクソ食らえだ。今、壁があるなら、今ぶち壊せばいいわけで、そもそもその壁を公演前に壊せるからプロの役者はすごいのだと思う。
今はやれることをやるだけ。過去のツケなんて関係ない。まとめて出世払いで払ってやるぜ。

ということで、本公演にご来場される皆様、今になってこんなに焦ってるバカがいますが、このバカが壁を壊せたかどうかは是非、皆様の目でご確認いただけるとありがたいです。

御来場是非是非お待ちしております。

高橋真理

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