08/05/20

摂州合邦辻

きっとこんな観劇体験

脳味噌を直接鷲掴みにされて、
ぎゅんぎゅんに振り回される気持ち。

ブルーザ・ブロディよろしく、
レッド・ツェッペリン「移民の歌」をバックに
鎖をまきつけ、卓袱台の上を小躍り。

脳内フランク・ザッパ、「ティンゼルタウンの暴動」を
脳内リピートで、環八を爆走。

ひとり、にやにやしたり、へらへらしたり、する。

いきなり振り返り、くわっと見得をきる。

そんな藪から棒な気分になる演劇。
『摂州合邦辻』

子供の頃、
無闇にじぐざくに駆け回ったり、
どぶ川の源流を辿ろうと、
じゃぶじゃぶ川の中を突き進んだり、
雨が降ると溝を選んで歩いたりしたもんですが。

あれから。
使わず仕舞いの脳味噌がじゃぶじゃぶ洗われます。

小骨が刺さるよ。脳髄に。

おいでませ、相模大野。観劇後はきっと小躍り。

斉木和洋

08/05/19

摂州合邦辻

それなりに。

ニュースが報道される度に、
事件の裏でその家族は一体どうしているのかと
思わずにいられない。
マスコミに追われ、世間のうわさと白い目にすくみ、
でも生きている限り、日常生活は送らねばならない。

親である限り、
育てた責任を自分に問い続けたら――――。
時代こそちがえ、この舞台にも、
そんな家族が登場します。

良い舞台を作ろうと、
必死で頑張っている劇団の娘や息子たちに支えられて、
69歳もそれなりに頑張っています。

田口 美佐子

08/05/17

摂州合邦辻

すき間

お父さんとお母さんと娘と、
娘が嫁入った先の義理の息子とその恋人。

山の手版『摂州合邦辻』では
この家族がドラマを生みだしていくわけで すが、
劇中この家族のすき間に、
さまざまな妄想がふんだんに入り込んできます。

原作にはない「犬」や「女」たちは、
合邦一家のすき間にひそんでいる 妄想そのものです。
人間関係のすき間にあるかなり危険な欲望を、
強引に引きずり出し拡大 する「犬」や「女」。
昔気質なお父さんも、娘思いのお母さんも、
美男美女の俊徳丸カップル も、
実はどうにも処理できない欲望を抱えてるらしいことが見えてきます。

すると、ちょっと気持ちいいんですね。
「もしかしたら…なことあったりなんかして、
やっちゃったりして…。」
ということを大胆に実現していくと、ちょっと快感です。
合邦一族が妄想によろけていく様を、
すき間担当として横目で眺めてい るのもなかなか爽快です。

ただその中でも娘の玉手はスーパーです。
運動会のリレーでバトンの渡し方も分からず
ひとり爆走して、最後にそのバトンもへし折っちゃう感じです。
彼女はひとり、すき間なしの現実を生きてる感じもします。
あらためてそのスーパーぶりに感服です。

スーパー玉手とその一族すき間拡大バージョン、
初日まであと一週間、 ぜひご覧ください。

久保村牧子