14/03/06

ヘッダ・ガブラー

「ヘッダ・ガブラー」上演に向けて 川村岳編

映像でお届けする、「ヘッダ・ガブラー」への意気込み、
第四弾は、川村岳です。



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「ヘッダ・ガブラー」
※ 公演詳細は、タイトルをクリックしてください。
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14/03/05

ヘッダ・ガブラー

『稽古は日々加速中』

3月の公演『ヘッダ・ガブラー』 の稽古は日々加速している。
私が今公演で演じる役は、主人公であるヘッダと過去になにか関係のあった、エイレルト・レェーブボルクという役だ。

彼は簡単に言えば天才(知能指数IQに限る) である。家族からも、周りからも期待されていたが、破天荒な性格から自分の身を滅ぼしてしまう。

この役について自分なりに色々調べてみて、矛盾しているかもしれないが、天才というのは本当にバカだなと思うのである。
よかった天才でなくてと思う今日この頃である。

本来天才とは自分で決めるものではなく、他者との比較によって他者が決めることであって、非常に曖昧でいい加減なものである。

また、主に何かの分野において突出した能力であることが多く、社会に適応出来る能力とはまた違う。

天才が本当にいるならば、それは努力に努力を重ねた人で、天から授けられた才能は、強い好奇心と情熱の持ち主で、それを社会で活用できる人だろう。
周りからちやほやされて有頂天になっているやつは到底天才とは言えず、凡人極まりない。

歴史を辿れば、天才という人は概ね、社会にから外れ、ある1ジャンルに傾倒していることが美徳と思われがちである。

そりゃそうだろう。社会生活に突出している人は、その社会に生きている人たちからは、同ジャンルであるがゆえに比較にしづらいからである。(しかしそういう人はたくさんいる。)

ということは、レェーブボルクは天才と周りから言われているが、実のところ社会性がなく、一つのことしか考えられない、ただのバカなのである。

バカを演じることは本当に難しい。何を考えているのかわからないからである。
何の言動に引っかかり、その時に何を感じているのか?
社会に順応できている私には理解不能なのである。こりゃまた、厄介な役だ!

自分の日々の行動をちょっとずれたところに置き生活してみる。休みがある日は急遽思いついたことをやってみる。突然東京から離れ、異郷の地で喫茶店に入りのんびりしてみる。
初めて会った人に積極的に声をかけてみる…。

おいおい仕事に疲れた人の軽い現実逃避じゃないかっ!
俺って、ふつ〜うっ!

次は無駄に酒をアオってみる。食いたいものを腹一杯以上に食べてみる。電車などの交通機関で可愛い女の子がいたら凝視してみる。最近降り積もった雪を見て蹴っ飛ばしてみる…。

おいおい仕事でストレスの溜まったオヤジの行動じゃねーかよ!

間に合うのかこんなことでっ! 俺!
是非、天才バカが破滅する様を劇場まで見に来ていただければ幸いです。

ご来場お待ちしています。

この文章は「これが衝動だっ! と意気込んで、東京を飛び出した先の仙台で作っている。
ん〜、結局こんなことやってる俺って、ふつ〜う…

浦弘毅

14/03/04

ヘッダ・ガブラー

『気になる! 』

『ヘッダ・ガブラー』は、ノルウェーの作家イプセンが約100年前に書いたお話だ。

ノルウェー? どこだよ何語だよ…。
100年前? ひいじいちゃんが赤ちゃんくらいってこと…? 想像もつかない。
なんだ古くさい小難しい芝居か眠そうだな…と食わず嫌いで一歩引いてしまいそうだ。

だがちょっと待ってほしい。

以前参加したワークショップで、同じくイプセンが書いた戯曲『幽霊』を扱ったことがある。
そこで“自分が気になる台詞を見つけてきてください” という宿題が出た。

当時イプセンなんてほとんど読んだことのなかったわたし。だって言葉は難しいし、誰が誰だかわからなくなって話についていけないし、共感なんてまるでできないし。
ところが、“気になる台詞を探す” という目的を持つと、同じ戯曲が俄然身近に感じらることに気がつく。
気になる、というのは実に曖昧な言葉だが、つまりなんでもいいのだ。
言ってみたい、言われたい、絶対に言われたくない、きれいな、気持ち悪い、素敵な、汚い…とにかく今の自分にビビッドに響く台詞。
探すうち、なぜ自分はこの台詞が気になるのだろう? というのも考えざるを得なくなる。
“気になる” を見つけて、自分がいま抱えているものをじっくり考えてみる。これはなかなかおもしろい作業だ。

総合芸術たる演劇は、“気になる” を見つける格好の場だと思う。気になる俳優、気になる台詞、気になる動き、気になる音楽、気になる衣装、気になる照明…。それぞれの専門家による“気になってほしい!” のせめぎあいだ。

100年前、ノルウェーで書かれた、ヘッダガブラー。この芝居にも、できるだけたくさんの“気になる!” を詰め込んで皆様にお届けしようと、今日も汗水たらして稽古が進む。

名越未央

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