06/10/23

YAMANOTE TRIP

「見えない敵!」

けほっけほっ

本日稽古場に不穏な音が聞こえる。
それもいろんなところから聞こえる。
 ギクッ! も、もしや稽古場に摩の手が…

と思ったら遅かった!
私にも魔の手の気配!
ぎょええ〜

逃げろ逃げろ〜
うがいだ! しょうがだ! 蜂蜜だ!

只今稽古場には役者の大敵、風邪という見えない魔物が迫りつつあります!
みんな逃げて〜
油断すると犯されるぞ。
一人が風邪をひくと、あっという間に劇団全体に広がります。

ふと…
見えないものほど巨大な力があるなぁ。
見えるものの何と小さく弱いことか。

なんて思ったりしながら…

はっ!
今の私達の本当の敵は風邪なんかじゃないのよ。
そう、作品全体がまだ見えないことが一番恐ろしい!
演劇の神様どうか一瞬でもシーンの道を見せて下さ〜い。
と願いながら見えないものを見えるものにしようとシーンを作る作る。
作品の本質が見えてくるようとにかく作る。

本番まであとすこし、何か見えるのか、それとも見えずに終わってしまうのか今が境目の時期。

TRIPに演劇の神が見えるよう気合いを入れなおさなきゃなぁと思った本日でした。

 でもやっぱり風邪も恐ろしい。しょうが湯でも飲んで温かくしよう。
皆様も風邪には気を付けて下さい。

山口笑美でした。

06/10/22

YAMANOTE TRIP

「必要なのは審美眼」

先日通し稽古が行われました。
10月7日から行われてきた自主稽古の成果を、香川から一時帰京する安田氏に見せるためのものです。
結果、現段階で大きく欠けているものが幾つか分かった気がしました。
その一つが巨大なキャラクター。日常的でない神話に出てくるようなある種類型的で、しかし様々な人格や状況を象徴し受け止めているキャラクターが今回の芝居には必要だということ。
それによって大きなイメージを描くことが可能になり、日常では通り過ぎてしまう哲学や人類の命題にまで想像が及ぶスケールの大きな演劇が出来るはず...。
きっと出来るはず...。
そんな仮説のもと本日は再び香川に旅立ってしまった安田氏以外のメンバーで自主稽古 !
青い鳥のワンシーンを作り直します。
でかい声で重たく動いてみたり、構図を気にしてみたり、キャラクターを立てるためにと様々に試行? 錯誤を繰り返すこと3時間強...。
台本1ページ分のシーンの稽古は何となく役者達の体力低下に伴いうじゃじゃけて終わりました...。
1ページに3時間....
うん
うん
泣かねえ
俺は泣かねえ
もうねえ
もうねえ
言葉に詰まるよ...
俺の「審美眼」! 鈍りすぎだろ〜〜〜〜!!!!
と胸のうちで吼えるだけ吼えてシーン後半へ...
さっき作った1ページ分のシーンを他の役者達に見せます。
すると
「良くなってるよ。前よりも良くなってる。」
そう、言われ..ました。
泣くね
正直泣く
...
そういえば
「仮説」って言葉、よく使うなあ稽古場で。
「うじゃじゃける」って一般的な言葉なんだろうか?

あらゆる合理性と、機能性と、効率を無視して稽古は続いていきます。
ちまちま、せこせこ生活してても、稽古時間は贅沢にたっぷり使う稽古場より野々下がお伝えしました。

06/10/20

YAMANOTE TRIP

「また光かっ!…恐怖です。」

こんにちは。女学生の集団に弱い、ちょいエロの名久井です。

今日は稽古場の外から失礼します。

歌舞伎町はホストが多いですな。只今、真夜中…何故か新宿歌舞伎町にいます。

「もっと光を!」これは、『ファウスト』の作者ゲーテが死ぬ間際、最後に言った言葉だそうです。この言葉の本意は僕にはわかりませんが、ゲーテ程の知識人でさえ、まだ見えないものがあったのか? 見たいものがあったのか?

ゲーテさん、ここ歌舞伎町では光が眩し過ぎて僕には逆に何もわからなくなります! まるで目潰し! 夜の闇のないのも、これまた恐怖です。

でも歌舞伎町で夜の闇を実感した時は東京も、それこそ日本も終わりかもなんて思ったりもします。

そういえば『青い鳥』ではチルチル・ミチルを導いていくのは、「光」です。彼女(女性らしい)は、チルチル・ミチルを様々な場所に引率して、様々なものを見せていきます。

ここ歌舞伎町の「光」はギラギラした“欲”に導いてくれそうです。歌舞伎町にいると「光」は女の子の集団かもって思えてしまう下世話な僕。いかんいかん! 明日も早いぞ俺っ!

明日もまた稽古場ではTRIPの「光」を探している猛者(?)がヨロヨロ、ウロウロしている事でしょう。みんな「もっと光を!」という眼でウロウロしている事でしょう。…これもまた恐怖です。