06/11/03

YAMANOTE TRIP

「水面下にて」

最近まで、香川県の市民劇に衣装縫い子として派遣されていた小笠原くみこです。

東京に戻り、YAMANOTE TRIPの現場に復帰です。
というものの、実際稽古している空間へはほとんど姿を見せず、
稽古場外にあるロビーで、一人黙々とパソコンに向かっております。
きっと、「何をしているんだ、あの人は?」
と思っている劇団員もいることでしょう。(いないことを願います)

私は、もろもろの調べ物、メールでのやり取りが多いのです。
これから、ドバーっとやってくる美術や小道具や衣裳の小物やら、
買い物のための下準備なのです。
使用するものが決まっているなら、買えばいいじゃん。
そうは問屋がおろしません。決まるまでが長いのです。
例えば、Xという小道具が欲しい場合、
それだけを考えればすんなり決まりますが、
舞台美術、役者が使う意図、衣裳との色の組み合わせ、大きさ、値段…
様々な点を考慮しながら一番ベストなものを選ばなくてはいけません。

上記の場合はまだいいパターンです。
Xという具体的なものが決まっていなく、
白くて、ツルッとした素材で、かわいすぎず、こわすぎず、なんか長い棒状で、
こんな感じで使うのっ!!
なんていわれたときには、どんなものですか?! と探り当てるところから始まります。

というわけで、縫い子として力を発揮したいところですが、
なかなか縫えない状況なのでした。

06/11/02

YAMANOTE TRIP

「話しかけたいのに」

ども、山田宏平です。
痩せたとか口数が減ったとか書かれていますが、基本的に元気です。
3公演で元気な姿をお見せできると思います。

さて稽古も佳境に入ってきました。
今回は3公演の稽古を同時進行させています。
なのでシーン稽古やら打合せやらの予定を合わせることにみな四苦八苦。
そのアプローチのスタンスにはなかなかに個性が出ています。例えばこんな…

○断固初志貫徹派
倉品さんと浦くん。「ちょっとよろしいですか」の低姿勢で入り込み、話しを済ませるまでは立ち去らない。
その信念こそがシーンを立ち上げるために不可欠。尊敬します。

○アピール派
「あのシーンやりましょう! いやもうやーらないとやーばいっすからー」と
四六時中情熱的に自分の関わる場の稽古の必要性を訴える山口さん。
彼女の熱意は岩をも動かす…はず。

○泰然自若派
山本さん。心の中はどんなに焦っていようがまったく表に出さず、自主稽古に専念しています。

○機を逃さない派
別シーンの稽古をし終えて息をつくそのまさに一瞬に「このあとシーン1合わせませんか」
と絶対に断れないタイミング・有無を言わさぬ調子で声をかけてくる大久保さん。
その呼吸読みの見事さは芝居にも出ています。

○右往左往派
新人女優越谷さんが連日山本さんに話しかけるタイミングを探っては逸して稽古場をうろつくさまは涙を誘います。
優しい言葉のひとつもかけてあげたくなります。

○演技派
野々下くんや鴫島くんがシーン稽古をやりたいときは、
普段よりもワントーン声の調子を落とし、緊張した調子で交渉してきます。
そのせいかとても断れない雰囲気が出来上がります。

○釣り人派
あまりにアプローチしてこないので、「あのシーンやらなくて大丈夫かな」とこちらが心配になって声をかけると
「あたしもすごくやりたかったんです」と切々たる声で返答してきて稽古の予約をとる根本さん。

○迷子派
いいたいことがあるときは遠くからじーっとこちらを見てくる新人女優高橋さん。
その捨て犬のような目つきになんでも聞いてあげたい気にさせられます。

○アメーバ派
他のシーンの稽古にするりと入ってくる岩淵くん。しかし自分の場面に持ち込む前にするりと姿を消します。

○番外
他人の会話に「ぜんぜん関係ない話なんだけどさ」と言って割り込んできて本当に関係ない話をした挙句、
最後に「あ、そういえば」と本題を切り出す策士、演出助手小笠原さん。

こんな連中の希望を連日まとめあげているのが稽古スケジュールを担当する川村くん。
その苦労のせいかもともと濃い髭がさらに濃く…
いまなら「ロビンソン・クルーソーが似合う日本人ベスト10」に間違いなく上位でランクインするでしょう。

そういや川村の希望は聞いてあげてないな、誰も…

06/11/01

YAMANOTE TRIP

「女工哀歌+野獣」

大久保美智子です。
さああいよいよ! あの季節がやってまいりました!
衣裳をつくるのです!
俳優は衣裳をふくめて「役」になるのですから
大事な大事な作業です。

今日は研修生のためのお裁縫講座。
なぜかわらわらと男劇団員も聞きにくる…。
美希と麻里絵に仕切りをお願いしていたのに、
いつのまにか昨日香川から帰ってきた小笠原ががっちりと主導権をにぎっている。
みんなの知らない裏技を次々と繰り出し、尊敬の眼を浴びる小笠原!
ほんの昨日まで香川で暗い女工生活を送っていたためか、もの凄く輝いている!

最前列で熱心に聞いている名久井は長い黒髪をサイドでみつあみにしていた。
まずはそこからだよ。やる気を感じるぜ。
「布には縦目と横目がありまして…」
「ミシンに糸を通す順番は…」
「ボビンは時計と反対まわりに…」
鴫島、まだ汗をかくところでは…なぜ汗だくなんだ…?
その後鴫島はボビンをミシンから外そうとして、ミシンを破壊。
ボビンのフックを引っ張るだけだぞ?
「俊哉、ミシンに糸通してみたら?」
「あっ、あの、あの、まだミシン出しててよろしければ、後で練習しますので…(今
は勘弁してください)」
汗だくである。
終わった後、壁に向かいひとりミシンに糸をかけ続ける俊哉…。

「あああ、下糸が上糸とからみません!」
渡邊おちつけ。
「あああ、下から糸が出てきた、出てきた! でもこれ以上出ません!」
当たり前だろ。はさみでもなんでも使って引き出しなさい。泣くな。

なんだかみんな汗だくだ。
大道具組むのと、そんなに変らない気がするんだけどなあ。

今日上がってきたパターンを見ると、渡辺さんらしい凝ったデザイン。
(前出の渡邊ではありません。衣裳の渡辺さんです。)
そうとうステキになる予感…でも難しそ〜。男性諸氏はついてこれるのか。

ちなみに小笠原は安田演出の市民劇@香川の、衣裳(女工部)を担当していました。

連日睡眠3時間ちょっとの激務、その甲斐あってかなかなか好評みたいです。
演出補だった倉品は昨日、空港から直行でフツーに稽古してました。タフすぎ。
いよいよ明日から安田も合流です。